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世界に響く歌を聴く
シャワーを浴びて寝室を出ると、湖を囲む山の峰の先からオレンジの光が広がっている。まだベッドでうとうとしているピーターさんに「日の出が見えるよ」と声をかける。
でもきっと、「日の出」という言葉ではわたしの見ている景色は伝わらないだろう。言葉が導くのは記憶だ。どんなに「美しい日の出」と言ったとしてもそれはかつて見たことがある「美しい日の出」に過ぎない。そうだとすると、今この瞬間に感じている美しさをどうして言葉にすることができるだろう。
先週末、遊びに来たヨガ講師のモニカは日曜の朝にじっくりとヨガをしていた。自分がプロとしてサービスを提供していることを、たとえ生徒やお客さんがいなくてもやる。その姿勢や日々の積み重ね、そして何より仕事だからやっているのではなく一人でも日常の中で毎日取り組みたいことをやっているということが今のモニカを作ったのだろう。(彼女のクラスは毎回生き生きとしていてとても満足だった)
誰もいなくても一人で静かにヨガをする。その姿がとても美しく、そしてどこか羨ましく見えた。
毎日毎日、日課のように続けることがある。それは人生に安心と楽しみをもたらしてくれるだろう。
ヨガのようにからだを動かすことは分かりやすいが、コーチという仕事においてはどうだろう。
対話には他者が必要だ。一人で繰り返し繰り返し、何かを確かめるように取り組めることはあるだろうか。
そう考えていると、リフレクションジャーナルを書くことがそれにあたるかもしれないということが浮かんだ。
目に映るものに意味を与えず、そのままに見つめる。
からだや心の微かな感覚を聴く。
毎朝毎朝、静かに自分と向き合う時間は自分に、そして世界に耳を傾ける時間でもある。
気づけばそんなことを3年近く続けてきた。
「世界が歌を歌っている」と感じるようになったのは昨年夏のことだ。
鳥だけではない、他の動物も木々も土も、歌を歌っている。
自然の中で静かに耳を澄ますと聞こえてくる。
人も歌を歌っている。
人も自然も、悲しい歌を歌っていることがある。嘆きや叫びに近いこともある。
それでもまだ、何かが聞こえることは生きている証だ。
本当は地球は交響曲のように彩り豊かな歌が折り重なっているはずだと思うけれど、まだそんな歌は聞いたことがない。
歌はどこに行ってしまったんだろう。
それがコーチングと呼ばれるものであってもそうでなくても、世界に流れる歌に耳を傾けその向こうにあるしじまを味わうことを、これからも続けていくことになるだろう。2022.2.9 Tue 7:02 Nicaragua Laguna de Apoyo
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