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2023.2月に出会えた映画たち


毎月見た映画たちを記録する、月次映画報告記事を書く時期になりました。

いやー、毎回思うんだけど2月って本当に嘘みたいに早く過ぎ去っていくよね。

まず先に言っておくけど、2月公開の面白そうな映画が多すぎだった。

実は、1-3月の映画鑑賞計画を立ててた時に、3月は私の住む大阪で大阪アジアン映画祭があるので、ここに勝負をかけるべく2月は控えようと思っていたら、訳がわからないほど大量の面白そうな映画が2月に投下されてしまったので結果的に12本もみてしまった。

なので今月も見た映画を振り返り、
最後に一番好きだった映画を選んでいきたいと思う。
ただし今月は旧作を一本しか見てないので新作の1番好きなものだけを選出する。

では、スタートです。

1本目は香港から「カンフースタントマン」

シネリーブル梅田にて


これはね。
見に行くかどうかぐだぐだと後回しにして、
1月から2月にずれ込んでしまった映画だったんだけど、やっぱり見たくなって最終日の最終回に駆け込んで見てきた。

香港映画といえば、去年の夏にウォンカーウァイにハマってから、なんとなくアートでトロンとしたような恋愛映画のイメージがあって、
なかなかアクションモノには手を出せていないんだけど、

今回見に行った「カンフースタントマン」では香港映画の全盛期に、華麗なアクションシーンを命がけで支えてきたスタントマンたちにスポットライトを当てたドキュメンタリー映画。

いやー、これがね。
本当に香港アクション映画をほとんど見たことなくて、香港の俳優さんを全く知らない私でも死ぬほど感動して涙が出そうになる程見応えがあった。

香港映画といえば、アクション映画で昔世界的にハリウッド映画と匹敵するほどの人気を誇っていたことはなんとなく前知識として持っていたけど、
その人気を支えていた華やかなアクションシーンがスタントマンたちがワイヤーなしで7階のビルから飛び煽りたり、走行するバスから飛び降りたり、本当に命をかけた戦いを日々行い続けたことで不可能を可能にして生まれてきたものだということがこれでもかという程に伝わってくる。 

「スタントマン never say no」

という一言にスタントマンとしての矜持、プライドが詰め込まれてい泣きそうになった。

去年の11月に、香港の7人の映画監督が香港を描く、と言うコンセプトの「七人樂隊」と言う映画を見に行ったんだけど、そこに出てきていた人たちが、この映画の中で往年のスタントマンとしての当時の思い出やエピソードを語っていて、

「あー!あれってそう言うことだったのか!!!」

なんてつながったりして面白かった。

この映画を見てから、とにかく香港のアクション映画に興味が湧いてきて、
もう少ししっかり勉強したくなって買うつもりがなかったパンフレットまで買って帰ってしっまった。

いやー本当に一本目から素晴らし過ぎる映画だった。

これから映画館に行く傍ら少しずつ香港アクション映画の名作たちも視聴していきたいと思う。

この映画は、香港アクション映画の栄光を懐かしむ映画じゃない。

香港アクション映画が未来に続くものであり、今も香港にとどまり、若手を育成して、香港映画が再び世界を魅了する過程を描いた未来へ続く話なのだと信じたい。



2本目は「新生ロシア1991」

第七藝術劇場にて

ソ連崩壊を描いたドキュメンタリー映画。
当時の映像を白鳥の湖に乗せて、淡々と見せてくる。

今から30年近く前に、自由と民主を求めてレニングラードの広場に集った何千人もの人々がいた。

彼らが今の自国の状況をどう思っているのかに思いを馳せながら鑑賞。

余談だけどこの映画を見るにあたってロシアの歴史を本一冊丸々読んでお勉強。

普段なかなかシル機会のないロシアのことにこの映画を通してちょっとだけ詳しくなれた。

会場の熱量がとにかくすごくて、涙ぐんでいる人もちらほら。

また、この映画の中で当時のサンクトペテルブルクの市長が映るシーンで一瞬若き日のプーチンが映っていたらしいけれど私には当然わからず。

会場では「あそこあったよなー」

みたいな会話が繰り広げられていた。

そんなロシア通な人たちと同じスクリーンを眺めて、自分なりにロシアの今後を考えるいいきっかけになった映画。

お勉強させていただきました。


3本目は「グッバイバッドマガジンズ」

シネリーブル梅田にて

おしゃれなサブカル雑誌に関わりたくて出版社の門を叩いた主人公がまさかのエロ本編集部に配属。

予告見た時邦画のはちゃめちゃB級コメディなのかなあ、と思って見に行ったんだけど、

「エロ本作れるようになったらどんな雑誌でも作れるようになるよ。」

と言う先輩編集者の言葉を胸に主人子が日々目の前の一つ一つの仕事に向き合い、立派なエロ本編集者になる過程が思ったより丁寧に描かれていて、キッカリお仕事映画をしていて少しびっくりした。

エロ本の裏側ってどうなってるんだろうなんて、少し下世話な好奇心もしっかり満たしてくれる。

「エロいってなに?」
「人はなぜsexをするのか」

という主人公が作中追い求めた疑問に決着がつかないことに関して若干のモヤモヤが残るものの、見応えのある素晴らしい映画だった。

東京オリンピックという国家事業を前に、世界には見せられない日本の恥ずかしい文化と消されていったエロ本という一つの時代と文化。

エロ本だけでなく紙媒体の悲哀というものが映画全体を通して伝わってきてそれもまた考えさせられる内容だった。


4本目は「コンパートメントNO6」

シネリーブル梅田にて


カンヌ映画祭グランプリ受賞ということで前々から予告もガンガン流れていたし、絶対に見てみたいと思っていた映画。

ロシアに留学しているフィンランド人の留学生が、ロシア最北の街にあるペテログリフという遺跡を見に行くために寝台車に乗り込み、その同室になった粗暴な炭鉱マンのロシア人の男との交流を描いた映画。

主人公の女の子モスクワの名門大学に留学していて、外国人でありながら自由自在にロシア語を操るエリート。

対する、同室のリョーハは粗暴な肉体労働者ということでこの正反対な二人が寝台車の一室を舞台に繰り広げるドラマが本当に心がじわじわと温まっていくような素晴らしい映画だったのだ。

この映画は90年代を舞台にした映画とのことだったが、その寝台車が私が2018年に中国横断旅行をした時に乗った寝台車と作りも趣もそっくりで映画を見ている間自分も旅をしているような気持ちになって没入感が凄まじい映画体験だった。

「彼女の人生は輝いている。素晴らしい。だから私もそんなキラキラしている彼女の人生の一部になりたかったのよ。」

と告白するシーンは本当に胸に突き刺さった。

旅って不思議で、そこで出会った人が前世からの親友に思えたり、はたまた信じられないような悪い人に出会ってみたり。

コロナで3年くらい旅に出れていないのだけれど、旅へ思い、渇望をかき乱してくる映画で、見終わった後にすぐにもう一回見たくなる。
あの映画の世界から出たくなくなる。

そんな不思議な強力なパワーを持った映画だった。

ラストは「やっぱりそうくるよね!」と思っちゃう物なんだけど、それがまた最高に気持ちがいい終わり方。

カンヌグランプリは伊達じゃない!
見応えのある一本だった。


5本目は、「銀平町シネマブルース」

イオンシアタス心斎橋にて

予告見てたら、小出恵介が出ていたのと映画をテーマに下絵一画だというのが気になって見に行ってきた。

正直期待しすぎた。

これはも小出恵介ファンが、小出恵介の復活作。
カムバック映画として見るべき映画だなあと思ったり。

いろいろ魅力的で面白そうな登場人物はたくさん出てくるんだけど、群像劇に悪いところというか。
全員への掘り下げが中途半端でどの人物にも感情移入ができなかった。

あとどっかで見たシーンの寄せ集め感が凄くて。

同じ映画をテーマにした映画ということで先月観た中で一番感動した「エンドロールの続き」には全く足元にも及ばない感じ。(比べるもんじゃないけどさ)

映画をテーマにした映画は出来が中途半端だと見てる側が冷める。

音楽は終始よかったし、ワルツのシーンは単品で好きだった。


6本目は「戦場のメリークリスマス」

シネマート心斎橋にて

これも、ポスターのビジュアルに一目惚れして、見ようと思った映画。
見ようと思ったものの、なんとなく重そうだったので後回しにしていたのだけど、
「最後の大規模ロードショー」ということこれを見逃したらもう二度と映画館の大画面では見られない。と思って頑張って見に行ってきた映画。

いやー、これは見てよかった。

冒頭のビートたけしがトムコンティ演じるローレンスを連れてインドネシアの林の中を歩いていくシーンであの有名な戦場のメリークリスマスが流れ始めた瞬間に映画の世界に引き摺り込まれた。

とにかく、デビットボウイと坂本龍一が美しいのなんのって終始魅了されっぱなしだった。

ビートたけし演じるハラさんとローレンスが純粋な友情を育んでいくのに対して、
坂本龍一演じるヨノイは自分のセリアズに抱く感情を最後まで隠し通し押さえつけてしまおうとする。

その対比がとにかく切ないのもどかしいのなんのって。

セリアズの花を食べるシーンとか、牢獄から逃げ出して、ヨノイと対峙した時の笑顔とか。

何もかも全てが眩しかった。

最後のあのセリアズからのキスでヨノイはこれまで必死に押さえつけてきたセリアズへ抱く感情や想いが制御不能になり一杯一杯になって倒れてしまった。

そして、セリアズが死ぬことによってヨノイは自らの気持ちを隠す必要がなくなり、
行動ができるようになり彼の髪の毛を取ることができた。
日本独特の武士道とそれに困惑する西洋世界という構図もすごく興味深かった。

にしても見事に男しか出てこなかったな。

この機会に見れてよかった。


シネマート心斎橋の壁面アートも素敵だった。


七本目は「バンバン!」

シネリーブル梅田にて

2月10日公開の見たい映画が多すぎて、公開初めて一週間経ったタイミングで見に行った映画。

いや・・・・・・言いたいことはいろいろあるんだあけどまずは一言。

「リティクローシャンカッコ良すぎるんよおおおおおおおお」

何なんだあの美しさは。

目、緑色やん。
アーナンド先生の時の熱血教師キャラは何処へ・・・・?

イケメンパワー全開でビビり散らかしていた。

世界を揺るがす大怪盗と冴えないOLがひょんなことから一緒に巨大な陰謀に巻き込まれ、世界を旅しながら世界を救うというおとぎ話のようなストーリー。

元々は、ハリウッド映画の「ナイト&デイ」のリメイク版ということで、
エンタメ全開の所にインド映画お得意のド派手なアクションが融合していて本当に見ている間ずーっと楽しい見事な作品に仕上がっていた。

「いつか世界を旅してみたい」

と夢見るヒロインに大怪盗リティク様からの

「いつかっていつ来るの?君が君の夢のために何かを始めた時がいつかの始まりなんだよ。今日を最後だと思って生きる。残り時間はいつだって今日1日だけなんだ。」

というありがたいお言葉がすごく心に沁みた。

リティク様についてとこの映画についてはいろいろ面白いことがあったので別で記事を書くので乞うご期待。


8本目は「チルドレンアクト」

シネマート心斎橋にて

女裁判官とエホバの証人2世の少年の話。

ある日多忙を極めて家庭崩壊気味の女裁判官の元に持ち込まれた案件は、エホバの証人の2世の少年の輸血拒否についてのもの。

結局彼女は、輸血をするように判決を下すんだけど、助かった少年の

「僕が。僕が輸血をされたのを見て両親は抱き合って泣いていた。僕に汚れた血が入って信仰が壊れたことに泣いてるのかと思ったら違ったんだ。
彼らは嬉しくて泣いていたんだ。
僕が助かるのが嬉しくて。
彼らは教団の周りの目が怖くて排斥されたくないから僕の輸血拒否を主張していたんだよ。」

というセリフに鳥肌がたった。

彼はそれを知った瞬間に自らに向けられて両親の愛情は教団の同調圧力への恐怖に負けるものだと思い知らされ世界に絶望したのである。

結末はなんとなくフニャッと若干尻すぼみだし、
女裁判官のキャラクターが頑なすぎて、
色々納得いかないところもあったけど、
昨今の問題もあって絶対見たい映画だったのでこのタイミングで見れてよかった。


9本目は「war ウォー!」

塚口サンサン劇場にて

さっき触れた「バンバン!」でリティク様にバンバンと心臓を撃ち抜かれてから、

リティク様をもっと見たい!

と思って作品を漁ってたら、
なんと過去作のこちらの作品が日本で塚口サンサン劇場でのみ上映されてるのを知って、

「え?日本で唯一上映してるのが関西の映画館って私とリティク様ってもしかして運命?いや、運命だよね。うんうん。そうに違いないよ!」

と勝手に決めつけて、わけわからんほどオシャレしてはるばる尼崎まで見に行った映画。

リティク様はお美しくて、
私はひたすら心を打ち抜かれて終始過呼吸で死ぬかと思った。

リティク様ってあれだよね。

目から入れるタイプの抗うつ剤だよ。

もう開始5分からリティク様がカッコ良すぎて、
致死量のリティク様を摂取して死んでたからのこりの146分は昇天した状態で見てた。

ここでリティク様について書くと本当にこの記事の文字数が天文学的文字数になるので、
バンバン!と合わせて後日私がリティク様に終始興奮してる記事を書くので絶対に読んでくれよな!!


10本目は「WORTH 命の値段」

TOHOシネマズ なんば 別館にて

911についての映画。
7000人の人々が亡くなった911で、
遺族全員が別々に航空会社に訴訟を起こした場合航空会社は間違なく耐えられず米国経済に大きな打撃を与えることが予想された。

そこで、国は航空会社への助力として国家で補償金機構を組み、まとまった予算を計上するのだが、この金を多くの遺族にどう分配するのか、という仕事を請け負った弁護士にスポットライトを当てた映画。

911の現場となった貿易センタービルには、
数々の名だたる多国籍企業や金融機関が入っており、もちろん犠牲者の中にはCEOや CFOもたくさんいた。

そしてもちろんそこには清掃スタッフやウェイトレス、救出作業の中命を落とした消防士たち。

彼らに対する補償の金額に傾斜をつけることはまさしく命に値段をつけること。

遺族の母親の、
「私の息子は警察官よ!みんなを助けるためにあそこに行って死んでしまった!
息子の命は株取引をしている奴らよりも軽いって言うの!?」
という叫びが切ない。

仕事を請け負った弁護士は、
大統領や政治家にパイプを持ち、ワシントンでも有数の法律事務所を運営する典型的なエリートで、本気で遺族の力になりたいと思って仕事を引き受けたものの、傷ついた人々や社会の底にいる人々と視線を合わせることができずに衝突をしてしまう。

彼がある未亡人との出会いをきっかけに、
一人一人を人として扱い、人間として大きく変わっていく姿を静かに眺める映画。

そしてそこで描かれる911で大切な人を失ってしまった人々の一つ一つの物語が胸に突き刺さる。

見たい映画の時間を間違えてて、
急遽見ることになった映画だったけど、見れて本当に良かった。

非常に面白かった。

主人公の弁護士がいつものようにオペラを聞きながら電車に乗っていたら、どんどん雑音がうるさくなって電話の音がしてきて、窓の外を見ると911だった、という演出にゾクり。



11本目は「小さき麦の花」

シネリーブル梅田にて


フライヤー見た時は全然見る気がしなかったけど、予告編に撃ち抜かれてみにいくことにした映画。

いやー!見に行けてよかった!

中国の映画なんだけど、
舞台は上海や北京じゃなくて砂漠に近い農村で、
お互いの家族から厄介者扱いされてる2人が結婚させられるところから物語が始まる。

この2人が、少しずつ距離を縮め、夫婦になっていく過程がとにかく優しくて暖かくて涙が出そうなほどに幸せで。

無理やり結婚させられた2人だったけど、
2人は一目見た時から「この人と一緒なら生きていける」と決めていたということがわかったところでもう号泣。

2人でロープで体を繋いで星を見るシーンが一番好きだった。
あと、魔法瓶を持って待ってるシーンも。

全部のシーンが優しくて美しかった。

唯一納得がいかなかったのはヨウティエ(有鉄)が、あそこまで優しくて、農業スキル高めで家まで建てられる完全にできる農民なのになんであそこまで村民から馬鹿にされて蔑まれていたのか。

それがわからなかった。

にしても本当に見れてよかった映画。
まだの方はぜひ!


12本目は「非常宣言」

シネマート心斎橋にて

12月に公開されてたんだけどなかなか行けなくてやっと行けた映画。

韓国発の飛行機を舞台にしたパニック映画。

見応え満点の映画で、イ・ビョンホンがとにかく渋くて素敵でかっこよかった。

本当に臨場感がすごくて自分が飛行機に乗ってるかのような底にいるような錯覚を抱くあっという間の2時間半だった!!

日本の中途半端な悪役っぷりと中途半端な弁護で一体何がしたかったんだ…?というところらまあ置いといてよくできた娯楽作品だった。



と、いうわけでですね。
今月12本ということでこの記事を書くのも死ぬほど大変でした。

でも、やっぱり映画っていいね。
楽しいよね。

3月は、ラスボスイベント「大阪アジアン映画祭」があるので今月以上に大変なことになると思うんだけど、どんな映画に出会えるか今から楽しみ!!

今月のベスト映画は真面目な話本当にいろんなジャンルや国の映画を見たので本当に本当に悩んだし本来決めるべきではないことだと思うんだけど、それでもやっぱり、「バンバン!」としか言えない。

本当ーに楽しかった!

没入感と見終わった後の多幸感が凄まじくて、
次回詳しく書くんだけどバンバンに出会えたことで本当に楽しいことがたくさん発生したので総合評価で大優勝です!!

3月はどんな映画に出会えるのか今からワクワク!

年間100本目標まで現在、21本!

まだまだ先は長いですね〜。

それでは皆様おやすみなさい。

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