療育について思うこと

たー坊が21トリソミー(ダウン症)という特徴を持って生まれてきてから、私の辞書には今までなかった新出単語がてんこもりに増えた。

その一つが、「療育」。この療育、サービスを受けようと思うと特に最初は若干分かりにくくてややこしい。その主な理由は、住んでいる地域によって名称や団体、サービスの充実度などが異なるから。そして特定のサービスを受けるには、行政への申請&承認が必要で、行政から発行される受給者証なるものが必要というのも分かりづらくさせていると思う。

そもそも、「療育」とは、障害支援サービスを提供するLITALICO社によると、発達支援と言われるもので、障害のある子供やその可能性のある子に対して、発達の状態や障害特性に応じて今目の前の課題・問題の解決や、将来の自立そして社会参加を目指して支援をしていくこと、だそう。

21トリソミーの場合、発達障害が出ることはすでに明確なので、ダウン症と診断されると、必然といずれ発達支援サービスを受けながら発達を促していくことになる。個人的にはこの療育サービスを「早期に受けられるかどうか」はとても重要だと思う(これまず何よりも合併症次第で、たー坊のように生後すぐ酸素チューブと鼻からの胃ろうをつけていた状態では難しいと痛感した)。

では、その発達支援サービスはいつからどこでどうやって受けられるのか。

サービスを提供する主体者は2つある。①行政(発達支援センター、療育センターなどと呼ばれる)と、②民間サービス。そもそも、①行政の場合は自治体によって「発達支援センター」「療育センター」など、まず名称が統一されておらず、初めましての人にはとっても分かりにくい。(少なくとも1エリアに1団体はあるそう・・)

さらに、「いつから通うのか」は、①の場合、自治体によって対応や温度感がバラバラなので、4−5ヶ月ごろから通える場合もあれば、1歳前くらいが奨励されるケースもあるようだ。

たー坊の場合、私はたー坊が21トリソミーの可能性があると言われた生後2週間前後でネットで調べまくり、「療育」という言葉に出会った。さらにダウン症の研究が進むアメリカでは「早期療育」が非常に重要だとされていることを知り、いてもたってもいられずすぐに自治体に相談した。すると、ダウン症診断が確定していなかったこと、生後間も無く本人も病院にいたからなのか、担当窓口の方からは「ダウン症のお子さんは成長スピードがゆっくりで慌てなくて良いですよ」と言われ、退院して落ち着いたら1歳になる前くらいを目処に一度またきてください、とのこと。①も②の場合も大半のところで、行政が発行する「受給者証」が必須となる。ただ、担当窓口の方いわく、この受給者証を発行してもらうためには、発達が遅れているということを証明するアセスメントを受ける必要があり、生後間もないたー坊にはアセスメントを受けて発達が遅れているという証明をすることができないため、「焦らずある程度発達の遅れが見えてくる1歳くらいを目指して貰えば良い」ということらしい。

その時は私も理解が不十分だったため、なんとなく負に落ちないものの、そんなもんかと思ってそのままでいた(コロナ禍でしかもかかると重症化すると言われるRSウィルスが流行る秋に突入していたこともあって、免疫力の低いたー坊はなるべく外に出ないほうがいいとも思っていた)。ところが生後4ヶ月ごろ、あるダウン症の先輩ママさんたちのコミュニティで療育について相談をしたところ、「うちは3ヶ月ごろから行ってた」「6ヶ月から通い始めた」と、1歳前から通っている子供ちゃんたちが大勢いて衝撃を受けた。

そこで初めて自治体によってトーンが違うこと、合併症にもよるが通えるのであれば早期に通うほうが、人から脳・体に刺激を受けたり、体幹を鍛えていくのに効果的だということを教わった。

ならば善は急げ、先月早速ある民間の療育サービスに相談したところ、ちょうど新学期のスケジュール変更によって数名枠が空いており、見学をさせてもらい、通えることとなった。ただ、ここも民間ではあるが、受給者証は必要とのこと。行政から以前言われたことを伝えて相談したら、「自治体によってなかなか出ないこともある。来月からうちに通うことが決まったので発行してください」と相談してみては、とアドバイスをもらった。再度行政に相談し、たー坊本人同席の面談を経て、ようやくこの3月から無事に発行してもらえることとなった。その際も担当窓口の方からは「あまり月齢が低くて通うケースはないのですが、○○さんに通うことが決まったのであれば会議で協議にかけます」と言われた。また、家の近くにある①の行政が行っている発達支援センターについても担当窓口の方に聞いてみたところ、「うち(福祉課)の管轄ではないのでお隣の担当課に相談してください」と言われて縦割りの現実を垣間見た。

また再度ゼロから別窓口で相談するとなると、その日はさらに時間がかかるのに対して、たー坊のご機嫌もすでに傾きつつあったのでその日は断念して役所を後にした。数日後、たまたま平日にその発達支援センターの目の前を通ったので、ダメもとで直接訪問してみた。そもそも行政からもらったパンフレットには3歳から、と書いてあった。ただ、これまた先輩ママさん達に相談したら0歳からやっている場合もあるから一度聞いてみるといいよ、とアドバイスをもらい、直接窓口にあった面会依頼書と問診票を出したところ、その場であれよあれよと話が進み、早速今月から定期的に通えることとなった。衝撃しかない。

そのセンターの場合、月齢が低いので受給者証も不要。煩雑な手続きは一切なかった。話を聞いたら、スケジュールによって理学療法士、作業療法士、心理カウンセラー、医者・看護師さんたちが対応してくださるとのこと。個別相談とグループレッスンがあり、地域に根付いた交流もあり、対応してくださった方も明るく親切でとても信頼がおける印象だった。

そして先日早速1回目のトレーニングに参加した。たー坊はいくつか合併症が経過観察ということもあり、グループレッスンには入らず、まずは理学療法士さんとの個別のレッスンとなった。人見知り全盛期のたー坊だが、理学療法士さんの類稀なる技巧をもってして、遊びながらに身体の特徴を把握してもらい、家でこんな遊びができると良い、というアドバイスももらった。何よりそのセンターの方々がとても温かい人たちで、月齢が小さいこともあり皆でよってたかって可愛がってもらい、たー坊としても最後はごきげんで帰宅した。

たー坊は足の発達がての発達を超えている一方で、身体の中心で両手で何かを掴んだり遊んだりすることがまだまだとのことだった。ものを追いかける人を見て追いかける力は強く、背筋も強いので体をそることが得意な一方で、丸くなることが苦手で、つまりは腹筋が弱いのでう○ちするのが苦手。確かにたー坊が丸まってるのは見たことがない。コーディネーターの人に「丸まらない男だ!」と褒めてもらった。

こうして、たー坊と出会って初めましてとなった「療育」の第一歩が実現。もちろん家で一緒に遊びながら訓練はするが、経験不足で個人でできることの限界も感じており、療育サービスの利用は不可欠だと改めて感じた。場所によっては希望者が多く、空き枠待ちの人がいるところもあるそうで、すぐに相談したからと言ってすぐに始められるわけではないという現実も目の当たりにした。

そしてこれまたアドバイスをいただき、上記①②ではなく、③訪問型リハビリサービスという、家に来てもらって療育サービスを受けることができるというサービスもあると知った。こちらも受給者証は不要とのこと(医師の同意書は必要だそう)で、早速申し込みをして再来週からお願いすることとなった。

「療育、侮ることなかれ。」始まったばかりのたー坊の療育問題。もしトレーニング次第で歩行も食事も運動も改善・向上していけるのであれば、やらない理由はない。ちなみに本人は人見知りで泣きべそばかりかいているが、体を動かすことは大好きなようで、泣きべそ半分ルンルン半分といったところ(しかも褒められるとドヤ顔をしてさらにルンルンで遊ぶ)。

首座りすらまだで生後半年経った今も離乳食に移行できない現状にセッカチの母としてはひたすら焦るばかりだが、会う人会う人に急ぐな、焦るな、と言われ、当の本人もニコニコで生活しているのでこればかりは仕方ない。

「焦るな、首座れ〜」を朝晩たー坊の耳元で唱える日々である。

【人見知りはするが、体を動かすのは好き】

画像1



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?