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読書録

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科学哲学関連本メモ

プラセボ効果の理解を深めるための科学哲学読書。ほんと面白い。

カルロ・ロヴェッリ『カルロ・ロヴェッリの科学とは何か』理論物理学の研究者である著者の科学哲学本。科学史上の画期をなすアナクシマンドロスの業績を紹介。

そこから科学と宗教の緊張関係などに話はひろがって…。

無知からはじまる物語。

著者のほかの本も読もうと思った。

マイケル・ストレーベンス『科学の哲学 世界を一変したブレイクスルー

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客観性の定義について『はじめての科学哲学』が教えてくれること

八木沢敬著『はじめての科学哲学』を読みだしたものの、最初の章からどうも気乗りしない…がしかし、ちょっとしんどいなと思いつつ読み進めていたら中盤以降に面白い記載があったので結果的にはいい読書体験になった。

以下、節タイトルとともに気になる箇所をピックアップして紹介したい。

自然は急に変わらない:自然の斉一性「絶対時間」や「絶対空間」といった、いかめしい言葉をつかうことなくスマートに同様の表現がで

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ランダミスタ:『RCT大全』に見る比較試験の必要性

ランダミスタ:『RCT大全』に見る比較試験の必要性

プラセボ効果について深く知るために、ランダム化比較試験(RCT: randomized controlled trial)の本を読む。

『RCT大全』邦題は『RCT大全 ランダム化比較試験は世界をどう変えたのか』(みすず書房)だが、英語の原題は『Randomistas: How Radical Researchers Changed Our World』で、訳すなら「ランダミスタ:急進的研究者た

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オブジェクト指向科学哲学:『科学哲学へのいざない』の志向的な指向性

オブジェクト指向科学哲学:『科学哲学へのいざない』の志向的な指向性

佐藤直樹著『科学哲学へのいざない』(青土社)は生物学の方法論をベースとした科学哲学講義録、といったおもむきの書籍。

本書を読み、気になったあることを書きとどめておきたい。

批判的読解本書は出版時に科学哲学界隈で話題になったようで、科学哲学者・伊勢田哲治氏がブログでやや批判的な読書記事を残している。

当記事の内容はさておくとして、『科学哲学へのいざない』からの引用として下記の記載(太字追加)が

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『でたらめの科学』が面白い!科学実験を支えるデタラメとニセモノ

『でたらめの科学』が面白い!科学実験を支えるデタラメとニセモノ

科学実験には「エビデンス(科学的根拠)」を与えうる力がある。その力をとりあえず「証明力」と呼ぼう。証明力を保証するのは何のどういった性質だろうか?

もしそれが「乱数のでたらめさ」であるとすれば、エビデンスがデタラメに支えられているという倒錯的な状況をどう理解すればいいのだろう?

科学的証明証明について知りたいなら、最善の道は数学における証明の議論を追うことだ。ここでその詳細には踏み込まないが、

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