三歳児検診に行ったら心がカッスカスになった話。
※長くなります。お暇な人だけ暇つぶしに。
我が家のダウン症児アイドルのたー坊先生、9月に無事3歳を迎えた。
なので、いざ参らん、3歳児検診へ。
・・なんだけど、実はずーっと行くかどうか迷ってた。
平日13時からって働く母にとっては非常に難しい時間帯。子供も同様。
13時といえば、保育園でお昼を食べた後、「あーむにゃむにゃ。さて寝るか、ふわぁ~。」という時間ど真ん中。そんな中で寝ずに行かねばならないわけで。彼らにとっては眠気がマックスな魔の時間、13時。光景を想像しただけでぞっとするのは私だけじゃないはず。
行政の皆様にもお医者さんたちにも予定があるのは百も承知。貴重な市の予算で行っていただいてることも重々わかっている。だからそれには感謝しかない。でもこの時間帯に設定する時点で、あれ、現場感から少々遠くないですかい・・?と一人思ったりもする。
しかも、我が家のアイドルはなかなかのハンディキャップを持っているわけで、まだまだまだ一人では歩け(か)ない。そうなると、朝一からマックスで仕事をして何ならお昼も食べれずに仕事を抜けだして、自転車をかっ飛ばして保育園で我が子をピックアップ。一旦は喜んだ顔をしたものの、自転車に乗った瞬間、昼食直後にユラユラ効果で睡魔が押し寄せてきて、ただでさえ体幹が弱くて体が柔らかすぎるふにゃふにゃっ子は、自転車に乗るや否や鼻ぼこ提灯でグラングラン前に横にと揺れまくり、勢いにのってかぶっているヘルメットが前やら後ろやらにガツンガツンあたってドスの聞いた鈍い音をさせてぶつかりまくる光景を目の当たりにすることになる。
「おーい、おきておきて!」と言ったところで、睡眠欲の高い我が子にそんな声など届くはずもなく‥急ぎたい×ガタンガタンゆれて首に負担をかけたくないの間で葛藤しながら抜き足差し足で自転車をこぎまくり、到着したころにはすでに満身創痍だったりする。
そして最大の難関は、行政の検診はすべて健常児をベースに企画されているということ。いや、仕方ない、公共サービスがマイノリティにあわせて作られてはいけない。そんなことをしたら大半の人からのクレームになってはそれこそ税金の無駄遣い。・・でも、せめてほんのちょっとだけでも、だれか少しでも理解をしてくれたら・・なんて毎回淡い期待を抱いたりする。
検診会場にいくと、そこら中に「子供から目を離すな」アピールが貼ってあった。そりゃわかりますよ、でも、3歳ともなれば自我も割と強いし、いやいや期だったりもするわけで。あまりにも等間隔にこれでもかというくらい「目を離すな!」と書いてある張り紙に心底息がつまる。いいジャン!すこしくらい。だってお互い様だし。3歳児なんて恐竜か宇宙人か以外の何者でもない。雄たけび上等、膝蹴り、寝っ転がっていやいや上等。ありとあらゆるものが遊びになる時期なわけ。
でも、ちょっとホールに(なぜか)おいてあるベビーベットとかに触ろうものならすごい勢いでツカツカ人がやってきて、「これには触らないでね~(視線ギロッ)」とやんわり注意を受けたりする。。
が、しかし。今回はその上をいく出来事の嵐だった。
まず問診表に病歴を書く欄があった。ダウン症は病気ではない(と思っている)けれど、書いておかないと万一ダウン症と気づいてもらえなかったりすると悲劇が襲ってくるので、しっかりと病歴に「21トリソミー(ダウン症)」と書いた。そしてさらに「心疾患などの合併症はなし」と念押し。
受付開始の12:30ちょうどについて受付に問診表を出して怪獣的宇宙人と待つこと50分。ようやく名前を呼ばれたと思ったら、保健師さんとの面談。最初に面談は意外過ぎた。そしてなぜか神妙な顔をした保健師さん。
開口一番、「最近どう?」、「お子さんの発達で気になることは?」、「ママさんには相談できる人はいる?」とか聞かれた。
「息子はダウン症で発達はゆっくりですが、遺伝科を始めとして、摂食、歯科、眼科、耳鼻科、小児科と各領域の専門医に定期的にお世話になっていますし、現時点で特に困りごとはありません。育児については私の両親や姉夫婦に逐一相談しているのでそちらも大丈夫です」と回答した。
うんうんと聞いた保健師さんが最後に聞いてきた。
「パパさんは育児に協力的?」
何か超絶イラっと、モヤっとしたが、自分でもよく原因が分からず、まあいいやと思い、「はい、息子をとてもかわいがってます」と伝えた。
保健師さん、「そう、それはいいですね!」とシャンシャン。
自転車の上でトロントロンと良質な眠りを得られていたのに、たたき起こされて50分待たされてまた席に座らされた我が子の目は明らかにつり上がっていたが、気づかないふりをしてなだめすかし、問診終了。
次は身体測定です、と次のセクションにいざなわれた。
部屋に入ると、身長計と体重計が鎮座していた。囲むこと5人のおばさま。
問診表を受け取ったボスっぽい方が、「まずは体重をどうぞ」と言うので、我が家のたー坊先生を抱っこしたまま靴を脱いで体重計に乗ろうとした瞬間、
「ママさん、やだ~!!ママさんの体重じゃなくてお子さんのです!」
とケラケラおっしゃった。
いや、わかっていますけど。我が子、まだ一人で立って乗れないので、私が息子と一緒にのって測った合算値から子供を置いて私だけで測った私の体重を引いて子供の体重を割り出そうとしているのですが・・
それを説明したが、きょとんされて女帝には伝わらなかったっぽい。
でた、この感じ。
「息子はダウン症でまだ歩けず一人で体重計にも乗れないので、合算値から私の体重を引く形で測ってもいいですか?」
分かってもらえると思いきや、
「いえいえ、さすがに大丈夫ですよ、一人で乗れると思いますよ」
とまさかの返答が。こちらが絶句していると、
「たー坊君~、大丈夫だよ~怖くないよ~乗ろうねぇ」とネコナデ声で彼を体重計にいざなった。気分が乗らないとかそういうことではなく、能力的にできないんだが。案の定、彼は立って乗れず、まわりに大丈夫!と励まされたとて、「うわ、乗れた!」なんて奇跡は起こるはずもなく、「超鬼の形相の息子」が出来上がっただけなのでした。
さらに驚くべきは、その次の身長計も同じように立つようにと言われ、
「いやなので、見てもらったとおり、立てません」と伝えたが、「大丈夫!」と半ば大人に羽交い絞めにされ試したがやはりできなかった息子は堪忍袋の緒が破れる寸前となった。
コンカイ、ヤバイ。トニカク、ヤバイ・・・。
帰ろう。と全身をイライラと絶望が駆け巡り、逃げるが勝ちを決めて帰ろうとしたが、母子手帳を預けていた。途中で検診を棄権することもできず、なすがままに流れ作業に乗らざるをえなかった。
ヤバイ、と思った直感どおり本当にヤバかった。
身体測定後、待つこと30分。眼科の先生とご対面。
たー坊先生は遠視がすこぶる強く、このままいくと弱視になる危険性が高いため、2022年12月からメガネを常にかけている。今やメガネをかけることなんておちゃのこさいさいな彼だが、当時はそれなりに気がかりや苦労もなくはなかった。
しかも今だって3か月に1度はラーメン屋さん並みに激込みだけど、心底信頼できる小児眼科に定期通院している。問診表にも専門医に見てもらっていることは記載したし、冒頭の面談でもその旨を伝えたし、楽勝だと思った。
でも、ここもとんでもなかった。。
診察室に入るや否や、彼のメガネを見て一瞬驚愕した先生。
遠視ですか?と聞かれたので事情を説明して、専門医にこの前途中経過をみてもらい、現在メガネで0.2ぐらいまで回復したことを伝えた。ということでそれでは・・と退散しようとした瞬間。
「測ってみましょう」と先生。
え?。。もう視力わかっているし。お伝えのとおり、つい先月なので大丈夫です!と断固拒否したが、「いや、やってみましょう」と譲らぬ先生。
見渡す限りの機材では素人の私でも絶対無理だとわかるのに。。。
無理だと思います・・と伝えても、まあまあ、と先生。
たー坊先生を膝に座らせて先生の方向を向かせたら、
先生、何を思ったのか「これなんだ!」と飛行機の絵カードを見せてたー坊先生に尋ねた。たー坊先生、期待に応えようと頑張った。
「ぶー!」(ブッブー=自動車)と指までさして全力回答。
先生はというと直立不動で固まっていらっしゃった。
「だから発語がまだないので、見ても『飛行機』とは言えないです」と怒りを両奥歯でかみ殺して冷静に伝えた。
「そうなんですね!なるほど」と先生。終わりと思いきや、
「じゃあこうしましょう!」といって、「ラッパ」の絵が描かれたカードを彼に見せて、その次に8種類の絵が描かれたカードを彼に提示し、
「今のどおれ?」と彼に問いかけた。
全く意味が分からない我が家のアイドル君は先生から8種類の絵が描かれたカードを満面の笑みでひったくると、ブーンと横に投げ捨てた。
「息子よ、よくやった!!」思わず心の中で拍手喝采。彼の頭をこっそりなでまわした。
絶句する先生に、「これもまだできません。。」と絞り出した低いトーンからようやく察知してくれたのか、「まぁ、いいでしょう」と言われて終了。
積み重なるストレスマックスであれまくった心に「落ち着け、仕方ない、これは公共サービスだから・・」とブツブツと言い聞かせる私。
が、しかしこれまでのそんなこんなを木っ端みじんに吹っ飛ばす瞬間がやってきた。
それは歯科検診。これまた先日専門医にみてもらったばかり。その旨も最初の面談で伝えた。そして今日は12時に保育園から来ているので歯磨きができていません、ごめんなさい、とも伝えた。問診票にもその旨書いてた。
そんな中、たー坊先生の口の中を見たおじいちゃん先生。
終わって勢いよくたー坊先生を抱き起こすとこちらに向かって一言。
「上も下も全然だめ!!」
「お母さん、全然だめだよ!!!全然磨けてない!!もっとしっかりできない??」
いや、だから、普段はしっかり歯磨きしているし、何ならダウン症の子は歯並びが自由形すぎて矯正が保険適用でできる。でも虫歯ができてしまうと矯正ができくなってしまうから誰よりも毎日真剣に歯磨きと向き合ってるつもり。
定期的に2か所歯医者さんに通院し、そして今日いま口の中が汚いのは、13時からの検診のために12時まで昼食だった子供をピックして直接来ているからだし、それはあちこちで事前に伝えたし。怒りで全身ワナワナ震えてきた。
さらにダメ出しで、あろうことか母子手帳にだめだめ記号を書き込まれた瞬間、怒りを通り越して悲しみを通り越して、無の境地になったのでした。
それでも怒りのあまり声が震えながらも精一杯に「すでに各所でお伝えのとおり、普段は専門医にかかっていて問題ないと言われてますし、今日に関しては保育園で昼食後に直行しているので申し訳ないですが、歯磨きはできてません」とワナワナ伝えた。
先生はというと、完全無視でスルー。
ストレスマックスでヤバすぎる検診。
言葉震える私の横にいた保健師さんも同じくやばいと思ったのか、ちょっとこちらへ、と個室に呼び出された。そして、
「歯磨きは大丈夫そう?」、「困りごとを相談できる人はいる?」と。
いや、だからそうじゃなくて、ネグレクトで磨いてないわけでもないし、何度も言うけど、子供はダウン症で発達遅滞があるし、今日は保育園から直接来ているから歯磨きはできてないし、歯科も眼科も専門医にみてもらっていて問題ないから大丈夫なんです、と説明。
「そうなのね、じゃあ大丈夫かしら」と。
これ以上、何をどう説明したらいいのかもわからない。心がカッスカスになりすぎて、1秒でも早く家に帰りたい。ああ、マック食べたい。
そこにさらに保健師さんの一言。
「旦那さんは育児に協力的かしら?」
ここまで来て、ようやくすんなり腹落ちした。私のモヤっとした違和感。
協力的って何?なぜ、「母が育児、父は協力する体制」が前提なの?
「かわいがってくれる」=「それはいいですね!」って何?
母は面倒を見る人で育児をする人で、父はそれに協力する人で、可愛がってくれればいい?相当に時代錯誤もいいところ。
父も母も家事も育児も仕事もお互いに協力するのが当たり前だし、母=育児する人っていうそのスタンスが、現代の母たちを追い込んでるんじゃないですか?そしてそんな姿勢を行政の検診の中でやすやすと出してしまっていいわけ?
時代錯誤も甚だしい。
怒り心頭を飛び越えて、心がカッスカスで帰宅したのでした。
それでも行政の検診を頑張っていくのは、こうした行政の検診を受けることができる権利を得るために並々ならぬ努力をしてくれた過去の人たちがいるから。そして、健常児が当たり前な世の中だけど、それはそうなんだけど、健常児じゃない人もいるっていうことを知ってほしいから。どれも完全に自己満足だけど、嫌だから行かないと、いつまでも嫌なことを変えることはできない。次に続く同じような状況の人たちがさらに行きたくなくなってしまう社会になってしまう。
でも次回の就学前検診、考えただけで気持ちは滅入る。。
次回は育児に協力的な旦那さんを携えて絶対夫婦でいってやる。
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