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ドラマ「岸部露伴は動かない(5)」感想×クイーン怒りの曲「フリック・オブ・ザ・リスト」

昨日は岸部露伴のNHKドラマの3夜連続放送の2回目を見ました。


クイーンと言えば、「ジョジョ」です。

私はキラークイーン、シアーハートアタックなどの言葉を始めて目にしたのも「ジョジョの奇妙な冒険」でした。

岸部露伴も、そのジョジョ4部の登場人物です。


※ドラマのネタバレに注意してください。


はじめに

小学生の時に、ジャンプで連載中の、やたらにリアルなジョジョ5部が気になっていました。舞台はイタリアだし、全員ほぼ無表情なので、話に入っていけませんでした。


4部はもう終わっていたものの、吉良吉影(きら・よしかげ)のスタンド「キラー・クイーン」やシアーハートアタック、バイツァ・ダストなど、言葉とビジュアルだけ何かで知っていました。


とにかく、登場人物やスタンドがエアロスミスだったりピストルズだったり、作者は洋楽が好きなんだな、と思っていました。


そして、日本で生活していると、子供であっても色んな所から、クイーンのサブリミナル効果にあいます。TVとか漫画とか外で流れていたり、色んな媒体からやってきます。


知らず知らずにクイーンのことをいつの間にかに知っているのです。


ドラマ

そうして、昨日は岸部露伴のNHKドラマの3夜連続放送の2回目を見ていましたが、

第5話「背中の正面」、背中を見せない男の話でした。


やはり、荒木先生だけあって、かなり知識が詰め込まれた作りです(漫画原作かはわかりませんが)。


今回は、坂や、「振り向いてはいけない」という逸話についてでした。


「振り向いてはいけない話」はギリシャ神話や日本の伝説など、昔から世界中であるということで思い出したのが、フレディの「フリック・オブ・ザ・リスト」でした。


フリック・オブ・ザ・リスト

この曲は、3rdアルバム「シアーハートアタック」(1974)に収載で、レコーディングバージョンでは、「テニメント・ファンスター」からの続き曲で、さらに続く「谷間のユリ(lily of the valley)」で、3曲つながっています。

とても大好きな組み合わせです。


フリック・オブ・ザ・リストも好きです。


大ヒットした「キラー・クイーン」のシングル・レコードの両A面でもありました。


サウンドは、全曲からのつなぎはピアノが美しいものの、続くのはアラブ風で、呪いの呪文のようです。声もエフェクトがかかっています。

サビは、内容の割にとても色っぽい歌い方をしています。

内容は、次作の最高傑作アルバム「オペラ座の夜」のオープニングの曲、「デスオントゥーレッグズ」と同じと言われています。

マネジメントへの怒りです。


ここの歌詞は具体的ではなく、当事者や知っている人じゃないとわからないと思います。


前サビにおいては、

「Don’t look back」x2という部分が出てきます。


「振り返るな」


これは、相手が色んな意味でかなり魅力的な人物で、振り返ったら、彼の魅力に惑わされて、またやられてしまうということかなと思っています。

振り返らず、立ち去ろう、という意味かと思いました。


これは、フレディからの警告だと思いました。

とくにメンバーや若手への。


「心をひとつにしてみてみれば(see)、奴の中の獣性が立ち上がるのがわかる」


心をひとつにして、とは、みんなの心をシンクロさせるということかなと思います。


フレディには見えている「彼」の黒い正体を、みんなは音楽業界で素人だから分からない。でも、意見をすり合わせてよくよく考えてみると、奴は搾取者(rip-off:ぼったくり)だったということがわかる。


そもそも、タイトルの「手首の素早いうごき(flick of the wrist)」が何を意味するのかはわかりません。


これは歌われている人物を知る人にはわかるのかもしれません。

彼が手首をある形で振ると、振られた人物は業界でもう終わりとか。


結局この曲はアルバムに収録され、次回作の「デスオントゥーレッグズ」で初めて訴訟になりました。

きっとこれでは婉曲で伝わらなかったのかもしれません。


リスナーにとっては、何かわからないがとにかく怒っている曲だということは分かります。特に搾取者やボス、資本家などの権力的に上の人物に対する正当な怒りというか、労働者の怒りのようなものを感じます。


これがこの曲や次回作を魅力的にさせているような気がします。


つまり、具体的な歌の意味はわからなくても、現実の生活で傷ついた心をいやすのです。


ライブでリクエストをとると、「ライアー」や「フリックオブザリスト」と叫ぶ男性の声が収録されています。

レコードでは大ヒットしなくても、当時ライブにいた人からは必要な曲だったのだと思います。


因みにこのアルバムの最後の曲「神々の業…リヴィジテッド」でも、

「あなたは僕をあなたから自由にすることはできないと言うけど、それは違う」

というセリフが出てきて、これも同じ状況を示すともいえます。

また、家族や恋人、いろいろな状況からの葛藤に対して言っているともいえます。

詳しくは以前分析したこちらの記事を見てください。


おまけ

dannzo29さんのシームレス動画(2"47'からが当該曲)

Queen - Tenement Funster/ Flick of the Wrist/ Lily of the Valley [Seamless]


Queen - Flick Of The Wrist (Official Lyric Video)


歌詞

歌詞(と直訳の手直し)も載せときます。

"Flick Of The Wrist"
Written by Freddie Mercury

Dislocate your spine if you don't sign he says
I'll have you seeing double
Mesmerize you when he's tongue-tied
Simply with those eyes
Synchronize your minds and see
The beast within him rise

Don't look back
Don't look back
It's a rip-off
Flick of the wrist and you're dead baby
Blow him a kiss and you're mad
Flick of the wrist - he'll eat your heart out
A dig in the ribs and then a kick in the head
He's taken an arm and taken a leg
All this time honey
Baby you've been had.

Intoxicate your brain with what I'm saying
If not you'll lie in knee-deep trouble
Prostitute yourself he says
Castrate your human pride
Sacrifice your leisure days
Let me squeeze you till you've dried

Don't look back
Don't look back
It's a rip-off

Work my fingers to my bones
I scream with pain
I still make no impression
Seduce you with his money-make machine
Cross-collateralize, (big-time money, money)
Reduce you to a Muzak-fake machine
Then the last goodbye
It's a rip-off

Flick of the wrist and you're dead baby
Blow him a kiss and you're mad
Flick of the wrist - he'll eat your heart out
A dig in the ribs and then a kick in the head
He's taken an arm and taken a leg
All this time honey
(Baby you've been had)

(直訳+手直し)

【1節】
「あなたの背骨を脱臼させる、署名しない場合、」と彼は言います
「ものを二重に見せてやろう」
(口答えされて)返答に窮するとき彼は
単にあの目であなたを麻酔にかける
あなたの心を同期(シンクロ)させて(1つに)見定めてください
彼の中の獣が起き上がるのを

[プリコーラス]
振り返らないで
振り返らないで
これは詐取です

[コーラス]
(彼が)手首を振ると
お前はもう死んでいる、ベイベー
彼に投げキスをするとあなたは狂ったも同然
手首で合図
彼はあなたの心を食いつくします
脇腹を小突き、それから頭に一蹴を見舞う
彼は腕を1本取り、足を1本取っている
いつも、ずっと、ハニー
ベイビー、あなたはやられてる

【2節】
あなたの脳を酔わせる、私が言っていることで
そうでなければ、あなたはひざまで浸かるほどの深いトラブルに陥るでしょう
自分自身を売春(婦)しろと彼は言う
あなたの人間としてのプライドを去勢し
あなたの労働時間外まで犠牲にし
あなたが乾ききるまで絞りとらせておくれ

[プリコーラス]
振り返らないで
振り返らないで
これは詐取です

【ギターソロ】

【3節】
骨身に沁みるほど働き(指を骨にひびくまで動かし)
私は痛みで悲鳴をあげる
(でも、)いまだ(成功している)実感がない
彼の金儲けマシンであなたを誘惑する
互いに担保をとりあって
(すっげえ金、金)
にせのMuzak(※1)マシンになるまであなたをすり減らして
それで、(音楽人生から)さよなら
これは詐取です
[コーラス]
(彼が)手首で合図すると
あなたは死んだも同然です、ベイベー
彼に投げキスをするとあなたは狂ったも同然
手首で合図すると
彼はあなたの心を食いつくします
脇腹を小突き、そして頭に一蹴を見舞う
彼は腕を1本取り、足を1本取っている
いつも、ずっと、ハニー
(ベイビー、あなたはやられてる)

※1:Muzak(発音:ミューゼァック)とは、アメリカのバックグラウンドミュージックを提供する会社のブランド。転じて、BGMやつまらない音楽しか作れないバンド、そういう大量生産・消費型のバンドにされてしまうのことだと思われる。






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