【Effectorz】序章・瓦礫の楽土(1/3)
僅かばかりの勇気と信仰心しか持ち合わせない我々にとって、
ハッピーエンドは読者を悦ばせる商策でしかない。我々が信じているのは
天国ではなく地獄である。
ホルヘ・ルイス・ボルヘス『四循環』
眼鏡を通してみるその風景は、無人で寂れた普通の街並みだった。
アスファルトが日光を反射し、遠くを見ると逃げ水か大気の揺らぎの様なものも、偏光のサングラスを通して確認できた。
道路は進行方向、地形に沿ってなだらかに登っている。道の左右には商店街の廃墟。その背後には大小の工場や工場、そし