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「ダンケルク」

原題:Dunkirk
監督:クリストファー・ノーラン
制作国:アメリカ
製作年・上映時間:2017年 106min
キャスト:トム・ハーディ、キリアン・マーフィ、フィオン・ホワイトヘッド

 監督に惹かれて映画館へ行くが、残念な時間になる。
 舞台は1940年5月27日から6月4日、ダンケルク(フランス)周辺で実際に行われた40万人兵士救出作戦。

 一枚の写真でも見ようによっては多くを語り事実を伝えてくる。では、敢えて静止画像ではなく動画である映画を用いるのか。
 動画にもフィクション、ノンフィクション、その他種類が分かれるよう「映画化された」イコール「ノンフィクション」とは限らない。その辺りノーラン監督がどう付加価値を与え表現していくのか興味があった。

 くどいようだがドキュメンタリーを観に行こうとしてはいない。
 キャステイング欄にトム・ハーディ、キリアン・マーフィをあげ、迷いながら一応主役青年兵役フィオン・ホワイトヘッドを付け加えたが正直彼の演技は響いてこなかった。一方トム・ハーディは殆ど台詞無く、表情もマスクで「半分強」隠れ『目』で演技するようなもの。それでも、物語を感じたのはトム・ハーディ、キリアン・マーフィに留まる。おそらくそれは戦闘機「スピットファイア」への監督の思い入れが結果としては滲み出た形だ。

 日本の戦闘機零戦が航続距離最長3000kmに対しこのスピットファイア初期は三分の一にも及ばない900km。この機種で燃料計が壊れての飛行は致命傷だ。トム・ハーディは冒頭燃料系の故障に遭い仲間から燃料残量を(無線で)聞き何度もフロントの機器にチョークで書き込んでいくシーンが描かれる。スピットファイアに絡みの描写が細かく多い分当然印象にも残る。

 全体に話に深み無く人物描写もあまい、映画があらゆる部分を収めようとした結果全体は散漫。勿論、その救出方向がベクトルよろしく物語最後集まるとして視点の広がりと捉えても、空間の描き方を意識して観てもこちらが監督に求める所から遠い。他の監督であればここまで要求しないのだろう。音楽でさえ後半は単調の連続で邪魔なほど。
 40万救出背景には11,000人の英国兵士がダンケルクから避難中に命を落とし更に4万人の兵士が捕虜となった。約9万人の連合軍兵士が負傷し、殺され、捕虜となっている。この作戦の成功の影にはドイツ軍を足止めにする為の一個師団の犠牲があるそうだ。
 ダンケルクを描いた昔の映画が今は気になっている。



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