【フレディ追悼】③/3ドント・ストップ・ミー・ナウ~総合評~【Queen和訳】Physical, mental and spiritual freedom
はじめに
Queenの7作目のアルバム「Jazz(ジャズ)」から、フレディ・マーキュリー作詞作曲の「Don't Stop Me Now(ドント・ストップ・ミー・ナウ)」を和訳と解釈を自分なりにしています。
今回は最終回。
主に韻(ライム)とリズム、あとは総合評をしたいと思います。
概要
収録アルバム:「Jazz(ジャズ)」(1978年:7作目)
曲の位置:12曲目/13曲
作詞者クレジット:フレディ・マーキュリー
曲の時間:3分29秒
"Don't Stop Me Now"
Written by Freddie Mercury
Tonight I'm gonna have myself a real good time
I feel alive
And the world I'll turn it inside out yeah
I'm floating around in ecstasy
So Don't stop me now
Don't stop me
'cause I'm having a good time
Having a good time
I'm a shooting star leaping through the sky
Like a tiger defying the laws of gravity
I'm a racing car passing by like Lady Godiva
I'm gonna go, go, go, there's no stopping me
I'm burning through the sky yeah
200 degrees that's why they call me Mr. Fahrenheit
I'm travelling at the speed of light
I wanna make a supersonic man out of you
Don't stop me now
I'm having such a good time
I'm having a ball
Don't stop me now
If you wanna have a good time
Just give me a call
Don't stop me now
'cause I'm having a good time
Don't stop me now
Yes I'm having a good time
I don't wanna stop at all yeah
I'm a rocket ship on my way to Mars
On a collision course
I am a satellite
I'm out of control
I'm a s*x machine ready to reload
Like an atom bomb about to oh oh oh oh oh explode
I'm burning through the sky yeah
200 degrees that's why they call me Mr. Fahrenheit
I'm travelling at the speed of light
I wanna make a supersonic woman of you
Don't stop me, don't stop me, don't stop me hey hey hey
Don't stop me, don't stop me oo oo oo (I like it)
Don't stop me, don't stop me
Have a good time, good time
Don't stop me, don't stop me
Burning through the sky yeah
200 degrees that's why they call me Mr. Fahrenheit
Hey I'm travelling at the speed of light
I wanna make a supersonic man out of you
Don't stop me now
I'm having such a good time
I'm having a ball
Don't stop me now
If you wanna have a good time
Just give me a call
Don't stop me now
'cause I'm having a good time
Don't stop me now
Yes I'm having a good time
I don't wanna stop at all
(直訳+手直し)
今夜は本当に楽しい時間を過ごすつもりです
生きてるってカンジ
そして世界、私はそれをひっくりかえします
私は恍惚の中に浮かんでいます
だから今私を止めないでください
私を止めないで
楽しい時間を過ごしているから
楽しんでる
私は空を飛び跳ねる流れ星です
重力の法則に逆らう虎のように
私はゴダイバ(ゴディバ)夫人のように通り過ぎるレーシングカーです
私は行く、行く、行くつもりです、私を止めることはありません
私は空を染めて燃えています
200度。だから彼らは私を「華氏(かし)」と呼んでいます
私は光速ですすんでいる
あなたから超音速人間を引き出したい
今私を止めないで
私はとても楽しい時間を過ごしています
私は大いに楽しんでいます
今私を止めないで
楽しい時間を過ごしたいなら
電話してください
今私を止めないで
楽しい時間を過ごしているから
今私を止めないで
そう、楽しい時間を過ごしています
絶対にやめたくない
私は火星に向かう途中のロケット船です
衝突必至コースにいる
私は衛星です
私は制御不能です
私は超絶マシーンです
私はリロードする準備ができている
原子爆弾のように、あああ、爆発する
私は空を染めて燃えています
200度。だから彼らは私を「華氏(かし)」と呼んでいます
私は光速ですすんでいる
あなたから超音速レディを引き出したい
私を止めないでください、私を止めないでください、私を止めないでください
私を止めないでください、私を止めないでください(私はそれが好きです)
私を止めないで、私を止めないで
楽しい時間をお過ごしください
私を止めないで、私を止めないで
空を染めて燃えてる
200度。だから彼らは私を華氏と呼んでいます
私は光速ですすんでいる
あなたから超音速人間を引き出したい
今私を止めないで
私はこんなに楽しい時間を過ごしています
私は大いに楽しんでいます
今私を止めないで
楽しい時間を過ごしたいなら
電話してください
今私を止めないで
楽しい時間を過ごしているから
今私を止めないで
そう、楽しい時間を過ごしています
絶対にやめたくない
※お子様のため一部伏字です。
フォニックス
韻(いん:ライム)やリズムについて、音の観点からお話しします。
※韻とは、英語やアルファベットの詩において、フレーズの最後の単語の母音などが一致していることです。
※母音(ぼいん)とは「a, e, i, o, u」(あいうえお)が中心の音。2個以上組み合わせもある(アーやアィなど)。
子音(しいん)は「b, d, f, g, k」などの、日本語の「カサタナハマヤラ」などに当たる部分。
[Intro]
Tonight I'm gonna have myself a real good time
I feel alive
And the world I'll turn it inside out yeah
I'm floating around in ecstasy
So Don't stop me now
Don't stop me
'cause I'm having a good time
Having a good time
まずイントロの部分は、この歌の中でどのような役割か考えたことをお話しします。
イントロ
ここは、この曲全体の総括部分です。
この曲の構成は、詩(verseバース)と、pre-chorus(サビの前)と、サビ(chorusコーラス)と、変曲部分(bridgeブリッジ)などです。
サビや前サビは2,3回繰り返され、詩は2つ(2番まで)あります。
他に、最初のこのイントロのほか、最後にアウトロ(スキャット)で挟まれています。
1行目
このイントロの最初の1行は、詩(verse)部分の主なメロディをあらわします。
1行を分解してみると、
Tonight
I'm gonna have myself
a real good time
フレーズの最後の単語(to-nightとtime)において、母音「アィ」で韻を踏みます。
さらにいうと、tonightのすぐあとの I'mも「アィ」です(アィーアィ)。
tonight I'm gonna have myselfは、
トゥ/ナ~~ィt、アィン・ゴーナーハーvマーィ、セ~~~~(lf)
と発音され、聞こえづらい t や v を省くと、
トゥ・ナ~ィ、ア・ゴーナーハーマ、セ~~
と聞こえます。
to-night のあと、I'mの2回目の「アィ」で足踏みして、
「ゴー・ナー・ハー・マ」は和音を順に上がっていって、1個目と4個目はちょうど1オクターブ違う。急上昇です。
そこから1つ下がった「セ~」の後、つたうように降りて戻ってくるので、とてもリズムがいい。
ゆっくりと伸ばして歌われている。
つたうように降りていく「a real good time」で、
最後の「timeタィン(ム)」は、前にでてきた「to-night:ナィトゥ」と同じ韻「アィ」を踏む。
この2つは同じ音階(ファ)であり、tonightの次のI’mも同じ。myselfのマイもアィだが、これは1オクターブ上の同じ音階(ファ)。ここまで、この音階は5つのうち4つが「アィ」が母音なのだ。
どこまで狙っているのか。ただ、偶然アィが多いだけ?それとも愛なの?日本好きなだけに。
あとはこの歌は一人称が多いです。「I」(私)について歌っているようです。
グ~も伸ばすので、ここで、「ウ~」の要素も入れている。
ここまで「アー(ィ)」「エー」「ウー」などが伸びている。
2行目
”I feel alive”
" (I feel a) - la - a - a - a - ive"
(あーい、フィーラ、らーぁ、あーぁ、あーぁ、あーいv)
は、詩(verse)の最後の部分、
1番:(I'm gonna) go x 3
2番 :oh x 5 (explode)
のところと同じメロディ。音階が1つずつ4音階上がっていく。
この「あーぁ」4連続は「アーィ」ともいえる。「イ」の一歩手前のあいまいな音。
「アーィ」4連続は、「ファ」の次の音階から始まり、「ソ、ラ、シ、ド~」。(正確には「シ」はフラット♭)。
ここまで韻としてまとめると、
1行目の最初の「to-night」及び最後の単語「time」と、
2行目の最後「a-live」が
「アィ(ai)」で同じ母音です。トゥナイトゥ、タイン(ム)、アライブ。
各主要音階が「アィ」だらけなのがおわかりいただけるだろうか。
この曲の始まりの一番低い音「ファ」から、1オクターブ先の最後の「ファ」まで急上昇し「アィ」の母音で挟んだあとに、また下の「ファ」に「アィ」で戻ってきて、続きの「ソ、ラ、シ、ド~」まで「アー(ィ)」でうめつくしている。
3行目
"and the world"
さっきでた「詩(verse)」の最後の部分(I'm gonna go x 3 や oh x 5 のところ)の続き、
(there's no) stopping me
や
oh explode
のところと同じ感じのメロディになります。
前に続き、1個ずつ3音階さらに上がる(レ、ミ、ファ~)。
前から合わせると、1オクターブ分。
(ファ)ソ、ラ、シ、ド~、レ、ミ、ファ~。
ここから、演奏はピアノのみだったのだが、ベースが加わる。
かなり伸ばされてうたわれる。
3行目続き
I'll turn it inside out yeah
は、詩(verse)の次の「サビ前(pre-chorus)」、
I'm burning through the sky yeah
のメロディ。
最後のyeahもあっています。
I'll turn it
と、
I'm burning
は似ています。
turn と burnは同じこもる長母音。あごに何の力も入れないで口があいたまま放心状態のように「あー」と言ってみると出る音です。
ちなみに一個前のかなり伸ばす「world」もこの発音。
(inside)「out」も「ア~ゥ」と伸ばされる。
3行目からの音階は、1,2行目より1オクターブ高いピッチです。
前回、音階を1オクターブ分あがっていきましたが、さらに高い領域へ行きます。
最高音は、この曲最高(リード・ボーカル)の「シ♭」です(最初の「ファ」から1オクターブ先の音階の「シ♭」までの11音階が主なボーカル・レンジと思われる)。
4行目
I'm floating around in ecstasy (so)
は、
pre-chorus(前サビ)の、続く、
200 degrees that's why they call me Mr. Fahrenheit、
I'm travelling at the speed of light
I wanna make a (supersonic man out of you)
の2つのメロディに、だいたい対応。
ここの高音領域では、前のI'll turn it inside out yeahでは普通の声(地声、チェスト・ボイス)だが、全く同じメロディでも、I'm floating aroundから声はファルセット(裏声)に変わっている。
aroundの「ア~ゥ」も、前のoutの「ア~ゥ」同様伸ばされる。
in ecstacy soも、発音は、si-so(スィー、ソゥ)で、頭文字Sで一致している。
ここもファルセット。
ここは一瞬ベースがやみ、ピアノのみ。
siで一番上の「ラ」まで上がり、soで4つ下の「レ」まで下がる。
サビ前では、
(Mr. Fahren)heit、
I wanna make a
が、下がっているという意味で、だいたいSoに当たる分ということにします。
5行目から最後
So Don't stop me now
Don't stop me
'cause I'm having a good time
Having a good time
ここからサビの「Don't stop me now」と一致する。サビの前半ではなく、後半の方のメロディ。
「Don't stop me」は、いままでのゆったり系からリズムが変わり、はねるようで、ベースも復活。ボーカルはコーラス。
直前のso(ソ~ゥ)とdon'tは、「オゥ」で同じ母音。
stopはイギリスでは「オ」(アメリカでは「ア」)と発音される。
最後のnow「ナ~(ゥ)」は、「アー」と伸び、ピアノも流れる。
前のoutやaroundの「ア~ゥ」と合わせているのか。
もう一回「Don't stop me」がはねる。
次の
('cause I'm) having a good time
もキーフレーズ。2回繰り返される。
「'cause I'm」はソロ・ボーカルで、 having a good time x 2 はコーラスが入る。
ここから速度が上がっていく。ドラム(シンバル?)も入る。(ベースは目立たないがピアノにかくれている。)
最後timeは以前から韻を踏んでいた「アィ」。
イントロまとめ
このように、イントロは、曲全体の縮図となっている。
ここの演奏は、ピアノ(この曲の最初から最後まで流れている)と、途中から入るベース、最後に入るドラム(シンバル?)のみ。
大事な部分だけあって、単語の韻にもこだわっているのがわかる。
韻を踏むのは「アィ」が多い。
最初はピアノに合わせ、ゆっくりと伸びて声を響かせて、しかし力強くうたわれる。
音階は急上下したのち、だんだん上がっていく。
後半は1オクターブ高いピッチにうつり、2回目のフレーズから美しいファルセットになる。そこでもたゆたいながら、
しかし、Don't - stop - me (no~w)のコーラスで跳ね、
'cause I'mが地声のソロでバシッと入り、
having a good time2回(コーラス入り)で速度が上がっていく。
ここまでがイントロ。
詩(verse)の部分
[Verse 1]
I'm a shooting star
leaping through the sky
Like a tiger
defying the laws of gravity
I'm a racing car
passing by
like Lady Godiva
I'm gonna go, go, go, there's no stopping me
[Verse 2]
I'm a rocket ship
on my way to Mars
On a collision course
I am a satellite - I'm out of control
I'm a s*x machine
ready to reload
Like an atom bomb
about to oh oh oh oh oh explode
韻がわかりやすいように並べ替えたので、頭文字が大文字・小文字が入り乱れています、すみません。
詩の1番
[Verse 1]
I'm a shooting star
leaping through the sky
Like a tiger
defying the laws of gravity
I'm a racing car
passing by
Like Lady Godiva
I'm gonna go, go, go, there's no stopping me
まずは1番を見ましょう。
1番を前半と後半の2つにわけると、おのおの韻を踏んでいるのかわかります。文の構造もそっくり。
1.shooting star と racing car、
2.skyと by、
3.Like a tigerと Godiva、
4.gravityとme、
です。
1.イン(g)、アー(r)
2.アィ
3.ァ・アィ・アー(r)
4.イー
が母音です。
1と3も、アーで同じと言いうこともできます。
A. 1番の前半
like a tigerは、それ自体が「アィ・ア・アィ・アー」となり非常にリズムがいい。
前のskyから始めると
(leaping through the) sky Like a tiger defying (the laws of...)
「ア~ィ、アィ・ア・アィ・アー」。
「アィ」のオンパレード(4つ)。
私が主語が多いのもあるが、やはり主要部分に「アィ」が多いのは同じ。
そもそもverseの始まりもI'm~からだし、直前のhaving a good timeも「アィ」で終わる。
前半だけで「アィ」は5つ。多い。
shooting starは頭文字Sから始まる。(一応Tもはいってるのも一致。)
「ウー」+ing+「アー」と、長母音がingにはさまれている。
続く、leaping throughも長母音「イー」と「ウー」がingにはさまれる。
skyは「ア~ィ」と伸ばされる(イントロの「セー」"myse-lf"にあたる長い伸ばしの部分)。これもsはじまり。
この「(スカ)ア~ィ」のあと、リズムのいい「ライ、カ、タイ、ガ」につながる。すべて降りていくメロディ。
B. 1番の後半
I'm a racing car
passing by
Like Lady Godiva
I'm gonna go, go, go, there's no stopping me
前半のtigerとgodivaの韻は(発音の仕方によって)「アィ・アー」で同じだが、その前のlike a(tiger)と、Go-divaまで一致している。すばらしい。
Like Lady Godiva
は、頭文字Lが一致。
前半同様、前の文から「アィ」が続き、
(passing) by like Lady Godiva I'm (gonna...)
とおなじく4つ。
冒頭のI'mとあわせ、後半も「アィ」が5つ。
I'm gonna go, go, go, there's no stopping me
は、前半とだけではなく、詩の2番とも、リズムや韻を踏む部分(go x 3のところなど)。
Godivaから続けると、
Godiva I'm gonna go, go, go, there's no stopping me
と、G(go)から始まるのが多いのもわかる。(そして最初の2つは「ゴ」と聞こえる。)
因みにnoもgo同じ「オゥ」。
C. 詩の1番まとめ
どちらも構造は
I'm a ~ing ~ar
~ing ~y
Like ~
xxxxxxxxxxxxxxxx
となっている。
韻も「アィ」が5つずつある。
2行目の終わりで「ア~ィ」と伸ばされる。
メロディは、イントロと同じで、上下を繰り返しつつ、最後は低いところから1オクターブ分上がって次の領域へ向かう。
詩の2番
[Verse 2]
I'm a rocket ship
on my way to Mars
On a collision course
I am a satellite - I'm out of control
I'm a s*x machine
ready to reload
Like an atom bomb
about to oh oh oh oh oh explode
2番は、1番のように前半と後半で韻を踏むだけではなく、前半内と後半内、個々で韻を踏むスタイルもある。(1番は前後の文の構造が似ていたが、今回は少し崩れる。ingも消えた。)
A. 2番の前半
まず、ちょっと苦しいが、shipとmachineは、前半と後半で韻を踏む。
どちらも「シ」という、「スィ(si)」とはまた違った音。上と下の歯の間に隙間を開けてそこから息を出すときの擦れる音。
次は、これも苦しいが、前半の続く2文、Mars(マーズ)とcourse(コース)のところ。
on my way to Mars
On a collision course
「アーz」と「オーs」なので母音も子音も一致しないが、伸びるし、なんとなくにている。特に「マーズ」はかなり伸ばされるところ。
2文自体も似ているし、和音を上がって、つたって降りていくところだし。
collision courseは頭文字一致。
controlも後で出てくるし、rocketも発音[k(クッ)]が入っている。C[k]はこの前半で全4個。
on my way to MarsはMが2個。I'm~など他にも3つある。Mは全部で5個。
前半最後のcontrolは、後半の「explode」と、「オゥ」で韻を踏むと思う。
しかし前半を見るだけでも、頭文字CやMなどが重複しているとわかる。
文中にはいろいろな発音のSもあり、Lも3つ。子音が限られている。
「アィ」もやはり5個。
長母音(イー、ウー、アーなど)の多かった1番に比べると、こっちは短母音(aiueo)の単語が多いイメージ。
優雅な1番と、キレッキレの2番という感じ。
B. 2番の後半
I'm a s*x machine
ready to reload
Like an atom bomb
about to oh oh oh oh oh explode
1行目は、苦しいが前半の「ship」と韻を踏むとした。
ready to reload
は、頭文字「R」の一致。
また、4行目の「explode」とも、「オゥ」で韻を踏む。
前半とくっつけると、4,6,8行目の最後の単語は全て「オゥ」で韻を踏む。
また、「リロゥ~ドゥ」もかなり伸ばされる部分。
Like an atom bomb
は、3行目が「like」から始まるのは詩の1番と同じスタイル。
メロディ的にも1番では特に「Lady Godiva」にあたる。
ここはかなり伸ばされる前の部分に続き、ピッチが急に高くなり、力強く歌われるところ。
韻としては、
「アトム・ボム」でローマ字読みすれば「トムボム」で、同じ韻が連続していると言える。母音が違ってもリズムはいいのは変わらない。
場所からいって、これもキーワードと言えるだろう。
about to oh oh oh oh oh explode
は表現が秀逸すぎて、説明するのも無粋かもしれない。
しかし、一応補足。
まず、最後の単語「explode」が、前半のcontrolと「オゥ」で韻を踏む。
1番の最後とは同じ構造で、(以下)
I'm gonna go, go, go, there's no stopping me
ohとgo,noは「オゥ」で一致。
核弾頭が爆発してしまうという危険な状態を表す。
「キラークイーン」もキューバ危機(built-in remedy)をほのめかし、「火薬にゼラチン(爆弾の原料)、ダイナマイト、レーザービーム搭載」といって、「あなたの心を吹っ飛ばす保証付き」と歌うが、核の恐怖が短い生を思い起こさせるのだろうか。
人生は短い、今を楽しもう、と言っているような。
この2番の後半においてはいままで5つづつあった「アィ」が激減して、「オゥ」が7つになる。
この後半部分は、コンパクトだが、インパクト大。
atom bomb about to
も、ほぼa, b, o, t のみでできているし、前の
ready to reload (Like)
も、r, e, a, d, oなど限られた単語で構成されている。
文頭などは、RやLが続き、リズムがいい。
前半同様、子音の数は限られていて、日本の俳句のようだ。
たった17文字で宇宙を表現するような。
内容はちょっと人に伝えづらいが、表現は耳で聞いても目で見てもかなり美しい。
詩の部分まとめ
1番と2番をまとめる。
詩では自分(I:アィ)を形容している。
1番は、宇宙や自然、人間の叡智(えいち)、歴史上の勇敢な女性をテーマに優雅に自分をたとえ、宇宙の摂理で、だれにも自分を止められない様子をすがすがしく表す。ingも3つづつ。現在進行形。
2番は人間臭く荒々しく表現している。
ロケットからイメージして、自分を宇宙船、兵器、人工衛星などに例え、衝突必至だったり、誰かを守ってたり、制御不能だったり。果てない欲望に振り回され、爆発寸前(または爆発した)ということを表す。
つまり欠点だらけの「素(す)」の人間を表す。またはそれこそが人間であり、そのまま生きて、完全な満足に到達したことを表す。
メロディは、イントロのように、下は「ファ」から1オクターブ上の「ラ」の間を、上がって下がってを繰り返し、ついには1つずつ6音階あがり、次のフェーズに向かう。
イントロは「アィ」がキーライムだったが、詩部分も「アィ」が多い。イントロの「アーィ」を繰り返すところが、詩では「オゥ」になっている。
最後に上昇する「そして、世界」に当たる部分が、詩では「もうなにも止めるものはない」、「爆発する」である。
pre-chorus(サビ前)
[Pre-Chorus]
(I'm) burning through the sky yeah
200 degrees that's why they call me Mr. Fahrenheit
I'm travelling at the speed of light
I wanna make a supersonic man out (woman) of you
詩の後に2回、最後はギターソロの後にも繰り返される。2回目はmanがwomanになり、あとは冒頭のI'mが取れたり、歌い方が変わるなど、少しずつ変化する。
最初の1行は、イントロで
I'll turn it inside out yeah
の部分。説明済み。
後の3行は、
I'm floating around in ecstasy (so)
の2回分にだいたいあたる。
前の詩の主要部分から比べると、最初の3行はこの曲の最高ピッチ領域にシフトしているが、ここはイントロの最後と違って全て地声で歌われる。
最後の(speed of)lightで最高の「シ♭」にいき、そこからちょっと足踏みしてから徐々に下がり、最低の1個上「ソ」まで戻り、「a supersonic man out (woman) of you」で徐々にまた上がっていく。
韻は、(Fahren)heitとlightで「アィ」で、すぐ直後にともに"I"が来て、「アィ」2連続になる。
「アィ」自体は、sky whyとともに6,7個ある。
やはり引き続き自分を形容している。ingも2個。
意味としては、前の詩の部分で、流れ星や、衝突するロケット、爆発する(した)と言っているので、空を染めて「燃えている」というので正しい。
ちなみに「流れ星」とは、宇宙塵や石(rock)や鉱石(metal)で、地球の大気圏で燃えるもの。まれに大きかったりすると燃え残り、隕石となる。
詩ではLadyという比喩も出たが、自分は「彼ら」が「Mr.」と呼ぶと言っているので、この主人公の性別は男性のようだ。最後の「君」である超音速人間は男性と女性がいる。しかし、君が男女どちらでもどっちの性別も引き出すといえる。
200には、2つという意味がキーワードに隠されていると思った。(この記事の1/3参照)
また、一番最高ピッチで歌われる「光の速度で」は、「光」という言葉を大切にしていることがうかがえる。
「マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン」の天の啓示でも同じような部分があったが、とするとこの部分は、彼のミッションを表している?
「彼ら」とは、観客であり、天使の上位の存在の声。
「思い出して、あなたは天上の存在、皆を超音速人間にするのです。」
「ほんの少しの愛と喜びを広く光の速さで届けなさい。」
ということを言っているのではないか。ソニックマンだとおちゃらけて聴こえるけど。
「みんなが僕に言うんだ」「これは運命だって」。
1985年の「メイド・イン・ヘブン」まで一貫してそういいたいのではないか。
少なくとも私はスーパーソニックウーマンにしてもらいたい。
サビ前まとめ
勝手にスピリチュアル部分だと認定した。
サビ
[Chorus]
Don't stop me now
I'm having such a good time
I'm having a ball
Don't stop me now
If you wanna have a good time
Just give me a call
Don't stop me now
'cause I'm having a good time
Don't stop me now
Yes I'm having a good time
I don't wanna stop at all (yeah)
サビ前の後に2回演奏される。そして最後はyeahがなくなって、outroのスキャットに移行する。
キーフレーズ2つ(Don't stop me nowとhave a good time)をコーラスで繰り返す。Don't stop me nowは以下DSMN。have a good timeはHGT。
しかし実は前半と後半に分かれる。
イントロは、最後のDon't stop me now(音階が下がる方)の部分に当たる。
前半は音階が上がっていく方のDSMN。詩の部分のメロディにも通じ、上下する。
"(just) give me a call"は、詩のゴディバ夫人や核爆のところや、サビ前と同じ高ピッチ領域。
それを境に、イントロと同じ、音階を下がるDSMN。
はさまれるHGTは上がっていく。
HGTのあとの最後はそのまま上がっていくのみ。
韻は、now「アゥ」とtime「アィ」は何度も出てきているので割愛。
あとは新しい表現として、ソロボーカルではいる3つの部分。
最後のball, call, allが韻を踏む。「オゥ」でなく、低い「オ~」。
意味としては、今自分が楽しんでいるという内容描写。
Don't stop me now
I'm having such a good time
I'm having a ball
は、
僕をとめないで
今とっても楽しいんだから
これから舞踏会を開くんだ
ともいえる。パーティーを開いている。
映画にもありましたね。
もし「君」も楽しみたかったら、電話して、という。
そして超音速にされてしまう。
もうすぐ世界の頂点をとるというバンドのリードボーカル(フレディだとすると)に軽々しく電話できる人はいるのか。
とにかく、「止めないで、楽しんでるんだから」を繰り返す。
これは、私のテーマかもしれない。
一見幼稚な感じもするが、これこそが現代人が忘れがちな大切なことかもしれない。
シンプルかつ重要なメッセージ。
周りを気にせず、快楽に身を委ね(ゆだね)よう。
自分を愛そう。
サビまとめ
レッツ・パーリー!
全体まとめ
ついに1万字を超えてしまった。
引用ばっかりなので実質はもっと少ないはずだが、申し訳ない。
でも楽しいので止まりません。
最後の総括ですが、これは私のテーマソングにします。
追悼企画として始めましたが、詩だけじゃなく、メロディも含め、かなり深い歌だということがわかりました。
まだ意味の分からないところもありますが、ボラプ同様、いつも意味を探しながら生きていきます。
どうしたら売れるのか、など普遍的な問題にも応用できる気もします。
また、詩のつくり方の美しさにも触れました。
自転車に乗って、火星まで飛んで行ってしまったようです。
歌を分析するたび、ミミの耳には認知されなかったベースの音に痺れる日々です。
全ての仕事を忘れ、美しさに気をつける日々です。
位置について、よーいどん。
若干壊れてきましたが、ここまで読んでくださった方には感謝しかありません。
それではこれをもって、フレディ追悼企画を終えます。
超音速人間が増えますように、祈りを込めて。
ありがとうございました。
Chinwonder2 - 11. Don't Stop Me Now (Queen In Tokyo: 25/4/1979) [Filmed Concert]
Queen Official - Don’t Stop Me Now (... Revisited)
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