「キャロル」
原題:Carol
監督:トッド・ヘインズ
製作国:アメリカ
製作年・上映時間:2015年 118min
キャスト:ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラー
台詞以上に終始語る女優二人の視線。無駄なカットはなくカメラワークが絵を観ているような滑らかさで静かな時間の流れを描いていく。饒舌でなくとも質感で語らせる細やかさは例えば冒頭でキャロルが置き忘れる皮の手袋の上質さ。あのスクリーンを通しても伝わる皮の滑らかさが上流階級を刻印する。
全体に流れる悲しみのtoneは時代が許さなかった倫理、道徳、常識等から逃れられないところから来ているのだが、それでもケイト演じるキャロルにまるで針のように細いながらも消えない光のような一本の線が悲しみで立ち止まらず先を示し物語が展開していく。自由の強さを体現するケイト・ブランシェットは見事過ぎて彼女の実年齢を忘れてしまうほど。
★★★★
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