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「キング・アーサー」

原題:King Arthur: Legend of the Sword
監督:ガイ・リッチー
製作国:アメリカ
製作年・上映時間:2017年 126min
キャスト:チャーリー・ハナム、ジュード・ロウ、アストリッド・ベルジェ=フリスベ

 ブダ・ペスト(ハンガリー)でもリスボア(ポルトガル)でも日本食の店はあり世界中にある中華料理店なみである。そこで目にするのは、これをお寿司と言うの?お弁当って…と指導に入りたくなるような店の入り口にあるメニュー写真。日本食と謳われる品々はアレンジを超え渡った国の物に感化されていて変貌しており、写真を取りたくなるほど驚いたことが何度もある。

 前置きが長くて申し訳ない。この映画もその傾向に似ていて上記写真もここまでイメージが膨らむ?と驚きを超えて諦観。
 確かに、アーサー王の話は知って観るほうがいいのだが、この映画に関しては「どこに知っている話の欠片を見つけるのか」の展開になる。
 こうなると全く話は知らなくとも「Legend of the Sword」とあるように聖剣活劇で楽しんでも全く支障は生じない。

 監督はイギリス出身なので中世の空気は十分に出ているのだが、其処に加えた思い入れは溢れんばかりのCGでも解るよう過剰。こうした見方も私がもう少しオーソドックスな映画かと勝手に勘違いしただけの反応ではある。

 世界中で小説、ゲームと聖剣エクスカリバーがアレンジされている中、これは聖剣伝説と片付けるしかないのかもしれないが、制御不能に近い聖剣が終盤躍り出てからは、これまでの戦いに意味はあったのかと落差激しく違和感があった。思わず「この聖剣だけでよかったわね、戦い」と戦術不要の場面に白けてしまう。

 こうした部外者が観ても楽しめる救いは二点。
 ジュード・ロウとアストリッド・ベルジェ=フリスベら俳優の演技と音楽。
 悪役が少なかったジュード・ロウが型に嵌まらないようにかこれまでと毛色が違う役に臨む。悪役と言っても憎々しげ感情をこちらに抱かせないのは脚本の所為なのか彼がまだ徹しきれていないのか。主要キャスティングで女性はアストリッド・ベルジェ=フリスベのみ。中世という色が少ない町並みと無彩色の衣装に身を包む男優の中でイメージを含め青みがかった彼女は差し色のようでもあった。
 序盤から脚本のテンポが音楽に流れに乗るようによく、音楽はBGMでも効果音でもなく台詞と対の関係に映る。私は淀まない、無駄がない序盤から中盤の流れを十分に楽しんだがパートナーは好みではないと発言、映画は本当に好みの世界だ。

 円卓は最後になってやっとお決まりだから、という感じで出る。この化身の姿をアーサー王の話で許せる人はこの映画を楽しめるのだろう。

 

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