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家族が認知症かなと思った時【基礎知識】

・どこに受診すればいいのか:

まずはかかりつけの診療所へ。なければ「物忘れ外来、精神科、神経内科、老年科」などの診療科に同伴し受診に付き添いましょう。そこで家族が感じている違和感を医師に率直に伝えてください。本人の様子を箇条書きにしたものを用意して手渡すと、更にいいです。忙しい医師に後から文章をまとめてもらうよりも、あなたが詳細に書き記した手紙があれば、医師も手間が省けて喜ぶでしょう。

・行政窓口はどこにいけばいいのか:

地域包括支援センター(あなたではなく家族の)です。居住地の中学校区にだいたいひとつあります。ここでも本人の様子を箇条書きした手紙を持参するといいです。

・介護サービスは使えますか:

市区町村の窓口で要介護認定(要支援認定を含む。以下同じ。)の申請をしましょう。介護保険によるサービスを利用するには、要介護認定の申請が必要になります。申請には、介護保険被保険者証が必要です。40~64歳までの人(第2号被保険者)が申請を行なう場合は、医療保険証が必要です。申請後は市区町村の職員などから訪問を受け、聞き取り調査(認定調査)が行われます。また、市区町村からの依頼により、かかりつけの医師が心身の状況について意見書(主治医意見書)を作成します。一次判定の結果と主治医意見書に基づき、介護認定審査会による要介護度の判定が行なわれます。(二次判定)申請から認定の通知発送までは原則30日以内に行なう事になっています。

・介護休暇はどう使えばいいのか:

勤務先の人事部に相談しましょう。年間5日、半日単位で休める制度です。使えるのは要介護状態の対象家族が1名居ること。対象家族が2名の場合は10日間利用できます。ここまでは法律(育児・介護休業法)で決められている内容ですが、企業によっては時間単位で使える場合もあるそうです。勤務先の就業規則を読んで確認してみましょう。(専門は社会保険労務士です)

・介護休業はどんな時に使うのか:

要介護状態の家族介護のために使える制度で、最大93日の長期休業が使えます。(育児・介護休業法)企業の社内ルールにより期間が延長できる場合もあります。労働時間短縮や残業回避の配慮、転勤の配慮などが定められています。休業で給与が支給されない場合に雇用保険から67%の給付金が受けられます。(専門は社会保険労務士です)

ただし、「親の介護をあなたが直接行うためにこの長期休業を使う」とお思いなら待ってください。子どもの自分が介護することが一番いいと思っているなら、その考えをいったん捨ててください。あなたの仕事上のキャリアを犠牲にすることになり、あなたの今後の収入に大きな影響を与え、人生設計を大きく変える可能性もあります。また親の直接身体介助などを行う場合、あなたがするよりプロの介護士に任せるほうが安全です。あなたは半歩後ろに引いて、ケアマネージャーとヘルパーの力を借りて、親の介護をマネジメントする、そう考えてみましょう。

・どんな検査を受ければいいのか:

最近は一般の内科診療所でも認知症の相談や診断に対応してくれます。多いのは長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)で30点満点中20点以下だと認知症の可能性が高いと判断されます。他にはミニメンタルステート検査(MMSE)という30点満点で27点以下だと軽度認知障害(MCI)が疑われ、23点以下が認知症の疑いであるらしい。また、前頭葉機能検査(FAB)という短期記憶のみを審査し軽度認知障害(MCI)を診断する口頭試問ツールもあります。

これらは医師が対面で行う口頭での簡易検査で、その時の脳の働きを確かめるものです。認知症の疑いが濃厚であることと日常生活を今まで通りに過ごせるか過ごせないかの判断は全く別のことです。介護サービスを利用する際に必要な主治医意見書作成のための第一段階と考えればいいでしょう。

一方で画像診断という方法があります。脳の形を見る「形態画像」と脳の働きを知るための「機能画像」の2つに分けられます。一般に普及しているCTやMRIは形態画像で、脳の萎縮の程度や病変がどのくらいの範囲に及んでいるかなどを確認することができます。ただし画像診断は一定期間を空けて撮影した複数の画像の変化を比較して判断するものです。初回の撮影で言えるのは画像からの推測と感想です。

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