先送り解消に有効なのは「脳のシミュレーション促進」。

人間、やってはいけないと思いつつもやってしまうタスクの先送り。
タスクがあるのはわかってる、手をつけていないままだとモヤモヤする、でも手を付ける気になかなかならない。。。そんな経験は誰にでもあるでしょう。

私もその一人。かなり先送り癖がひどく、いつも先送りしたことが沢山あるような人間でした。でも、いろいろと工夫をするうちに、だいぶ先送り癖は改善してきたように思います。そうした工夫の中からわかってきたことについて、今日は書いてみようと思いました。

先送りにおける、「なかなか行動に移せない」の正体は?

先送りとはどういう状態かを細かく書くと、

・タスクの存在を認識している
・そのタスクをやるべきだと思っている
・でもなかなか行動に移せない

という状態と言えるでしょう。分かっちゃいるけどなかなか行動に移せない、というわけです。では、なかなか行動に移せないのは何故でしょうか?

私は「脳内でのシミュレーションが十分にできていない時に、先送りは起きやすい」

と捉えています。

人間の脳・身体は、タスクを認識してから行動を起こすまでの間に、ある程度のタイムラグがある

そもそも、人間の脳・身体では、考えることなく身体が動くレベルで十分に習慣化・ルーチン化をされているタスクを除いては、

1.タスクを認識するタイミング
2.脳・身体がタスク処理のための行動を起こすタイミング

この2つの間に、多少のタイムラグが出てくるのが普通です。

そのタイムラグの間に、何がなされているかというと、「そのタスクをどのような手順で、どう行うか?というシミュレーション」です。

このシミュレーションが、タスクを(少なくとも途中まで)処理できる程度まで行われると、人間の脳・身体が、タスクを処理できるモードに切り替わり、タスク処理のための行動を起こせるようになるんですね。

脳科学用語を使うなら、デフォルトモードネットワークでシミュレーションがが完了すると、タスクポジティブネットワークが稼働し、タスク処理のための行動を移せるようになる、、、とでも言うのでしょう。

厄介なのは、このシミュレーション過程が、無意識に行われる部分も多くいが故に、自覚されづらいこと。

主観的には「タスクは認識しているけど、やる気が起きない」というように感じられているけれど、実際は脳のシミュレーション過程が無意識下で進行している、、、という、主観と実情のギャップが、先送りをしている時には起きやすいんですね。

こういうギャップがあるものだから、先送りは「やる気の問題」と捉えられやすく、その捉え方が問題の本筋から目を背けさせ、問題を複雑にしている面はあるのだと思います。

先送りを「やる気の問題」と捉える人は多いですが、私は「脳のシミュレーションの問題」と捉えたほうが、有効な対策を打ちやすいと強く思います。
※そういう意味で、手をつければやる気が出る!と主張する「作業興奮を活用しよう」という話には疑問を感じます。

先送りになっているタスクは、「脳のシミュレーション過程を促進してあげる」ことで手を付けられるようになることが多い。

もしもあなたが、疲れているわけではない。時間がないわけでもない。でもなんだかやる気が起きない、、、という状況にあるとしたら、その時あなたは「脳のシミュレーションが終わっていないために、タスクに手を付けられない」状況に陥っている可能性が非常に高いです。

そんな時には、脳のシミュレーション過程を促進してあげると、脳がタスクに取り掛かるための準備を完了させ、タスクに実際に手を付けられるタイミングが早まりやすいです。

脳のシミュレーション過程を進めるために有効な手法はいくつかあるのですが、多くの方におすすめしやすいのは、

「そのタスクを思い浮かべた時に、頭の中に浮かぶ言葉を片っ端からメモに書き出していく」ということです。

頭の中にある言葉をどんどん書いて行くことは、脳内の情報を整理するのに大きな効果があります。そして、脳内が整理されるほど、タスクに手を付ける前のシミュレーション過程も進みやすいのです。

メモに書き出していく時のコツは以下の通りです。

・感情的な部分も、現実的な部分も区切ることなく書くこと
・一見大事でなさそうなことでも、とにかく言葉にして書いていくこと。
・言葉にならない曖昧な感覚も、なんとか言葉で表現できないか務めること

自分の内側にあるものが言語化できた分だけ、脳の整理とシミュレーションが進む、と考えて頂くと、効果が上がりやすいです。

メモ書きをしていくと良くあること

タスクについて思っていることを片っ端から書き出していくと、自分では意識していなかったことに気付くことが多いです。

特に以下のような、タスクに対する自分の理解不足や、タスクをそのまま進めることに対する疑問などに気付くことは非常に多いです。

・タスク処理の手順が今一つ分かっていないこと
・先に準備すべきこと(先行タスク)があったこと
・より効率の良いやり方があるのに気づいていなかったこと
・タスクの目的に対する理解が浅く、どのようにやれば良いのかが分かっていないこと
・(上司からの無茶ぶり等で)なぜ自分がこのタスクをやるべきかに疑問を抱いていること
・このままタスクを進めたらまずいということ

というのも、タスクが先送りになっている時って、何かモヤモヤしたものを薄々感じているけれど、それが言語化できていないことが、脳のシミュレーションを停滞させるボトルネックになっていることが非常に多いのですね。

メモ書きは、このボトルネックに気付き・解消することにも大きな効果を発揮します。

メモ書きでボトルネックに気付いた実例

これは、私自身の実例です。

月々の支払いの中で1件、今までは毎月振込をしていたものを、自動引き落としに切り替えたいなあ~と思いながらも、先送りになっているものがありました。

やらなきゃいけないなあと思いながら、どうも手が付かないので、メモを書いてみたら、以下のような話の展開になりました。

自動引落の手続き、やらないとなあ。
面倒だなあ。
銀行印が必要だね
書類の書きかた、どうやるんだろ。それは書類を見ればいいか。
返信用封筒は入ってたよね
・・・
・・・
今出すと、何月から自動になるんだろう。重複とか抜けとか出ないのかな?
一度問い合わせて確認してみよう!

メモ書きの初めは、面倒だなあ、など、愚痴っぽいことも出てきたのですが、さらに書き進めていくと、自分自身が自動引落に切り替えが行われるタイミングがいつからになるのか把握できておらず、そこに不安を感じていることが分かりました。「あ、じゃあ問い合わせをすればいいんだ!」となって、問い合わせて無事解決。もちろん、その後無事に手続きを済ませることができました。単に面倒だとか、やる気が出ないという問題などではなく、手続きの詳細が把握できていない不安が障害になっていた、というわけです。

分かってみると「な~んだ、こんなことが先送りの原因だったのか!」と思うような話ですが、こんな、後から見れば些細なことが、先送りの要因になってしまうことは、誰にも起こることであり、決して珍しいことではありません。

メモ書きを通じたボトルネック解消というのは、このような流れで起こることが多いです。

これは実際やってみて経験して欲しいのですが、ボトルネックになっている要素が言語化された瞬間に、先送りの要因が解決してタスク処理に手を付けられるようになる、ということはわりと頻繁に起こります。

まとめ

いろいろと書いてきましたが、要点としては
先送りで困ったら、メモ書きをしよう!
ということに尽きます。

メモ書きを通じて、先送りのボトルネックが解消される感覚をつかむと、先送りを解消する、ということを身体で理解できます。

単純なようで効果が高い方法なので、ぜひ試していただけると嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?