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【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】「探究」って、なにをどうするの?

学習指導要領改訂により、
高校の「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に。
各高校がすでに「総合的な探究の時間」に移行を始めています。

この「探究」って、いったい何?ていう話なんですが、
探究のプロセスとして、
 ①課題の設定
 ②情報収集
 ③整理・分析
 ④まとめ・表現

の4つが示されていて、
これを発展的に繰り返していくこと、とされています。

これ、何度かnoteに書いたこともあったのですが、
卒業制作のプロセスと全く同じだったのです。


 ①デザインによってどんな課題を解決するのか、取り組みたいテーマを決める。
 ②テーマに関する情報や先行事例を集めて分析。
 ③すでに解決できていることと解決されていないことを整理していく。
 ④作品という形で表現し発表する。

グラフィックデザインの卒業制作だったので、
④の比重が大きい部分があったのですが、
作品を作ってみては検証し、
企画を練り直して検討しなおし、の繰り返しでした。

そして、これも繰り返しになりますが、
「テーマを設定する」プロセスが最も大切でむずかしい。
「総合的な探究の時間」においても、
テーマ設定に時間をかける部分は全く同じではないかと思います。

卒業制作という形で自分でもやってみて、
テーマと向き合う時間は、
以下のようなことを突きつけられる時間でもありました。


●自分自身の経験から生まれた問題意識がどこにあるのか?●
 それって、本当に自分のやりたいことなの?
 自分はなぜそれをやりたいの?
 自分はどんな状態を目指しているの?
 ・・・そんな自問自答を繰り返していました。
 一度決めたテーマも、試作品を作っていく中で再検討し、
 さらに詳細のテーマに落とし込んでいく、という
 課題設定の繰り返しも何度かありました。


●社会の中で求められていることなのか?●
 大学の先生からも、
 「グラフィックデザインは課題解決の手段である」
 ということを、何度か言われました。
 そこに解決すべき課題はあるのか、
 どんな人から求められているのか、
 解決したらどんな成果が期待できるのか・・・
 先行事例の調査や情報収集のプロセスの中で、
 「誰が」「何に」困っているのか=課題を
 深く詳しく掘り下げていくことになりました。
 解決課題の明確化はアイデアや表現を
 より良いものにしていくヒントにもなります。


さらに、実際に解決可能なものかなどといった、
「課題のサイズ感」も検討ポイントになってきます。


学習指導要領に書かれている
「学習対象となる探究課題の四つの課題」も
考え方としては同じなのではないかと思います。

提示されているのは以下のようなもの。

 ●横断的・総合的な課題・現代的な諸課題
  (例:国際理解・福祉・科学技術など)
 ●地域や学校の特色に応じた課題
  (例:町づくり・防災・伝統文化など)
 ●生徒の興味・関心に基づく課題
 ●職業や自己の進路に関する課題

また、与えられた課題ではなく、
自分が取り組みたいことに取り組む、ということは、
まさにキャリア教育の実践でもあるということです。
どこにもそんな言葉は登場しませんけれど、
自分の将来を考え、学ぶことにつながる学習であることは
間違いないのだと思います。

松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部社会学科卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。
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