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小さな地球のコモンズ(Commons)誕生

千葉県鴨川の里山で改修を進めていた元村長の古民家「したさん」が、コミュニティスペースとしてOPENしました。「小さな地球プロジェクト」で描いている試みの一つがコモンズ(Commons)。自然と呼応し合うような循環型のくらしや、持続可能な仕組みづくりなどに関心を寄せる人たちが集い、お互いの知識や時間を共有しアイデアを実現していく場です。共鳴しあう空間がとても大切なのです。

新月恒例のオーガニック・マーケット&カフェ「awanova」の開催とお祝いの日を重ねたOPENイベントには、地元だけでなく都心からも集い合って優しい空気に包まれました。

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建築を問いかける

プロジェクトは2019年秋の台風をきっかけに構想が始まりました。古民家の改修計画は通過点といえども、答えのない問答が続いて大変な持久力が必要です。竹林整備など取り巻く環境も視野に入れ、同時にスケジューリングをしていきました。その道のプロフェッショナルが監修に入りながらも、主体的に動くのは学生たち。建築学を専攻するメンバーを中心に、垣根を越えてワークショップ形式を取りながら改修が行われました。

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夏の炎天下では掘り起こした廃材や瓦を黙々と運び、素材を見極める姿も。
建築は「専門家のするおしゃれな仕事」ではなく、概念をつくることであり、デザイン目線で交流の導線をイメージすることであり、人材を育てる場であることも素人ながら実感させていただきました。

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《東京工業大学院 建築学専攻の学生たち》

小さな地球プロジェクト」を主催する林さん、塚本さん、福岡さんが心から楽しみ、常に一人ひとりにビジョンを共有してくれたこと。様々な意見に耳を傾け、出来ないことより出来る可能性にフォーカスしてきたこと。裏方の本気度が結果として美しい建築に仕立てたこと。ビジョンに想いをのせた言霊の力もすごいけど、実践の学びと正面から向き合って試行錯誤する学生たちの姿はドラマチックで心からリスペクトしています。

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土に藁を混ぜて練りこみ、発酵させて塗り固めた土壁。艶やかに磨かれた再生利用の美しい木材。古民家に人が出入りするたび空気も変わり、幸せな気持ちや高揚する気配が渦巻いて空間に響くと家も息をふきかえしていくようでした。

「自然」という言葉は江戸時代までは「おのずから」という意味で使われていたといいます。人と相対する自然、いわゆるネイチャーのイメージは明治以降で、古代から人は自然とを分ける意識はなかったそう。里山で実感することができました。

新月は願いが叶うスタートの日

2010年に始まったオーガニック・マーケット&カフェ「awanova」は、安房(あわ)の場として南房総の仲間が大事にしている拠り所です。発起人は雑穀料理人の米山美穂さん。尊い命をいただいて生きること、感謝の巡りを大切にされています。

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<今月の出店者> 旧暦弥生の新月 4月12日に古民家「したさん」で開催
・藁珈琲洞 〜コーヒーと季節のおいしいもの〜
・かまどの火(天然酵母パン)
・農処Shiki(竹細工、編みもの作品、無農薬栽培豆など)
・草so(天然酵母パン、米粉マフィン、ジャム)
・米つぶ屋(ポン菓子)
・けい工房(安心素材のケーキ、お菓子)
・白浜豆腐工房(豆腐料理)
・おにぎり工房かっつぁん(いすみ米のおにぎり)
・占い師メイ(タロット、手相など)
・みどりのいえ(ワンコインマッサージ)
・ひまつぶしがらん堂(古本)
・おそうじひとしずく(ナチュラルお掃除グッズ)
・週末農家ゆず屋(無農薬栽培の野菜や加工品など)
・Share seeds(種の交換会)
・ジイダ(和太皷体験コーナー)

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和太皷が響く里  「TAWOO(タヲ)」からの予祝

農は神事であり、季節の折々に寿ぐ(ことほぐ)行事が行われます。神の来訪を待ち受ける祭り、その訪れ(音連れ)に音楽は欠かせません。平安時代には「あそぶ」といえば音楽の演奏を意味したそうです。

この日「和太皷の里」として始動するTAWOO(タヲ)が大地に活力を与え、最高の未来を予祝してくれました。天地を結ぶ音と、春に目覚めた自然界の生きものたちの調和。命の波動と無数のゆらぎが里山に充満して、軽いトランス状態のような瞑想を味わいます。自然に宿る神の気配は、意識がそんな空(うつろ)になって感じるものかもしれません。里山のサウンドスケープ(音の風景)のひとつになりそうです。

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陶芸家 西山光太さんの「あわ焼」個展

陶器には不向きといわれていた南房総の土を探究し「あわ焼き」として完成させ、極めている陶芸家の西山光太さん。地域産業としてのポテンシャルも高く、注目される作家さんのひとりです。

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千葉県鴨川の長狭米(ながさまい)の母胎はミネラル豊富な重粘土。田を少し掘ればグレー色のねっとりとした土壌があらわれます。西山さん曰く、不純物混合もほとんどない土は宝の山を発見したようだったとか。
風土のなかで生きて死に、生態系が還っていく根源を思うと、陶芸用語で釉の掛かっていない素地を胎(たい)というのが腑に落ちます。土の記憶のカタチです。
「あわ焼という物語のはじまり」  無印良品 ローカルニッポン

空の青さを見つめていると

春の光に新緑の輪郭もぼやけて夢心地になり、胡蝶の夢のような「ちがいからの解放」や「あるがままに」ということをぼんやり感じていました。
「空の青さを見つめていると」
ふと思い出した言葉の続きが気になって、探してみると詩人の谷川俊太郎さん。

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空の青さをみつめていると   
私に帰るところがあるような気がする

遠くにいても、心が帰る場所になるかもしれません。
「小さな地球プロジェクト」代表の林良樹さんから、古民家したさんについて教えていただきました。皆さんも是非、ご参加ください。お待ちしています。

コミュニティスペース 古民家したさんとは
里山付き古民家したさんは、人と人、人と自然、都会と田舎をつなぎ、子供から大人まで多様な人々が交流し、遊び、食べ、学び、泊まり、創り、育て、楽しむ多目的な文化複合施設とします。
それは、自由な寺のような場であり、人生の学校のような場でもあり、日本の原風景をシェアする会員制の新しいコミュニティスペースです。
古民家したさんではコミュニティカフェ&マーケットawanovaが毎月新月にオープンし、日替わりで料理人が腕を振るうワンデイカフェやシェフインレジデンスが開かれ、森のようちえんでは里山を子どもたちが駆けまわり、週末農園の拠点となり、都会から来た家族が宿泊でき、大学生の合宿、社会人の学びの場、リモートワークの滞在、リトリート、シンポジウム、コンサート、ギャラリー、キャンプ、映画上映、食品加工、冠婚葬祭、ツーリズム等々を行う予定です。

小さな地球プロジェクト
キャンプファイヤーコミュニティ
小さな地球 Instagram   smallearth.community
小さな地球radio プロジェクトへの想いが語られています

あわたび 文:橘 聖子


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