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長久 允監督のイルカ飛び

ラストのシーンの撮影直前、長久監督は真っ黒なプールに飛びこんだ。

華麗な飛びこみ

冷たい雨の中、これから冷たいプールに入る彼女たちに気持ちを送る飛び込み

2016年、長久さんの初めての映画作品『そうして私たちはプールに金魚を、』のスチールを担当させてもらった。

わたしのお腹の中にはまだ心臓もできていない息子が入っていた。

長久監督の奥さまがアートディレクターとして関わっていて声をかけてもらった。二人にはお子さんがいて、「今日のお迎えは〜で、明日の朝は〜だよね」とお子さんのことを確認する二人。常に二人とも不規則な仕事で、どうやってやりくりしてるのか、良いアプリについてなどなど、さりげなく色々な情報を教えてもらう。まだお腹のことは言えないけど、ふたりが楽しそうで、楽しみになった。

前の日くらいにプロデューサーの方から電話がかかってきて『もしかしたら、プールの中に入ってもらって撮影してもらいたいかもしれない』と言われる。さすがにちょっとそれは避けたかったのでドンキでボートを買っておいてもらった。結局プールサイドから撮った。

ムービーのカメラマンの武田さんは水の中に入って撮っていた。想いが想いで繋がっていて、仕上がりを観る前からすでに感動的で、監督や作り手側の写真をやたらと撮っていた。

そして映画はサンダンス国際映画祭で短編部門グランプリを受賞した。

そしてそして今、公開中の『WE ARE LITTLE ZOMBIES』はベルリン国際映画祭準グランプリを受賞。より多くの人に劇場で観てもらいたい。

一番最悪な中に、光を見つけ出す場面が好きだった。光が宇宙まで届いていた。ドッキリの人も久しぶりに見て笑い、あの虎がなんだったのかを考えながら、アインシュタインについての本を読んだ。

あの時点だった息子は2歳半になった。冷蔵庫前に足台を移動し、つま先立ちをしながら一番の上の蒟蒻ゼリーを取り、歯を使って蓋を開け、喉につまらないように食べている。

ちょっと困るけど、息子の冒険の邪魔をしないようにしたい。映画を観てますますそう思う。

長久さんは『大丈夫だよ』という優しい言葉を自分のこどもだけでなくわたしにまた届けてくれた。ほんとかっこいい。















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