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【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】 「探究」で「キャリア教育」のトレンドは去ったのか?
高校では昨年度から「総合的な探究の時間」がスタート。
いろいろなところで
「探究」という言葉が聞こえてくるようになったのも
今回の学習指導要領改訂の特徴のひとつです。
この学習指導要領の改訂ですが、
以前と比較すると「キャリア教育」というキーワードが
ちょっと聞こえづらくなった感があります。
では、
「キャリア教育」のトレンドは去ったのか?
というと、決してそういうわけではありません。
「探究」と「キャリア教育」には深い関係があることを
しっかりと理解しておく必要があると思っています。
ポイントは2つです。
●探究は「自分の興味・関心」から始まる●
探究の「学びのサイクル」として
4つのプロセスが提示されています。
①課題の設定
②情報の収集
③整理・分析
④まとめ・表現
この最初にプロセス「課題の設定」では、
自ら課題を発見することが必要になります。
課題を発見するプロセスの中に、
自分自身の問題意識や興味・関心と向き合う
ということが必要になります。
なぜ学ぶのか、何を学ぶのかの前提に、
「自分を知ること「自分の興味・関心」がある
ということになります。
なお、この4つのプロセスは
「探究」になって初めて登場したわけではなく、
「総合的な学習の時間」から変わらないものです。
●自分の興味・関心と社会と学びがつながる●
4つのプロセスの中の
②情報の収集
③整理・分析
④まとめ・表現
で具体的にどのような活動を行うかというと、
設定した課題についての情報収集や
仮設に基づく実験、調査など。
このプロセスで必要になるのが知識・技能、
要するに学校の授業で行われる教科・科目です。
総合的な探究の時間は、それ単体で成り立っているのではなく、
他の教科・科目の授業と密接に連携していくことになります。
また、これらの活動は、学校の中だけでなく、
大学などの研究機関や企業、地域社会に
つながっていくものです。
それも、そのベースにあるのは、
ひとりひとりの興味・関心から生まれた課題。
学習者自身が、自身の興味・関心と学び・社会が
つながっていることを実感しながら学ぶことができるのです。
文部科学省による「総合的な探究の時間」の解説では、
「総合的な学習の時間」との違いが
次のように説明されています。
「総合的な学習の時間」
課題を設定し解決していくことで
自己の生き方を考えていく
「総合的な探究の時間」
自己の在り方・生き方と一体的で不可分な
課題を発見し解決していく
「一体的で不可分」=切り離すことができない、
というところがポイントです。
上記の2つのポイントからもわかるように、
「自分の在り方・生き方」と「社会や職業」という
キャリア教育の大きな2つの柱が
探究には内包されているのです。
特に高校においては
「探究」そのものが「キャリア教育」の主軸になる、
と言えるのではないでしょうか。
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松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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