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【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】 出前授業ですべてが実現できるわけじゃない

私たちのような学校外の人材が
出前授業という形で学校で授業を行う場合、
ついつい欲張ってしまうんです、という話です。

キャリア教育コーディネーターの実践コースの活動の
もっとも大切なシーンのひとつに、
「授業の企画を考える」があります。
中でも大切なのが、授業のねらい(ゴール)の設定。

ここで思わずやりがちな「失敗」が、
「壮大なゴールを設定してしまう」というものです。

企画する私たちにも、
子どもたちへのいろいろな願いがあります。
どんな大人になってほしいかとか、
どうやって人生を切り拓いていってほしいかとか。

キャリア教育は人生を自ら切り拓くためのものなので、
子どもたちのための授業を考えるということは、
その裏返しのように、
常に「自分自身はどう生きているのか」が問われます。
自身の自立なしにキャリア教育を考えることはできない。
ゆえに、ひとりひとりが、こうした「願い」を
自分の中の「軸」として持っていることは、
キャリア教育コーディネーターには必須だと思っています。
学校や先生の御用聞きではないのです。

ですが、この「願い」を
そのままの大きさで授業のねらいにすることはできません。

出前授業は、
いつもの授業と違う特別な時間かもしれませんが、
子どもにとっては365日のほんの1時間かそこら。
私たち外部の人材が関われる時間は、その程度です。
その中で何が実現できるのかといったら、
たいしたことがないということは明白ですよね。

その「1時間かそこら」の「質」を
最大限に高めるべく良いプログラムにすることは
もちろん必要です。
加えて、もうひとつ、求められる「質」があります。
それは、
365日の中でその1時間を俯瞰してみたときに、
どんな役割を持った1時間にするのか、
終わったあと誰にどんなバトンを渡すのか、
カリキュラム全体の中に位置づけて考えること。

そのためには、
私たち外部人材だけで考えていてはいけないのです。
自分たちの持っている「壮大な願い」は、
子どもたちを日々みている先生と共有すること。
そして、私たちも
先生の「願い」を受け止める必要があります。

先生と外部人材と、
役割をぱきっと切り分けでしまえば
準備はラクチンかもしれませんが、
それでは授業の質はあがらない。
めんどうかもしれませんが、
先生も私たちも、丁寧に丁寧に、
紡ぐものなんじゃないかなと思っています。

松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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