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結婚式の手紙 前編

最近は、結婚式をしないカップルが増えているというけれど、私たち夫婦は職場婚ということもあり、わりと盛大に結婚式を挙げた。もう7年も前の話だ。

結婚式の見せ場は色々あるけれど、なかでも花嫁の手紙は披露宴のトリを飾る最も感動的な演出であろう。

この花嫁の手紙が当時の私を悩ませた。両親への感謝や想いは沢山あるけれど、上司や友達もいる場でどんなことを話したらいいんだろう。

教師という職にありながら、人前で話すのが苦手な私。何ならゲストは教員ばかり。校長先生も数名いらっしゃり、話のプロが集結する。

泣いて手紙が読めない、なんてことになったら大変だ・・・。

家族との思い出を振り返り、時には涙しながら数日かけて手紙を書きあげ、何度も何度も読む練習をしてその日を待った。

◇◇

結婚式当日。いよいよその時はやってきた。

会場の照明が一気に落ち、ライトの光は私たち夫婦と両親へ。

「お父さん・お母さんへ・・・」

緊張よりも、結婚式という非日常の高揚感が上回り、これまでの練習の成果もあって、すらすらと言葉がでてくる。

(順調⁈いやまずい!練習しすぎて手紙の内容を暗記してしまった。手紙というか朗読!?少し言葉に詰まった方がいいかしら・・・)

感謝の言葉とは裏腹に、頭の中ではこんなくだらないことを考えていた。

すらすら言葉がでてきたため、手紙はあっという間に読み終えてしまった。

私の目に涙はない。

読み終わった後、なぜか私が泣いていると勘違いした夫が、ハンカチを差し出してくれたのに「いや、大丈夫」と突き返したやりとりが会場内でうけ、うっすら笑いまでおきてしまった。

花嫁の手紙で笑いがおきたという状況に、私も笑ってしまった。

でも、そんな中で両親だけが少しうつむいて涙を浮かべている姿を私は見逃さなかった。

一番伝えたい人たちに伝わればそれでいいか。

思っていたような演出にはならなかったけれど、私は概ね満足だった。

でも次回は、手紙を読む練習は辞めた方がいいな、と思った。その時感じたことを感じたまま話すのが一番!

まあ、次回なんて縁起でもない、か・・・笑

◇◇

披露宴が無事終わり、緊張から解き放たれる。この身動きのとれないカラードレスともおさらばだ。着替えに時間がかかるからと、夫より先に控え室に案内された。

そこには花束と1通の手紙が置かれていた・・・。


◇◇

息子が起きてしまったので、次回に続きます・・・(笑)

追記
後編完成しました。
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