見出し画像

【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】主要5教科で測れない価値を見出すキャリア教育を

中学校に入ると、とたんに「テストの点数」という、
明確な「数字」で評価が出るようになります。
それも語られる対象は主要5教科。
家でも「勉強」が話題になることが増えてきます。

でも、こうして「評価の軸が5教科の点数」になってしまうことの弊害、
大きいのではないかとあらためて感じるようになりました。

今年度、
ご縁あってとある公立高校のプロジェクトに関わりました。
いわゆる「偏差値」で区切ってしまえば、
成績が良いとはいえない高校です。
地域での学校の評判もそんなにいいわけじゃない。
先生たちも「手のかかる生徒」と認識をしている。
おそらく生徒本人たちも、自信がなく、
自分のことをダメだと思っている。

どこに行っても「どうせ‥」という言葉がつきまとう感じです。

こうした学校の場合、
PBL(Project-based-learningもしくはPloblem-based-learning)型の
授業やディスカッションを伴う授業の導入がむずかしい、
と判断されることが多くあります。

でも本当にできない子たちなのか?といったら、
決してそんなことはありません。

ただし、簡単ではない状況は、間違いなくあります。
ハードルとしてぶつかるのは、
自分の意見やアイデアを、なかなか発言しない・できない。
ファシリテーターとなる大人が困惑するシーンですね・・・

ですが、これは、「どうせ‥」という気持ちが
発言にブレーキをかけているからなのかも、と思います。
ここが最もむずしかったりするのですが、
発言できる場づくり・関係づくりがキモだと言われています。
関係性を作るスキルを求められる点です。
それから、ベースにある生徒の可能性を信じる度量と。

対峙する大人も試されているなーと思います。

また、やってみたら、ふだんの授業は寝ている子が
おもしろいアイデアをたくさん出したりすることもあります。
言葉は少ないけれど、ビジュアルイメージが
豊富に湧き出してくる子だっている。
そういう子たちをちゃんと見て、
「いいね」って言えることもとても大事になります。

・・・と、こうして考えてみると、
5教科の点数だけで評価されてきた結果の自己評価・他者評価が、
「どうせできない」と
体験や学びの機会を奪っているのだとしたら、
すごくもったいないのではないか?と思うのです。

PBLや探究型の活動(論文を書くことではなく)をやっていて
おもしろいなーと思うのは、
5教科の点数だけでは評価できないであろう「持ち味」を
いろんな子が発揮できる点。
これは、私自身がグラフィックデザインの大学に通う中で、
あらためて実感したことでもあります。
プレゼンテーションの言葉はちょっとたどたどしいんだけど、
イラストなどのビジュアル表現が本当にすごい!
と思うことがたくさんあったのです。
ほんとにリスペクトの連続でした。

探究学習では論文やプレゼンテーションなどの
言語活動が重視されますが(もちろんそれも大事!)、
5教科以外の表現方法、音楽やデザイン、服飾などが、
もっともっと重視されると、豊かでおもしろそうだなーと。
探究を「作品」に仕上げていく授業や、デザインする活動も、
もっともっとやってみたいなぁと思うんです。


松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部社会学科卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。
☆学校を応援する大人のための教育マガジン無料配信中☆
 登録はこちらから。
  https://submitmail.jp/FrontReaders/add/4173
 バックナンバーまとめ読みはこちらから。
  https://note.mu/axfactory/m/m4a777303bd10

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?