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備忘録的な「うつとのつきあいかた」の話

気づけばもう20年近く前のことになってしまったらしい。
時が経つのって、早いなぁ(笑)

20代後半で、半年近く傷病休暇をとったことがある。

 軽度の抑鬱状態で、最終的には病院で診断書も出していただいている。背景には、当時の私には質的にハードルの高い仕事だったという外部要因と、加えて完璧主義の性格という内部要因の両方があったのだと思う。「やらねばならない」にがんじがらめになっていたのだと思うが、あの仕事量と内容でなぜ潰れたんだと、今は思えるということは、少しは成長したんだろうか。

 その後もしばらく通院や服薬を続けており、外科的なわかりやすい「完治」がないので、通院の間隔は数ヶ月単位だったこともあれば、数年後だったこともある。メンタル疾患は非常にわかりにくい。普通の人でも気分の浮き沈みはある。その気分の振れ幅が異常に大きくなった時が病気なんだろうと思う。だから、どこからどこまでが病気で、どこからが健康で、という境目が非常に曖昧。他人から見たら何がツライかなんてきっとわからないだろうし、病気じゃない、気分の問題だろうという人もいるかもしれない。本当にわかりにくいものだと思う。自分の性格も背景にあるということは、その振れ幅も自分の一部ということだ。自分の一部なのであれば、これを自分自身が受け入れなければ生きていくことはできない。そこらへんもまたツラかったりするのだが、こうして心理的な綱渡りをしながら過ごしていくしかないのだろうと思った。

 そんな通院も、10年前の3月の、震災直後が、いまのところは最後となった。あくまで、いまのところ。でも、薬はお守り的に鞄の中に入ったまま。何か転機があったとしたら、会社員をやめたことだろうか。どうやら私にとっては「組織の論理」が鬼門になっていたようで、会社員をやめたら「やらねばならぬ」から解放された。そもそも業務命令が聞けないタイプなのに、無理矢理自分を納得させて業務命令を聞いていたら、そりゃあ、おかしくなる。会社員をやめて、仕事の内容と働き方と、かなり理想的な状態を手に入れることができた。以前のような心理的な綱渡り感もなくなった。逆にこの働き方で再び潰れたら、もう立ち直れないかもしれないとも思ったくらいだ。

 それでももちろん、体調や気分の浮き沈みは、ある。苦手な季節がある。秋は苦手だ。なかなかわかってもらえない感覚だけれど、雲ひとつない、青すぎるコバルトブルーの空は不安になる。いちめん雲でフタがされたような空が続くと不安になる。ならばいっそ雨でも降ってくれと思う。空はそこにあるものだから、逃げようもないし。そして、このコロナ禍。メンタルを病む人、増えただろうなぁ。ままならない状態がここまで続くと、精神的にはツライ。しかしこれも、空と同じで、どうしようもない。どうしようもないところが、さらにツライ。自分も客観的にみたら軽いうつ状態なのかもしれないと疑うが、しかし、病気と病気じゃないものの境目がよくわからないのが、メンタル疾患のめんどうなところだ。

さて、いまの私は、病気なのか否か?

松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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