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きつねうどんのお揚げだけ食べていたい

わたしは幼い頃からきつねうどんが好きだ。

湯気がたつ熱々のうどんに、油分でしっとり照りっとしたお揚げが浮かんでいる。それを一口頬張れば、じゅわっと甘辛いお出汁が口の中に広がっていく。至福の一時だ。

いなり寿司も大好きで、スーパーにいなり寿司と巻き寿司がお行儀よく並んだ助六があればよく買ってしまう。
新鮮な魚がのった握り寿司も良いけれど、関西の内陸で育ったわたしとしては、ちらし寿司やいなり寿司、柿の葉寿司の方が日常の馴染みあるお寿司としてしっくりくる。

そんな油揚げ好きの自分だが、自ら油揚げの炊いたん(※わたしの出身地では油揚げの煮物をそう読んでいます)を作ろうという考えはなかった。
自宅できつねうどんが食べたいと思えば、スーパーでうどん麺・うどん出汁・出来合いの油揚げが簡単に手に入るからだ。

だがしかし、そんなわたしの当たり前が変わる出来事があった。

先日ふと、スマホにインストールしているお気に入り料理アプリ「土井善晴の和食のアプリ」を見ていた時のこと。
土井先生が油揚げの炊いたんを作っている動画を見つけ、「お、これは何だか楽しそう」と早速再生してみることにした。

土井先生が油揚げを炊くその姿と、なんとも美味しそうに仕上がったお揚げを見ているうちに、
「油揚げの炊いたんだけを思いっきり食べたい!」という食欲がわき始め、
居ても立ってもいられなくなり、スーパーにお揚げを買いに足が動いていた。

近所のスーパーにたどり着き、早速大豆製品売り場で目を光らせる。すると、いなり寿司用の正方形の油揚げは8枚入りで98円だった。

安っっ!

ちょっと待てよ。正方形の油揚げ1枚をいなり寿司用に三角形に切ったら、三角が2枚できる。

正方形8枚✕2等分=16枚、てことはいなり寿司16個できるやん…!?

その事実に気付いた瞬間、わたしの身体に衝撃が走った。

油揚げの炊いたんの材料は
油揚げ・だし汁・醤油・砂糖 この4点のみ。

とすると、油揚げだけ買ってくれば、後は家に常備している調味料で作ることができる。

油揚げってなんてコスパの良い食材なんだ…
もし家で作ることができたら、出来合いを買う必要もないし身体にも優しいのでは。

しかも自分で作るんだから、お腹いっぱい油揚げを好きなだけ食べても、誰にも怒られない。

わたしは小心者なので、うどん屋さんで「きつねうどんの揚げだけ下さい」なんて言えないし、お寿司屋さんで「いなり寿司の揚げだけ下さい」なんて怖くて言えない。

でも、自分で作れたら、何にも後ろめたいことなく、思う存分食べられる!!ちょっと大人になった気分だ!

こうしてわたしは、ノリノリでスーパーを後にしたのだった。

帰宅後早速作ってみると、自分でも初めて作ったとは思えないくらい、なかなか美味しそうにできた。

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土井先生の作り方では、最初に油揚げをしっかりお湯で茹がいて油を抜く。その後に更に出し汁で煮込むことにより、お出汁と砂糖・醤油が油揚げに浸透し、柔らかくなってより美味しくなるのだそうだ。

さてさて、そうして出来上がったじゅんわりと炊けた油揚げを一口…

お…おいすいぃ…!!

油揚げを一口頬張った瞬間、口の中に溢れ出す甘辛いお出汁。もうたまらなかった。

まるで肉や魚を食べているような充実感。いや、この一口噛んだ時の多幸感は、肉・魚では再現できないのでは…

そんなわけでとても美味しく、何より「安い」という点が非常に嬉しい。

多めに作って保存容器に入れて冷蔵庫に入れておけば、そのままおかずとして食べても、きつねうどんにしても、いなり寿司にしても良い。

細かく刻んでご飯に混ぜても美味しそう。
もちろん白いご飯のおかずにもいける。
お出汁とお揚げを卵とじにして丼ぶりにしても美味しそう。

油揚げの炊いたんを自分で作れるようになって、食の世界がさらに広がった。
ああ、自分で自分の食べたいものが作れるということは、なんて幸せで楽しいことなんだろう。

たかが油揚げ、されど油揚げ。

これから何度もつくっていきたい料理が、また一つ増えたのでした。


※このnoteを書いた後しばらく時間が空いてしまったのですが、それ以降も週に1回、2週間に1回くらいは作って保存しています。
油揚げの炊いたんが家にあれば、思い立った時にうどんが食べられ、夕飯にあと一品欲しいな、なんてときにもかなり重宝しています。
油揚げバンザイ(^^)


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