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「スキャンダル」

原題:Bombshell
監督:ジェイ・ローチ
製作国:カナダ・アメリカ
製作年・上映時間:2019年 109min
キャスト:シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー、ジョン・リスゴー

 シャーリーズ・セロンの演技はこのところ裏切られることがない。加えて、彼女のプロジューサーとしての手腕が作品に反映されていることも確か。*この作品だけではなく
 2016年7月6日、全米視聴率NO.1を誇るニュース放送局「FOXニュース」会長兼CEOメディア王ロジャー・エイルズを元ベテランキャスターのグレッチェン・カールソンがセクハラで告発した実際に起きたスキャンダルが映画化される。
 加害者として告発されたエイルズが翌2017年に死去したということでこの事件はそこで幕が下りようとしていたが、この事件を葬ってはならないと決意した『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のアカデミー賞受賞脚本家チャールズ・ランドルフがシナリオを書き上げていた。
 この脚本がシャーリーズ・セロンの手に渡り、彼女の会社「デンヴァー&デリラ・フィルムズ」が制作に参加。途中紆余曲折はあったが作品として出来上がる。

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#MeTooやタイムズアップの前にこの作品に取り組んだシャーリーズ・セロンのアンテナは見事で 、且つ、それを形に変えていく行動力はこれまで映画の中で観ている彼女の姿と重なる。

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 撮影日数は僅か43日。その為、特殊メークにかける時間も省力化を意識したそうだが、作品を観る限りそうした裏事情は全く感じさせない。
 因みに、アカデミー賞メイクアップ・ヘアスタイリング賞を受賞したカズ・ヒロ氏への依頼もシャーリーズ・セロンだったそう。

 鑑賞後の感想は男女で熱の差があるだろう。観ていて本当に気分が悪くなるCEOロジャー。彼の権力を笠に着た「忠誠心」を見せろの発言はその最たるもの。彼の発言はそのまま悪い見本として一冊の本になるようだった。 
 作品終わりにあるよう、まだ蔓延っているセクシャルハラスメントは過去形にはなっていない。男性が世界のあらゆる部分でトップを牛耳っているままでは、そう簡単には解決されそうにない。それとも、女性も権力を握ると同じ道を辿るのだろうか。
 作品としては109分と短いが中身は濃い。メディアと政治の癒着、アメリカの選挙等ある程度下地があった方が早口の会話は全て字幕には落とせず、会話を聞くことに追われる。
★★★★

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