17歳、漫画みたいな恋をした

突然だけど、私は夫が大好きだ。それはもう、世界中に拡声機で言いふらしたいくらいに。よく「2番目に好きな人と結婚した方がうまくいく」というけれど、夫がぶっちぎりで一番好きな人だし、夫婦関係もうまくいっている。でも、実は「忘れられない恋人」は別にいたりして(決して今好きなわけではない。これを読んでいる皆さん、どうか軽蔑しないでほしい)。

今回はそんな恋のお話を、ひとつ。

ときは10年前まで遡る。当時高校2年生の私には彼氏がいた。同じクラス、同じバスケ部、身長180センチ超えの松坂桃李似の彼だ。なんでそんなイケメンが私を好きになったのかは謎だが、きっかけは漫画でよくある「席替えで隣の席になったこと」だ。なんという青春。

彼はどちらかというと寡黙で人見知りタイプ(私と付き合ってから社交的になった気もするが)。でも負けず嫌いの努力家で頭が良くて、そんな彼と話をするのが楽しかった。時折見せる、屈託のない笑顔にキュンとしたりして。制服のワイシャツはいつもほんのり柔軟剤の香りがして、なんだかとても安心した。

高校を卒業するまで2年弱付き合ったわけだけど、彼が「忘れられない恋人」なのは、おそらく付き合いの長さだけじゃない。もう二度と戻らない青春時代に、絵に描いたような青春体験をたくさんしたからだと思う。

お昼休みは彼を含めた仲の良い男女のグループでご飯を食べてワイワイしたり、授業が終わったら一緒に部活に行ったり、テスト期間は放課後教室で勉強したり、修学旅行の夜にこっそり会ったり、文化祭のTシャツにメッセージを書き合ったり、帰り道立ち寄ったコンビニで肉まんを半分こしたり。そうそう、チャリで2ケツして帰ったこともあったし、たまに彼の好きなフレンチトーストを朝早く起きて作っていた。記念日にはペアウォッチを買ったし、リュックもお揃い。部活のない日にはカラオケや映画にも行って放課後デートをしてた。夏は浴衣を着て夏祭り、クリスマスにはイルミネーション見て焼肉食べたっけ。

今ざっと思い出しただけでもすごい。当時は意識してなかったけど、本当に漫画かドラマみたいな日々だった。まさにアオハル。こんなにも楽しい日々を与えてくれた彼には、すごく感謝している。ありがとう。

恋人たちの別れ方はさまざまだ。円満に別れられなかった、という過去がある人もいるだろう。別れた直後に顔も見たくないと思ったり、未練たらたらで引きずってしまうこともあったりする。でも、時が経ったとき「いろいろあったなぁ、大好きだったなぁ」って思える恋って、たとえバッドエンドだったとしても、たぶんしあわせだ。

彼とも、別れ方は決して良いものではなかった。でも、大切な青春を一緒に過ごした大切な人であることには変わりない。17、18歳の私は、ただ真っ直ぐに、笑っちゃうくらい彼のことが大好きだった。

このnoteをもし彼が見つけたら、性格的に嫌がりそうな気がする。「勝手に書くなよー」って、むっとする気がする。でも、(私は)いい恋をしたなぁと感じるし、別れるときお礼も言えてなかったと思うから。

届くかどうか分からないし、届かなくても良いのだけれど、この場を借りて伝えたい。

「忘れられない素敵な青春を、ありがとう」

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