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心的免疫システム

社会心理学者のDan GilbertとTimothy Wilson が「心的免疫システム」(Psychological Immune System )と呼んでいる心的メカニズムで、一般人(鬱等の症状がない人)が、悪いことが起きてものその出来事のよい面を見ようとすること。
これによりネガティブな出来事から心を守り精神的に病むことを回避する。 

具体的な例については、心理学の中で例として挙げている人たちのみならず、波乱万丈の人生を送った人々の伝記や様々な本でも沢山いろんなそういった人たちがでてくる。
 
間違えで投獄された人、テロにあって足をなくした人、脳梗塞で寝たきりになり足の指先しか動かせなくなった人、ひどい交通事故で全身骨折に内臓や脳の損傷を受けた人、様々な人たちが、そんな一般には経験したくないような最悪な出来事に対して、一様に「あとで振り返るとそれは人生で最高の出来事だった」と言っている。
 
一見、とても不可解に思える。
でも、このメカニズムが私たちを悪い出来事から精神的に立ち直らせる力となっているらしい。
 

そして、常に幸福度の高い人たちは、このレジリエンスも強い傾向がある。
ー 何か悪いことがあったときに立ち直る力。
 

 
私の知り合いの方の話。
その方は戦争経験者で、若いころシベリア抑留にあいその時の話を沢山してくれた。
寒さと飢えと過酷な強制労働の中、仲間も沢山亡くなっただろうし、悲惨な話になることを覚悟して聞いていたのに、そういう話はあまりされず、女性と男性が完全に引き離されていた環境だったので、距離があっても女性の匂いがわかるようになった、とか下ネタ系の笑い話が多くて意表を突かれた。

解放された後は日本への帰路は相当過酷だったようで、お金がなくて日本へ向かう船に乗れない状況の中、助けてくれた方たちへの感謝の話が多かった。

船に乗るお金を返さなくていいからとくれた方のことは今でも本当に心から恩人だと感謝しているようで、それほど本当に命がけだったんだろうと。
壮絶な時代にあっても信じられないくらいに優しい人たちがいたことにも感動した。

そして、今の時代では考えられないくらい絶望的で悲惨な経験をしているのに、苦痛や憎しみの言葉はなく、笑いと感謝の気持ちを持って語ってくれるその方の芯の強さに驚き、ただただ尊敬の気持ちでいっぱいになったことを覚えている。
 

 
 
「幸せ」というのは、遺伝的傾向から環境、性格、その他とても複雑な要素が絡み合っていて、でも単純に言うと、マインドからくるもの。
 
 
マインド次第で、地獄を天国にできるし、天国を地獄にできる。 
By 詩人John Milton
 
 

どうすれば、レジリエンスを高めることができるか。
 
・ネガティブな思考の沼に入ってしまったらいち早く気づき、修正する
・いろんな見方ができるよう柔軟な考え方を持つ
・考え方や価値観、文化の違う人たちの視点を一旦受け入れてみる
・問題そのものと感情的な問題を切り離すために紙に状況や考えを書き出す
・様々なインスピレーションを与えてくれる友人や本などに心を開いておく
・時に深刻にならず笑いやユーモアを忘れない
・普段からあらゆることに感謝する癖をつける
・自分を責めたり卑下する思考の癖をやめてそのままの自分を受け入れる
 
普段からこういった心がけがいざという時活かされるように思う。
 
 

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