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帽子とAV女優


「うらやましくなんかない。」

と、言わざるを得ない時が来ていると感じている。

28歳 大卒 会社員 女

どこにでもいるちょっとだけ人生を頑張ってきたギリギリ若い女として、
今言わないといけないと思うから、だから言葉を選びながら書きたい。

某帽子ブランド、いやもう名前を隠す必要ないから書くけどCA4LAがあるAV女優とのコラボ商品を発表した。

私はこのブランドで何回もお買い物をしてきた。

季節に合わせて大好きな人に会いに行くためのおしゃれ用の帽子も、
楽しみにしていた夏の沖縄旅行にかぶっていく帽子も。

だから、私はCA4LAのお客なのだ。

でももう、商品を買うことはないと思う。

この場で明言したいことは、

もう水商売や体を売った女が表の世界に出てきて、発信をすることをやめてほしい。

ということだ。

これを言うと、「嫉妬してる」とか「どうせブスなんだろ」とか「アンチにかまってる暇なんてない」
という言葉が返ってくるし、きっと今回も浴びるかもしれない。

件のAV女優も「愚痴いわれてる」なんて言ってたかな。

でも、大きな声で叫びたいことは

「私はあなたたちのことなんて、1㎜たりともうらやましくなんかない」

ということだ。

どんなに彼女たちの容姿が美しくても、
何百万もするジュエリーや時計が買えても、
ブランドのカバンを持っていても、
私の給料が彼女たちの数分の一だったとしても。

私は何もうらやましくない。

私は私の人生を愛している。
両親に愛され、子供のころから勉強は大変だったけど、高校受験で行きたかった高校の合格を勝ち取って、
大学受験を戦って、就活では男の学生と同じようにエントリーシートを提出してコネも何もなくても大企業に入社した。

そして五年間働いている。

22歳の私は今より若く、美しかった(当社比)けど、
私は28歳の私のほうが好き。

毎年できることが増えて、新しいことを覚えて、年を重ねるたびに自分の価値が上がっていく。

私たちの世代は、
先人の名もなき女達の努力によって、
やっとこの日本で男も女も関係なく働くことを実現した社会で生きている世代だ。

もはや、女が生きていくために男に頼ることは必ずしも必要ではなくなっていて。

私が今働いている会社でも9時5時で働いてしっかり稼いで子供を私立の薬学部に通わせるシングルマザーがゴロゴロいる。

勿論、旦那さんと二人三脚で人生を謳歌する奥様もいる。

稼いだ金で自分の人生を思いっきり楽しんでる独身の女性もいる。

誰しもが皆、「女」を売り物にしなくても、
男に頼らなくても自分の人生を選び、乗りこなしている。

私たちは別に、無理やり好きでもない男達に媚びて金をせびらなくても生きていける人間なのだ。

大好きな人と2人だけの秘密にしておけるセックス という行為をカメラの前で下品に誇張して見せることなんて、あり得ないという倫理観の元に生きているのだ。

例え、何億と金を積まれたとしても私達はカメラの前であんなことはしないし、
好きでもない男とお風呂に入る必要も寝ることも選ばない。

あなた達が体を売り、人前でセックス を晒すことが常識だとしても私達は違う。

「有名になるための手段」

「夢の実現のために挑戦した」

そんなふうに、綺麗な言葉でラッピングしたって

この日本には一度も裸を晒すことなく、表舞台にいる女がたくさんいるではないか。

そもそも、裸を晒すことの何が挑戦なのか。
本来人前に晒すべきでない行為を晒すことは挑戦なんかじゃなくて単なる倫理観の破綻した愚かな行為で、身売りに等しい。

所詮は彼女達が得た知名度なんて、表の世界に出るために反則的に本来女として売り買いしてはいけないものや、姿を晒して得た名声でしかない。

どんなに彼女達が、キラキラして見ていようとその土台にはカメラの前で晒してきた姿がある。

美しくなんかない。

憧れるわけがない。

それなのに、彼女達は自分たちが抱え込んだ闇を昇華させるべく表舞台に出てこようとする。

女の子のための下着のプロデュースだの、メイク用品だの、バラエティ番組にも出てくるし、
いやでも目に入ってくるのだ。

やめてくれ。
男の性欲にのっかって、言うなればその体と尊厳を差し出すことだけで、血の滲むような努力で表舞台に立った人たちと同じように称賛され、人に憧れられようとなんてしないで欲しい。

そんなことは恥知らずで高望みのことだ。

彼女達を起用しているのは、
彼女達の女を使った「営業」行為の結果なのか、
はたまた起用する人物を決定する立場にいるのが、彼女達の「顧客」である男性にあるからなのか、あるいはその両方か。

それはわからないけれど、

私達女に対する商売に、彼女達を噛ませるのは金輪際やめて欲しい。

同業の女達を除いて、本気で夜を売る女に憧れる女性なんていない。

例外があるとすれば、彼女達が体を売りながら作り上げたキラキラを無邪気に信じてしまう女子学生や、思考力が欠如した女達だけだ。

「人のことに口出さないで自分の人生をちゃんとやってればいいのに」

と、言ってるけれど。

私はこのまま夜の女達がどんどん表に出て来て、持て囃されて、女を切り売りすることに抵抗のない世の中になんて絶対になってほしくない。

やっと、男も女も関係なく働けるようになり、
女も男も人間として尊重されるようになったのに、

女を売ることを是とする世の中になったら、
「最悪女を売ればいいだろ」って空気すら生まれていくだろう。

女を売って、その金で顔を切り刻み、美しさと細さを追い求めて。

そんなことはスタンダードになるべきではなくて、異常者のやること。

それでもしたいなら、黙ってやってよ。

もうそれしか望まない。

体を売っても、映像を売っても構わないから買う男と売る女の間でだけやっててくれればいい。

女は密かに体を売り、男はこっそり買う。

その両者共に恥ずべき姿であり、褒められることなんかじゃないのに。

売る女達が表舞台に出て来て、

売ることが恥じゃなくなったら、

次は、売らないことが「コスパが悪い」ことになり、「売ることが賢い」ことになる。


そんなことは間違ってるのだ。

私は、女としての尊厳を守るためにあなた達に対して表舞台に出てくるなと言いたい。

そして、大きな声で

私はあなた達のことなんてちっとも羨ましくなんかないと胸を張って叫ぶ。

私達は自分の人生を自分の根底にある基本的な尊厳を抱えて本気で生きてる。

あなた達と違って。


最後に、帽子メーカーCA4LAの広報、製品企画の方へ。

私は、あなた達のメーカーの帽子が大好きでした。

でも。もう買いません。今持ってるものも被りたくありません。

あなた達は私達女性をav女優に憧れる愚かな生物だとみなしているのでしょう。

そして、私はAV女優と同じ商品なんて被りたくありません。

これは、シンプルな私の本音です。

毎日平凡でつまらない日々を、それなりに戦いながら地道にキャリアを積み上げて、夢を抱えて生きてるどこにでもいる普通の20代の女の本音なのです。

どうか届きますように。

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