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若手設計者向けイベント「好きな働き方で、やりたい設計をかなえるためには?」を開催しました。

こんにちは。
建築設計者のための求人サイト A-worker運営スタッフの大塚です。

2022年2月20日に若手設計者向けイベント「好きな働き方で、やりたい設計をかなえるためには?」を開催しました。

■ 開催の経緯 ■

私たちは、A-workerを運営するなかで、若手設計者から以下のような悩みを耳にすることがあります。

・日々の業務に忙殺されて、成長しているかわからない
・自分が設計者に向いていないのでは…と不安に思う
・自分の興味のある業務が割り振られない

このような「設計者ならではの悩み」を抱えながらも、建築業界に残る「背中を見て学べ」という風潮もあり、周りの人に相談しづらいというケースが少なくありません。

今の職場で頑張るのか?環境を変えるのか?でも、どうやって…?とモヤモヤを抱えている設計者に「悩みの解決方法」をお伝えすることで、

・若手設計者が自分のやっていることに自信を持ってほしい
・自分の進むべき道を納得して選択できるようになってほしい
・好きな働き方で、やりたい設計をかなえてほしい

そのような想いで、今回のイベントを企画しました。

■開催概要■

<日時>
2022年 2月 20日 14時~15時30分
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14:00 ~ 14:10 オープニング
14:10 ~ 14:40 第1部 入社3年目までの若手設計者が抱える悩みを解決!
14:40 ~ 15:00 第2部 Q&Aタイム
15:00 ~ 15:15 第3部 まとめ「好きな働き方で、やりたい設計をかなえるために」
15:15 ~ 15:30 エンディング
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<配信方法>
Zoomでのオンライン配信

<参加企業、登壇者>
FREEDOM株式会社 (https://www.freedom.co.jp/
谷崎 雄亮 氏 (グループ管理本部 人材戦略推進部 部長)
岩堀 貴史 氏 (職種:プランナー 入社7年目)
野島 里菜 氏 (職種:アーキテクト 入社4年目)

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今回のイベントは、FREEDOM株式会社の谷崎 雄亮 氏岩堀 貴史 氏野島 里菜 氏(以下、谷崎さん、岩堀さん、野島さん)にご登壇いただきました。

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FREEDOM株式会社は東京都中央区に本社を構え、関東から九州にかけて15スタジオを展開する国内最大規模の設計事務所です。
グループ管理本部 人材戦略推進部 部長の谷崎さんは大学で法律・経営を修めた後、建築専門学校にて建築・インテリアを学ばれました。株式会社ブルースタジオでは設計者・デザイナーとして10年以上活動し、1,000人以上のデザイン住宅を求めるお客様とかかわってこられました。FREEDOM株式会社に転職後「設計者は、教育次第で良くも悪くもなる。」という信念のもと、独自の研修プログラムを構築し設計者のキャリアデザインを主軸に活動されています。

■ご要望は十人十色のため、お客様の求めるデザインができない。学び方を知りたい。

第1部では、FREEDOM株式会社で働く若手社員の方々にご登場いただきました。設計者として業務を行うなかで実際に抱えた悩みに対し、谷崎さんが「考え方」をレクチャーすることで、参加者にヒントを得ていただきます。

1つ目は「お客様が求めるデザインができない」という野島さんのお悩みです。

○野島さん
入社:4年目 職種:アーキテクト 業務内容:主に実施設計を担当。お客様との打ち合わせに加え、現場監理も行っている。

【野島さんの悩み】
基本設計→実施設計と担当者が変わるが、お客様は最初に話をした設計者に対し想いが強くなる傾向がある。実施設計の段階でお客様が求めるデザインを明確に提案し、心を惹きつけたい。ご要望は十人十色のため、お客様の求めるデザインができない。学び方を知りたい。


■「潜在ニーズの把握」でお客様の奥底にある要望を引き出す

【谷崎さんのアドバイス】
以下の「3つのプロセス」が有効、と語る谷崎さん。

①デザインの意図を読み解く
②デザインの構造を理解する
③デザインの最適解を考える

「①『デザインの意図を読み解く』には、ヒアリング力が必要。しかし、ヒアリング力の伸ばし方を教えてもらう機会はなかなかない」と設計者育成の現状に触れる谷崎さん。ここでは「潜在ニーズの把握」という、ヒアリングの一歩先を行く手法を用いて、お客様がどういうデザインを求めているのかを心の奥底から探っていく方法を教えていただきました。

②「デザインの構造を理解する」では、「良い図面を多く見て、『良いものが、なぜ良いのか』を理解することが必要」と学びました。例えば「天井に木を張るとどういう効果があるのか?」や「中庭を作ることでどういうライフスタイルが見込めるか?」など図面に書いてあることに自分なりのアンサーを持つことで、自分のデザインに裏付けができ自信を持つことができると谷崎さんは仰っていました。

①と②で多くの経験を経た後、③「デザインの最適解を考える」で「自分らしさ」を追求していきます。では「自分らしさ」とは?どうすれば見つかるのか?これは、次の方のお悩みに対するアドバイスにもつながっていきます。

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■無意識の「自分らしさ」を具現化することで、自信につながる

2つ目は「デザイン力や完成物に自信が持てない」という岩堀さんのお悩みです。

○岩堀さん
入社:7年目 職種:プランナー 業務内容:基本設計~実施設計を担当。お客様のご要望や希望する土地の情報を読み解き、設計を行っている。

【岩堀さんの悩み】
デザインに「正解」や終わりはない。「こうしたら良かったのでは…」という思いが後から出てくる状態。デザイン力や完成物に自信を持つには、どうすればいいか。

【谷崎さんのアドバイス】
このお悩みは実務者のみならず、建築を学ぶ学生さんも共感できる内容なのではないでしょうか。谷崎さんは、野島さんのアドバイスにあった③「デザインの最適解を考える」に再度言及されました。

「経験を積むうちに、お客様から『岩堀さんにお任せします』と言われる瞬間がくる。それは『岩堀さんらしさ』を認めてもらえたということ。そのときに『岩堀さんらしさをどこで感じるか?』を職場の人に聞いてみてください」と話す谷崎さん。そこで出てきた「こういう色使いや納め方をしているよね」や「動線計画、こういうところに気をつけているよね」という言葉が、「自分らしさ(自信)」につながっていくそう。今まで無意識にしていたことを具現化することで、意図して再現性高く「最適解」が出せるようになる、と力強く話しておられました。

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「自分らしい設計をする」。設計をしている人なら誰でも思うことです。ですが、実際できている人はなかなかいないのではないでしょうか。なぜできていないのか?どうやったらできるようになるのか?がこの3つのプロセスに詰まっていたと思います。「自分もやってみよう」というような表情を浮かべ、頷く参加者の姿が印象的でした。

■1番大切なことは「今、どんな設計がやりたいか」

第2部は、事前にいただいた質問に回答したり、登壇者に直接質問ができたりするQ&Aタイム。「同じことで悩んでいる…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

・住宅設計者。将来は独立希望。この環境でも知識は得られるが、このまま注文住宅でデザインを学ぶのがいいか?
・設計監理者。現場側か設計側どちらでキャリアアップすべきか悩んでいる。給与・残業のことを考えると転職に踏み切れない状況。
・担当している案件の規模が大きいものばかり。設計をやっている実感が得られない。
・設計業務において「経験」or「やりたいこと」どちらを優先すべきか?

それぞれの質問に対し谷崎さんや岩堀さんが設計者目線で回答してくださいました。
「家族ができたら価値観も変わる可能性がある。将来やりたいことから逆算し『今、どんな設計をやりたいか』を考えていく」というライフステージの変化からのアドバイスや「こちらを先に経験していたほうが給与水準を上げていける」などの転職時の具体的な回答をいただき、参加者は納得した様子で頷いていました。

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■自分の能力を可視化して、そこからキャリア形成をしていく

イベントのまとめとなる第3部では「今後キャリアでつまずいたときに、どのように考え、解決していくべきか」ということを谷崎さんにお話しいただきました。

まず、前提として「『やりたい設計』を実現するために、企業の『事業・ビジネスモデル』を理解することが重要。BtoBかBtoCか。そして、設計主体か施工主体か。そこに、何のために設計をしたいのか?という理想を当てはめていく」と語り始める谷崎さん。「悩みは『スキル・キャリア』『人間関係』『職場環境』『業務内容』の4つに分けられる」とも仰り、目指す将来像に合っているのかを確認すべきだと教えていただきました。

そして、今回のメイントークテーマである「悩みを理解する」→「悩みを目標(課題)化する」→「行動する」というプロセスにより、悩みは少なくなるとはっきり話す谷崎さん。そのためには「好きなこと、できること、嫌いなこと、できないこと」をまず可視化し、自己分析を行う。そこからキャリア形成をするように社員には伝えているとのこと。「なぜ、設計の仕事がしたかったのだろう?」「そもそも、設計の何が好きだったのだろう?」を明確にし、将来のビジョンと照らし合わせる。そこの差を埋めていけるように行動していくことが、悩みを解決する方法なのだと仰っていました。

■アンケートの声

ここで、参加者にいただいたアンケートの声をいくつかご紹介します。

「若手社員の方の悩みが自分と共通していましたので、大変参考になりました。」(30代/会社員)
「自分らしさを追求していくことが、デザインや成果物に対しての自信につながるというお話が印象に残りました。」(20代/会社員)
「業務、スキル・キャリア、人間関係が整っていれば環境はあまり気にならないが、それらが欠落すると途端に環境が浮き彫りになると聞いてとても納得できました。」(20代/学生)
「まだ学生の私でも感じる『何のために設計をするのか』という根本的な考えを知れました。」(20代/学生)

アンケートでは「今後の就職活動について、気づきを得られましたか?」という問いに対し、100%の参加者に「はい」とご回答いただくことができました。
その後、イベントがきっかけで求人へ応募された方も何名かいらっしゃり、今回も求職者と設計事務所をつなぐお手伝いができました。

■イベントを終えて■

今回のイベントは「設計者として、このままで良いのだろうか…?」と悩む方々の道しるべとなる内容がたっぷり詰め込まれていました。「自分が今いる場所や、自分自身、将来やりたいことを明確にし、それに向かって進む」というのは設計者人生のみならず、普段の生活でも必要な考え方だと思います。よりよい人生を歩んでいくために、本日学んだことをぜひ実践していただければ幸いです。

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今後も「A-worker」は、建築業界で働く方、業界を目指している方を応援するイベントを開催していきます。「こういうイベントを開催してほしい!」「この方の話を聞いてみたい!」などがありましたら、こちらの記事へのコメントまたはA-workerのSNSへ気軽にリクエストしていただけたらと思います。(SNSはプロフィール欄をご確認ください。)

以下のURLからA-workerをフォローいただくと、イベント開催のお知らせが届きます。よろしければフォローをお願いいたします!

■Peatix(建築設計者のための求人サイト「A-worker」)
https://peatix.com/group/7365563

■FREEDOM株式会社 谷崎様からのご感想■

普段、社内のスタッフに対して話をしている内容に近いテーマが多くありました。こうして参加頂いた方の感想などを拝見していると、設計者として悩むポイントは共通していて、それぞれの経験値において悩みの段階も変化しています。
しかしながら、そういったことよりも、そもそも「社会人としてはたらく環境」というもっと根本の部分での悩みがあると感じました。みなさんがイメージしているキャリアビジョンとそれを実現できる環境がうまくリンクできれば、もっとその根本的な悩みはなくなるような気がしました。私自身も多くの気づきを頂けたイベントであったと思います。ありがとうございました。

Webサイト:https://www.freedom.co.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/freedom.architects_official/
Twitter:https://twitter.com/freedom_kurashi

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