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救国シンクタンク◆自治体経営研究会セミナー第4回R6.2.25 大事なこと&川崎市の場合は? (Ver1.0 R6.3.5)

 はじめに


 寒の戻りで、雨が降るとても寒い日でしたが、セミナーは60名を超え過去最多、超満員の熱気に満たされました。私自身、おかげさまでここまで全出席。今回も、とても楽しみに参加しました。地方議員も常連組が出現しつつあります。


 今回も、防備を兼ねて気楽な?感想をnoteにアウトプットしていきます。


<議員による活動成果報告コーナー>

 セミナー受講後、議会質問などに活かした議員による成果報告タイム。すっかり恒例になりました。今回は3名の地方議員からの報告でした。
 岩田英高さん(川崎市)、浜野正太さん(八王子市)、星野翔さん(大和市)です。

川崎市議岩田英高議員とかわさき減税会

 かわさき減税会の私としては、岩田さんがセミナーに参加され、毎回議会質問に活かしてくださることは何より嬉しいことです。
 

岩田さんとの出会いは、昨年今頃始まった統一地方選挙の公認候補になられたあたりからです。

 このときはまだ一立候補予定者でしたし、救国シンクタンクセミナーもまだスタートしていませんでしたから、今のような状況はとても想像できませんでした。奇跡✨としかいいようがありません。感謝です! また、次回のセミナーにもご参加いただき、成果報告を楽しみにしています。

<第1部> 誰でも簡単に活かせる地方自治体の世論調査の見方・やり方・使い方 渡瀬裕哉講師

 わりと早口で?笑、28枚の資料を一気に解説。それでも時間ギリギリでした。エッセンスを分かり易く取り出し、お話してくださいました。

渡瀬裕哉氏

ポイント

・行政のアンケートが恣意的?に結論を(結果的に)導いているポイントの見破り方。
・行政のアンケートについてどの点を指摘すればよいのか。
・行政に対して何を要求すればよいのか。

以上のポイントを抑えるためのレクチャーでした。

統計の専門用語から

 ●平均値、中央値、最頻値※の違いは重要ですね!
    ※【高校数学の美しい物語】の説明が分かり易かったです。

 ●「有意」。統計学では重要なワード。
 「統計学的に有意である」とはつまり、
 「確率的に偶然とは考えにくく、意味がある(有意)と考えられる」
 
セミナーでは、この有意、の概念や、統計学についての詳細は割愛されました。大学の講義で1年かかる内容になってしまうからだそうです。
 とにかく、アンケート結果について行政に質問する際、
    「このアンケートは有意”ですか?」と聞く。
 行政が、もし有意なアンケートを実施していたら、それは恣意的な(結果がそうなるように意味を持った)選択肢を用意している、ということになる。行政が、それは有意でない、というなら、行政側は統計学的にそのことを証明することになりますね。(という理解でいいのかな?笑)

行政に要求すること

 アンケート結果を専門的に分析評価することは、一般市民はもとより、議員にも困難です。EBPMの観点からも、行政職員に統計処理を学び活用できる人材を求め、行政主導のアンケート結果を行政自身に分析、評価していただき、結果と評価を納税者へ公表し、それを事業に反映してはじめて意味あるアンケート事業になるのだ、という問題提起を受け止めました。
 行政のアンケートにもうお茶を濁されないぞ!笑

川崎市のアンケート

 予習も兼ねて、セミナー受講前に川崎市ではどんなアンケートがあるか調べてみました。そんなの、いままで調べたこともありませんでした(;^_^A

 川崎市民アンケートは昭和50年から開始されていて、H18年度は3000人を対象とした層化二段無作為抽出による郵送法でした。H28年度からインターネットモニター登録者を対象としたインターネット調査になりました。1500標本です。いちおう、登録者の男女比などは公表されていました。しかし、わざわざ自分から登録するような市民って、どんな人たちなんだろう笑
 そういう私も今年度登録しました!笑 
 登録締め切りは3月上旬だったと思います。

第2部の前に、浜田聡参議が今回も参加くださり、とても勉強になるセミナーであり、国会での活動にも活かしたい、とお話してくださいました。

浜田聡参議院議員

<第2部> 国民保護について あなたの自治体には住民を守るために必要な条例はありますか 小川清史講師(元陸将)


小川清史氏

配布資料は、
 28ページの説明資料
 議会での質問集
 地方議員のべからず集・すべき集

でした。
 28ページの資料で説明された要点は以下の通りです。

説明資料の要点


1.「国民保護」について、法律で規定されていること、台湾との比較、民間防衛との関り
2.有事における国民保護のための自治体の法制・条例について
3.有事における県知事の指揮、組織。
4.地下避難施設について

 この他に、事故や災害時のエピソード現場の指揮に当たられた小川氏のお話は説得力がありました。御巣鷹山日航機墜落事故(昭和60年1975)の際、普通科連隊小隊長として任務に当たられたことが、主要歴の最初の事例として書かれていました。
 御巣鷹のときは、県知事が全く動かず、自衛隊がやるのが当然のような状況だったが、阪神淡路大震災(平成7年1995)のとき、なぜ県知事が自衛隊に救助要請しなかったのか?が国会で議論され、”御巣鷹”から20年の時を経て潮目が変わった!と感じられたそうです。

国民保護法とは

国民保護法の正式名称は、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律 です。法律名って長いので、略称されるんですよね。平成16(2004)年に成立し、全部で194条からなる法律です。
 これは小川先生の力作。国民保護法をなるべく1枚の図で分かるように描いてみたとのことです。

国民保護法を1枚で表すとこうなる。セミナー資料より

あらためて眺めると、公助(政府、行政機関)の範囲が広いなぁと思いました。
川崎市は(政令)指定都市ですが、同法第184条(大都市の特例)で、都道府県に代わって指定都市がやっていいよ、ということが規定されています。
やっていいことは、例えば第148,149条、避難施設を指定したり、廃止したりすることだったりします。

しかし、まだこの法律には書いてないこと(規定されていないこと)があるんです!そしてそれ以前に、そもそも憲法に書いてないこともありました。

緊急事態ってどんな事態?

「緊急事態」の定義、とは何かご存じですか。
政府が機能しなくなる事態、のことを言うそうです。
そのときどうしたらよいのか。
誰が、指揮、命令、決定など行うのか。
明治憲法には規定があったそうですが、
今の日本国憲法には書かれていないのです!

救国セミナー資料より

緊急事態については、こちらの動画も参考になります。

平時と有事を区別し、平時から有事に移る際、命令系統はどのように変化するのでしょうか。
川崎市のような大都市制度の特例が適用される自治体は、どのように規定されているのでしょうか。正直、私も明確には分かっていません。指定都市の場合は、迅速な意思決定のためにも都道負県をスルーして政府と直接やりとりしてほしいと考えています。

国民保護”措置”のために必要な法制・条例

 緊急事態(非常事態)も憲法に定義されていない現状では、必然的に有事と平時で異なる状況に対処する条例なども整備できていない現実があります。
 例えば、たまたま定年の日に有事が勃発しても、定年だから辞める、というのは現実で考えると「えーそんな?!困ります!」となるでしょう。しかし行政は規定外のことはできないので、有事の場合は定年を更新する特例を条例に規定しておく必要があるわけです。
 このような事態を生じさせないために、「国民保護措置」を実施するために制定するべき法令・条例を何項目かまとめた資料がありました。
 ここではその中からひとつ取り上げます。
 それは、地下避難施設整備の義務化 です。

”反復”できる「地下避難施設」が日本に無い!

 反復できる、とは、武力攻撃をあらかじめ避けることができ、危険が去ったあとに元の状態に戻れる可能性が高い避難、だと理解しました。現在は「移住避難」が主に想定されていますが、移住してしまうと元に戻ることがとても困難になってしまいます。
 比較事例として台湾の政策が紹介されました。台湾では観光客も避難できるように、地下避難のキャパが国民総数×3倍収容面積を確保しているというから驚きです。最も台湾に近い、九州・沖縄においてさえ、地下避難施設は少ないと言わざるを得ません。佐賀県は地下施設が0なんだそうです。
 国民保護ポータルサイト 地下避難施設一覧を参照してみてください。
デパートの地下は、まだ法律上?規定できていないのだそうです。

川崎市の地下避難施設はどうなのか

 上記のポータルサイトの情報によると、川崎市では川崎駅前のアゼリア地下街、が指定されているだけです。
 令和5年にこのことについて質疑がありました。今は県会議員である、添田勝(日本維新の会 宮前区選出)の質問です。

令和5年予算審査特別委員会3月6日01号

 アゼリアだけでは足りないこと、他にも地下避難できる可能性はあることなどが指摘されています。行政は、これは川崎市だけの課題ではないので、国に提案しているところだ、と答弁しています。
 このような議論があったのですが、令和6年度予算について、の資料(PDF)P12-13  からは地下避難施設計画には何も言及されていませんでした。
 サイトURL https://www.city.kawasaki.jp/230/page/0000158395.html

議員向け 議会質問集とべからず/すべき集

 小川講師自身も、この付録?は特別思い入れがあるようでした。とにかくいままでには存在しない、実用的な資料です。
 議会質問集では、国民保護の実施、効果的な避難、災害対策 の3項目についてそれぞれ質問案が書かれています。現場現実を知っているからこその質問集です。
 べからず/すべき集。べからず集はまるで映画「Fukushima50」で描かれた時の総理大臣の行為そのもの、のようでした(;^_^A  特に印象に残っているのは、情報を得ようとするときに”ただ聞いてみたいから”質問するのではなく、何かのために必要な事だけを情報として聞き出してほしい、ということでした。
 すべき集も住民への心配りや、困難時に的確に物事をすすめるための心がけ集のようです。愛にあふれているなぁと感動しました。
 セミナーに参加されて、これをゲットした議員はぜひご活用いただきたいと思います。有権者としてもこのことを議会で質問に活かしていていただけるように働きかけていきます。

<倉山理事長から総括>


倉山満 救国シンクタンク理事長

 どこが急所なのかを見抜く。
 自分ができることを少しずつ実行する。

この2点が、参加者に伝えたいことであり、このセミナーが、
ただ良い話を聞いた、で終わらない
ことを願っている、とのことでした。
とても励まされました。

おわりに

 時間めいっぱい、現場現実からの具体的な提案で満たされた、充実した内容のセミナーでした。参加された地方議員の血肉になる、議員として本来あるべき活動に活かせる内容だったのではないかと思います。
 アクティビストの私としては、最後の倉山理事長のお話に喝!を入れられたような気持ちでした。
 アクティビスト席は毎回定数を超える応募があるほど。そこに毎回参加できていることは光栄です。この学びをぜひ地元に活かしたい、と心から思いました。3月23日には川崎市で岩田議員にも後半ご参加いただき、勉強会を企画しています。ぜひ、お越しください。

また、次回4月21日開催の申し込みが開始しています。

ここまでお読みいただき、感謝します。

減税あやさん(かわさき減税会)


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