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【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】「考えさせる」で主体性は育まれるか?

前回のメルマガでは、PBLの失敗(実話)をご紹介しました。

プログラム設計の上でやりがちな落とし穴を
もうひとつご紹介しておきたいと思います。

本当にほんのちょっとのことなのですが、
今日の話題は「言葉遣い」です。

言葉には無意識に本音が出るから気をつけろ、と、
20代を過ごした会社の上司や先輩からよく言われました。

とくに、
プログラムの企画書を見ていてよく出会っちゃう、
「子どもに〇〇を考えさせる」というやつ。
学校の先生が書く授業案でも、ときどき見かけます。

で、何を考えさせるのかって、
キャリア教育の場合だと、
「自分の将来について」だったり、
「自分の問題意識について」だったり、
かなり主体性が大事になるものだったりするのですが、
でも、考え”させる”って言葉は、
主体性が全くない「強制」になっているという
大きな矛盾。
どんなに主体性を求めても、
やらされ仕事には主体性は生まれないです。

「させる」って言葉は、使役形。
要するに、大人が子どもと意図通りに動かしたいという
「本音」がダダ漏れになっちゃってるのです。

似たものだと「〇〇してもらう」とかも、
よく先輩に指摘されました。
なんで子どもがあなたのために
〇〇してあげないといけないの?と。

かつての上司や先輩たちが言われていたのは、
誰のための企画なのかを忘れてないか?
ということだったのだと理解しています。
当時勤務していたのは通信教育の会社でした。
子どもたちとのコミュニケーション媒体は教材。
授業やプログラムと同じく、
大人が子どもをいいように動かそうとしてはいけない。
主人公は教材を使って学ぶ子どもたちで、
彼らがどう動くのか、どんな思考を起こすのか、
彼らの目線で考えることができているか?

自分が無意識に使っている言葉は、
自分の本音を検証するチャンス、
立ち止まって見直すチャンスなんだと思います。

例えば「考えさせる」。
主語が大人なのであれば、
「問いかける」とかいう
主体がわかる動詞にすればいいのです。
そうすれば、大人が子どもたちと
どのように関わろうとしているかも明確になります。
それが自分の在りたい在り方かを
そこで検証することができます。

ほんのちょっとの「言葉遣い」ではあるのですが、
子どもたちにどう対峙するのか、
自分の本音や在り方を見直してみませんか?

松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部社会学科卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。
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