見出し画像

【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】教員にしかできないこと・社会人にしかできないこと

最近はこういう方は少ないかもしれませんが、
まれに、声高にこんなことを言う方に会うことがあります。

「学校の先生は社会を知らないからダメなんだ」

確かにそういう側面もあるのかもしれません。
でも、あえて反論するならば、

「先生というお仕事を、あたなは本当にできますか?」

と問いたいと思います。

長年お手伝いをしている、小学生のアニメ制作授業で
とある先生からこんな話を聞いたことがあります。

「アニメ制作という体験を通して学んで欲しいのは、
 チームの中で役割を担うこと、
 他者と協力して一つのことを成し遂げる経験でした。
 なので、チーム分けを子どもたちに任せてみました・・・」

子どもたちは、アニメ制作に必要なこととは何かを考え、
メンバーの組み合わせを判断していたそうです。
しかし先生から見たら、「組み合わせが心配なチーム」も。

案の定、ケンカになりかけたチームが出たとき、先生は、
子どもたちが人間関係を作りながら解決して欲しいと願いながら
でも、決定的な分裂にならないように、
介入するタイミングを慎重に観察し、見守っていたそうです。

大人はついつい、介入してその場を収めてしまいそうになる。
でも、そんな中で子どもたちの状況をしっかり観察し、見守ることは、
子どもたちと常に一緒にいないとできないことです。
こうしたとことが、教員にしかできない役割と、
その専門性なのではないかと考えています。

キャリア教育などで関わる社会人も、
ここまで日常的に子どもと関わることはできません。
しょせん「外の人」なんだなと、私自身も思っています。
目の前の子どもたちに何が必要なのか、
最後は先生にお任せするしかないと思っています。

では、その一方で、
学校外にいる社会人にしかできないこと、
その専門性とはなんなのか。
仕事の経験、プロの技、ひとりひとりの人生経験など、
こうした、その人でないと伝えられないことが、
なによりも教育資源になる専門性だと思っています。

教員と社会人がそれぞれ尊敬しあい、
その専門性を存分に発揮しながら役割分担ができたら、
子どもに提供できる学びの場がより豊かなものになるはず。
新たな学習指導要領では「社会に開かれた教育課程」が
改訂のポイントとの一つと言われていますが、
これを実現するには、教員・社会人が双方に理解しあい、
尊敬しあって「チームになること」が必要なのかもしれません。

松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部社会学科卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factoryを設立。
☆学校を応援する大人のための教育マガジン無料配信中☆
 登録はこちらから。
  https://submitmail.jp/FrontReaders/add/4173
 バックナンバーまとめ読みはこちらから。
  https://note.mu/axfactory/m/m4a777303bd10
☆社会人先生になろう養成講座☆
  http://ax-factory.wix.com/guest-teacher-lab

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?