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11.夕暮れのリスボア

Ⅲ:◇光と宵闇
 ようやく夜の幕が引かれた時、街が昼間とは違う顔を見せる。サンタ・ジェスタのエレヴェータも昼間の無粋な鉄骨が闇を纏い、光を添えて澄み渡った深い群青に映える。

 自己主張をしない夫々の店の灯り、光量を抑えられた街灯。街頭に溢れない光たち。街が調和を保ち全体を作っている為、光も闇もどちらもが主役になる。闇があってのこその光であり、また、光あっての闇のコントラスト。

 石畳に映る光までも調和の内にありとても美しい。
 音楽で耳を塞がず、携帯に目を奪われず、解放されて散策すると五感が自ずと感応する大人の街だった。
 この街に着いて二日目の夜だが、トラブルがあった所為か実際に過ごした時間経過よりも濃密な時を過ごした印象が残る。リスボア、初めての夜の散策を十分過ぎるほど堪能する。明日は移動の為、しばらくリスボアから離れる。

 

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