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2022 九州旅行②

3日目 博多〜大分


さて、3日目の朝がやってまいりました。ここは午前8時の博多駅です。乗る予定の列車は9時半発車とかだったのでちょっと早く来すぎました。駅前のスタバで時間を潰しつつ、鹿児島本線を久留米に向かって南下します。博多駅のホームでは特急「ゆふいんの森」号を見かけました。

他の列車にはない独特な顔をしていて結構好きな列車です。ちなみにこの時は物珍しいなあとか思いつつ撮っていましたが、この後何度もすれ違うことになります。それはこの「ゆふいんの森」が、僕がこれから乗る久大本線という路線で運行されている列車だからです。久大本線は、文字通り留米と分の間を結ぶ路線で、沿線には温泉地で有名な湯布院を抱えています。久留米に到着した僕を待っていたのは、この旅で初めてのる気動車(電気ではなく熱機関を動力源とする列車)でした。床下で気動車特有のエンジン音を唸らせながら、列車は大きくカーブを描いて東へと舵を切りました。

赤はJR九州のイメージカラー

列車は筑後川に沿って筑紫平野を進んでいき、山奥へと分け入ります。大分県に入ってしばらくすると、列車は終点の日田に到着しました。

Iはどうした

日田は「進撃の巨人」の作者の出身地である諫山創先生の出身地で、駅前では同作品に登場するリヴァイ兵長の像が出迎えてくれました。僭越ながら僕も進撃を読ませていただいているので、そこらへんにいた人に頼んで記念写真を撮っていただきました。調査兵団のコスプレをしてる人までいましたね、わざわざこんな田舎までありがとうございます(←生まれた頃から日田一筋、御歳70歳のおじいちゃん目線)。さて、日田といえば「進撃の巨人」だけではなく、日田焼きそばというご当地グルメも存在します。日田焼きそばとはなんぞや。じゃらん曰く

茹でたての生麺を焦げ付く寸前まで焼きあげ、こだわりの豚肉やもやし、ネギ、各店秘伝のソースなどをからめるのが特長です。

https://www.jalan.net/news/article/375875/

だそうです。ちょうどお昼時だし、百聞は一見にしかず、ということで地元の「想夫恋」というお店に入り、日田焼きそばを注文しました。

おおこいつが日田焼きそばか!熱々の鉄板の上に麺が乗せられた状態で出されました。さてお味はというとこれがとても美味しい!茹でたてが鉄板で焼かれているおかげで麺はもちもちとパリパリが共存しており、さらにもやしがシャキシャキとした食感を足してくれています。さらに秘伝のソースがまたいい風味を漂わせていること!今記事を書いているこの時にも涎が止まりません。それほどの一品でした。
そんな最高の焼きそばを食べて駅に向かうと、程よく列車が来ていました。春が来て無駄に元気の良いアブが車内を飛び回っていてうるさかったですが、それをもろともせずに大分行きの列車は動き出しました。
日田を出ると列車はさらに山奥に入ります。車窓には初春の渓谷や山々が映えていました。豊後森の辺りでは、右手に伐株山という山が見えました。その名の通り切り株のような形をした山で、地理的な話をすると周囲の柔らかい地層が削られ、残った硬い地層からなるビュートという地形になります。

さまざまな景色を楽しんだ後、列車は峠を越えて由布院(湯布院?どれが正解なんですかね…)に到着します。
春休みの由布院は大勢の観光客で賑わっていました。家族連れやカップルで賑わう中、馬鹿でかい荷物を抱えて1人で徘徊する自分は客観的に見ればやばいやつなのですがそんなのには慣れっこです。才能あるものは孤独なのです。由布院といえば九州屈指の温泉地なので温泉に入らないと気が済みません。ただし自分は別に温泉宿を取っているわけではなかったのでそこら辺の銭湯にお邪魔することにしました。地方の温泉地にある古い銭湯は雰囲気があって大好きです。次の列車までおよそ2時間、湯船に浸かってしっかりと体を休めました(いい湯)。

駅前から眺める由布岳

さて今日もラストスパートです。由布院駅で大分行きの普通列車に乗り込み、終点の大分へ向かいました。これにて久大本線完乗です。大分で取った宿は地味に駅から遠く、しっかり距離を歩かされました。誰だこんなとこを予約したやつは。夕飯は大分で人気のあるラーメン屋に行きました。

「らぁ麺 牛ごろ極」

これめっちゃ美味しそうじゃないですか?これを出された時の私もそう思いました。具材をふんだんに使ったラーメンが疲れた体に染みます。この日は訪れた観光地がどれも充実していてとても楽しかったです。

4日目 大分〜川内

大分のホテルが駅からすごく遠くて疲れ果てました。本当に誰ですか?安さに負けてこんなところを予約したのは。まあ今日乗る列車は9:00の発車なので時間には余裕があります。これから僕は豊肥本線に乗って熊本方面へと向かいます。豊肥本線は大分(後)と熊本(後)を結ぶ路線です。この路線は2016年の熊本地震、2017年の豪雨災害で甚大な被害を受けたものの、2020年に全線復旧を果たしました。大分駅に着くと黄色い気動車が唸り声を上げながらホームに居座っていました。列車は定刻通りに大分を出発し、日豊本線と分岐すると、南に向かって進みます。1時間ほどすると、最初の接続駅である三重町に到着します。

仲良く並ぶ黄色い気動車

三重町で宮地行きの列車に乗り換え、列車は西へ進路を変えます。川沿いの風光明媚な景色を眺めながら、どんどん深い山奥へと入っていきます。豊後竹田を越えると、列車はJR九州でもかなりきつい勾配を上ります。あまりにも勾配がきついために、雨天の日などは車輪が空転を起こして坂を登れなかくなってしまうほどです。途中にある滝水駅は、標高754mで九州では最も標高が高い鉄道駅です。山をのぼり、トンネルを抜けると熊本県に入り、右手には阿蘇谷に広がる阿蘇の街が見えます。今度は下りの急勾配をカーブを駆使して駆け抜けると、列車は終点の宮地に到着します。


宮地は旧一の宮町の中心街で、阿蘇神社参拝の拠点でもあります。お昼時だったので駅前の肉料理屋さんに入り、阿蘇の赤牛も使った名物・あか牛丼をいただきました。上質な牛肉をふんだんに使った丼を、卵と合わせて食べる味は絶品でした。阿蘇神社まで行こうかとも考えましたが、長く続いた引きこもり生活の末落ちきった体力では無理だと判断し(なんだこのクソニートは)、駅で次の列車を待つことにしました。


あか牛丼

宮地からでも阿蘇山は見えないこともないのですが(この記事のヘッダーがそれです)、少し遠かったのではっきりとは見えませんでした。阿蘇山のいい感じの写真を撮ることは諦め、次の肥後大津行きの列車に乗り込みます。列車はしばらく阿蘇谷を進んだ後、今度は急な下り坂に差し掛かります。左手に巨大な阿蘇大橋が顔を覗かせると、列車は駅でもないところで急停止します。豊肥線名物・立野のスイッチバックです。スイッチバックとは急勾配に対応するために、ある方向から進路を反対側に取ることで勾配を緩和する仕組みです。

一旦引っ込み線に入って折り返すことで、勾配を緩和する

立野駅を出ると、沿線には平原が広がるようになり、最後の乗り換え駅である肥後大津駅に到着します。肥後大津からは熊本の近郊区間になり、学生がたくさん乗ってくるようになります。車内が混み合ってきた頃、列車は終点の熊本に到着しました。
熊本から次の列車は1時間ほどでやってくるので、この微妙な時間をどのようにして過ごそうかと考えあぐねていました。熊本城まで観光にするか?早めの夕飯を食べてしまうか?胃に脳みそがついている僕は、後者を選択し、その足でラーメン屋へと向かいました。熊本オリジナルのラーメンは、豚骨ベースにニンニク油やフライドガーリックを投入することで博多ラーメンに比べまろやかさを出しており、ご飯が進みました。熊本城も見たかったな〜とか今更ふざけた後悔をしつつ、八代へ行く列車に乗り込みました。

さすが熊本県下2大都市の熊本と八代を結ぶ路線です。車内は人でごった返していました。それなのに2両編成というのはちょいと少なすぎやしませんかJR九州さん?まあ貧乏会社なので仕方ありません。八代に着くとJR九州の管轄を外れ、肥薩おれんじ鉄道という会社の路線になります。元々は鹿児島本線の一部であったこの区間でしたが、新幹線の開業に伴いJRから切り離され、第三セクターとして管理されることになりました。そのため青春18きっぷは使えず、別途料金を支払うことになります。肥薩おれんじ鉄道は18きっぷを提示することで一日全線乗り放題のフリーパスが2700円ほどでもらえるのですが、窓口で切符を提示したところ、「もっと安い切符あるよ!」と言われ、1800円ぐらいのフリーパスをもらいました。どうやらもっと安い切符を売ってる期間が、当初は2月までだったものが3月までに引き伸ばされており、僕はそれに気づいていなかったようです。ありがたい話。肥薩おれんじ鉄道は海沿いを通る路線であり、ちょうど日が傾き始めた時間帯だったということも相まって、水面を照らす夕日を眺めることができました。

しばらくすると鹿児島県に入ります。県北の都市・出水で乗り換え、すっかり真っ暗になった世界を列車は疾走します。そして、本日の終着地である川内(読み方は、「せんだい」)に到着します。なぜか出水〜川内までの列車にはくまモンが乗車していました。ここ鹿児島やぞ。

肥薩おれんじ鉄道の鹿児島区間に乗車している外様の熊野郎

川内で泊まったホテルは駅からやたら遠かったです。誰ですか?こんなところを予約したのは。歩き疲れましたね、明日に備えてしっかり寝ましょう。それでは、おやすみなさい。


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