7年間継続した「振り返り」を振り返る
こんにちは。
英語アプリmikanでPMをしているRyo(@aviciida)です。
これはmikanアドベントカレンダー10日目の記事です。
昨日はコンテンツチームkotominの「ワイワイ在宅生活! 〜mikanのたのしいクラブ活動紹介〜」でした!
私は他の人からのフィードバックで「振り返りをしっかりしている」と褒めていただくことがしばしばあり、自分自身もそれは1つの特徴だと思っています。
実際、あらゆる振り返りを記録している日記は2016年から継続していて、日記を書いた合計日数は2,000を突破しました。
今回は、そんな自分がどのような振り返りを、どのようなことを意識して行なっているのかを書いてみようと思います。
振り返りをはじめたきっかけ
自分自身、小さい頃から日記を書く習慣があったわけでもなく、文章を書くのが得意というわけでもなかったため、「振り返り(すなわち日記)」をはじめたのには明確なきっかけがあります。
それは今から7年前の2016年10月3日、孫正義さんの講演を聞いたことでした。
当時私は大学3年生で、長期インターンが翌週くらいにはじまろうとしているタイミング。
講演の具体的な内容は特に覚えていないのですが「孫さんは若い頃に行動しまくって学びまくってたんだ!!!」と衝撃を受けたことだけは覚えていて、自分も今から始まるインターンで学びまくるために振り返りをできるようになろう!と思って、当時4,800円の買い切りアプリだった日記アプリDay Oneを購入しました。
当時まだバイトすらまともにやったことないので不安もあったのかもしれませんが、とにかくやる気満々で、インターンだけでなく普段の生活も「行動→振り返り」のサイクルを回せば毎日成長するのでは?と思っていた気がします。
「しょうもない」と思う人もいるかもしれませんが、毎日1%でも改善すれば1年後(365日後)には37倍になっているという「1.01の法則」を当時本気で信じていたので、「1年継続すれば37倍」と言い聞かせていました。(純粋)
そんなきっかけで始めた振り返りでしたが、気づいたら7年(!!)毎日でありませんが、書き続けてしまい、とうとう今年で日記を書いた日数が2,000日を突破(正確には2,115日)しました。
ちなみに、日記を書いた日は1%成長したと仮定すると、1.01^2115 = 1,379,448,687 らしいですが、流石に当時の13億倍にはなっていなさそうです。
取り組み方紹介 - 振り返りの種類
① daily:日報・日記
mikanには振り返り文化があったため、2人だった2019年から、20名を超えた2023年まで、ほとんど欠かさず日報を書いてきています。
個人の日記には、会社で書いた日報をコピペした上で、プライベートで考えたことなどを追記するようにしています。
自分が行なっている取り組みのメインはこれで、1日という単位で改善サイクルを回せるように、毎日振り返ることを大切にしています。
個人でこれを続けるのは去年のアドベントカレンダーに書いた通り比較的簡単である一方、それを人数が増えた今も「会社の文化」として維持するのは思ったより大変です。
「なぜ日報を書くべきなのか」のwhyを改めて周知したり、定期的に呼びかけたり、リマインダーを仕込んだりと、色々やったのですが「全員が忘れずに書く」を継続するのは難しく、結局「毎日日報をチェックして書いてない人がいる場合はリマインドする」というのを愚直に行っています。
(この辺りの定着するための取り組みでいいものがあれば教えてください)
② weekly:KPT(今はやってない)
2019年からの1年間は、個人でも週次KPTを行っていました。
当時はまだ未経験からiOS開発を始めたばかりで本当に何もバリューを出せていないと焦りまくってた時期で、とにかく成長するためならなんでもやるの意気込みで、狂ったように振り返りをしてました。
しかし毎日個人の振り返りをした上でさらに個人の1週間の振り返りをするのはコストが高く、習慣化が得意な自分でも1年で挫折してしまいました。
③ annual:年次振り返り
会社で1年単位で行っている取り組みはありませんが、個人では毎年年末に丸1日時間をとって、1年の振り返りを行なっています。
1年分の日記を読みながら「どんな年だったか」を書くわけですが、1月と12月を比較してできることが増えていたり、見えている範囲が広くなったりという成長を実感できるのが良いです。
取り組み方紹介 - 振り返りで意識していること
① とにかく「自分」や「仕組み」に問題の原因を求める
仕事だと特に、複数のステークホルダーが絡むことによって自分の意図しない原因で何らかの問題が起きることがあります。
そんな時はつい、他の人や他のチームなどのせいにしたくなりますが、矢印を他人やチームに向けるのではなく「自分」や「仕組み」に向けてみることを意識しています。
他の人・チームの視点で見て、自分が改善できるところはないか?
このような問題が起きないために、どのようなルールや仕組みがあれば良い?
前も似たような問題があったけど、共通点はどこだろうか?
のように自問自答し、自分起点でアクションを起こすようにしています。
② よかったことからも学びとるようにする
問題から何かを反省して改善するのはもちろん良いことですが、それだけだと「マイナスをゼロにする」感ばかりが強くなり、いくら個人でやっているとはいえ、息苦しくなってしまいます。
「うまくいったことに再現性を持たせるには」の視点も持って振り返ることで、感情のバランスも取れて良いですし、失敗だけでなく、うまくいったことからも学べることはたくさんあります。
③ 事象は細かく・感情は素直に
自分にとって日記を続ける醍醐味の1つが、過去の日記を見て「成長したな」「懐かしい」という思いに浸ることです。
「成長」のために前述の2点を意識するのは大事ではありますが、それだけだと書く内容としては抽象的になってしまいがちで、振り返った時に「何があったんだっけ?」を思い出しにくくなってしまいます。
事象を具体的に書くことで、時間を経て見返した時もその学びがなぜ出てきたのかの背景を理解できて実感が湧きますし、感情を素直に書くことで「こんなことでこう思ってたんだ(若いな)」と、ある種の成長実感を得ることができます。
どんな効果があったか
振り返りの効果については、ハーバード大学の研究が有名です。
当該研究では、1日の中で15分振り返りの時間を取る人は、その時間を普通に作業していた人よりもパフォーマンスが23%向上したそうです。
論文の中ではその要因を、タスク理解などの「認知的側面」と自己効力感などの「感情的側面」に分けて説明しています。
以下では、自分の感覚に頼ってしまいますが、個人的にどのような効果があったのかを紹介します。
① 行動変容が促される
成長することを目的に振り返りを始めて、実際にこの数年でしっかり成長できたと思っているのですが、それは「行動が変わる」ことが大きいです。
自分の課題を可視化する
それに対する解決策を考える
実行する
振り返りを通して言語化することによって、このサイクルがしっかり回る、つまり振り返り前後での行動が変わります。
もちろん頭の中で考えてできる人もいるのかもしれませんが、自分の場合は書き起こすことによってよりネクストアクションがはっきりして、動きやすいです。
私はこの1つ1つの行動変容が成長だと思っており、振り返りによってそれが促進される、つまり成長が促進されるのではないでしょうか。
② 言語化能力が上がる
振り返りによって行動変容が起きて成長が促進される、というのはかなり抽象的な話だと思いますが、思い返してみると、具体的なスキルとして「言語化能力」が鍛えられたと思っています。
私は2017年夏くらいからライターとしても少し活動しており、これが言語化能力を鍛えてくれた大きな要因の1つだとは思っているのですが、元々文章を書くのが大の苦手だった自分がライターとしてスムーズに活動開始できたのは、「日記を続けていたから」が大きいのかもしれません。
実際に、日記は長い時は2,000 ~ 4,000文字くらい書くときもありますし、最初は日記を書くこと自体大変でしたが、そのうちスラスラと書けるようになっていました。
③ スッキリして寝られる
これは振り返りというかは「日記」や「書くこと」の意義かもしれませんが、
「感情のモヤモヤを解消して寝られる」というのもあります。
頭でもやもやしていることを頭の中だけで整理して考えるのは私には難易度が高いですし、思考が堂々巡りしてしまって寝つけなくなることも多いです。
殴り書きでも良いので書いてしまえば、文字という形でモヤモヤが可視化されることで「これはどういうことだろう」「ここは歪んでるかもしれない」みたいなことがわかり、思考が進みます。
思考が進まなくても書き出すこと自体でスッキリしますし、またそこに戻ってくれば思考を再開することができるので、とりあえずモヤモヤを解消した状態で1日を終えられます。
Appendix: mikanにおける振り返り文化
mikanは、先述の通り「振り返り文化」があります。
毎日日報を欠かさず書くようにしていたり、毎週各職能チームで振り返りを起点とした改善サイクルが回っていたり、クオーター単位だと普段一緒に働く人からピアフィードバックをもらえたりと、振り返りに対しては多様な取り組みをしています。
また、そのような定期開催のものだけでなく、何か大きめのプロジェクトが終わったタイミングだったり、開発フローを変えてみて数週間経った時だったり、クオーターの総会が終わった後だったりと、何らかの区切りがいいタイミングで、規模の大小はあれど振り返りが行われます。
さらに、取り組みが形だけ存在しているわけではなく、毎回チームメンバー全員が意欲を持って前のめりに参加してくれるのもmikanの素晴らしいところの1つです。
例えば、2023年3Qの総会の振り返りを募った時には、「参加者全員が」「このような分量で」投稿してくれました。
また、以前モバイルアプリで使用するデータベースをマイグレーションしたときは、振り返り自体をpodcastとして配信したこともありました。
mikanは他社の方からよく「雰囲気が良い」と褒めていただくことが多いのですが、このような「振り返り文化」「改善していく意識」が、ものごとへの前向きなスタンスを生み出し、結果的に良い雰囲気が生まれているのかもしれません。
最後に:We’re hiring!
mikanでは、エンジニアやデザイナーを積極的に採用しています!
もし興味のある方は、HPから応募、TwitterにDM、およびPittaにご応募ください!
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