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2. Transit Dubai

  毎回、出国から搭乗までの手続きでドキドキすることはまずない。諸外国訪問は楽しみだが羽田にしても成田然り馴染み知った場所は日常が色濃く、寧ろ気を抜くと傍らにスーツケースがあっても仕事を考えてしまう。
 海外にまでスマートフォンを(*SNSが使える状態で)持参しない私はスマートフォンが繋がらなくなる時点が最初の日本との切断ポイントとなる。
 行きの機内も周囲は日本人が大半の為に国内旅行と先ず風景は変わらない。そもそもアテンダントとの会話が日本語の空間では仮令ロシア上空を移動中であろうともまだ機内は日本の延長でしかない。
 日本との切断ポイント二回目はトランジット。殆どはここで同乗していた日本人が分散していく。

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 早朝7:05ドバイ空港に着陸。二時間のトランジットだがフランクフルト空港の様に迷う広さでもなく、また、空港内が簡潔で乗り換え搭乗口の確認は早く終わる。只、目的地に着く前の二時間では買い物する気など起こらず空港内散策程度でこの時間は他には有効的に使いようがない。お金持ちの国らしく空港内に下がる時計は全てロレックスには苦笑。

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 空港内には祈りの場所(モスク)が幾つか用意され、これまで写真や画像で見ていた黒いチャドルをまとった女性やカンドーラの白装束をまとった男性が闊歩する姿が目の前を過ぎていく。宗教色がない日本とは明らかに違う文化圏にきたことを認識すると共に、東洋人である自分たちが今はマイノリティだという自覚も日本では味わえない経験の種類だ。又、形は違うが外国人が見る漢字感覚をアラビア文字の不思議に追体験する。
 二時間ほどの短いトランジットながら日本では見られない光景にこれも含めて旅行と実感。華やかな空港でしばし気持ちが遊んだ。

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 ドバイ空港は日本とリスボアのほぼ中間地点に位置する。
 物心ついた頃から目にしていた地図の大半がメルカトル法地図だったのは私に限らないだろう。当然ながらその世界地図の中心は日本。加えて頭の中にある地図はこれまで入手してきた情報で歪んで構成されている。つまり全てを正確に思い描けない。北欧から西欧・東欧まで、ヨーロッパといわれる地域は境界線を描くことが可能にも拘わらず、これらが相まって中近東がぼやけた地図のまま存在し、イメージとしてはドバイ首長国連邦からヨーロッパが少なくとも私の中では近かった。実際は、そうまだ半分の飛行距離を残していた。
 Google earth を始めとするネットで提供される地図のお蔭で実際空へと飛ばなくとも様々な鳥瞰図を見てきているのだが、それでもそれらは現実ではない。だからこそ眼下に広がる初めての砂漠の風景に見入ってしまうのだろう。その圧倒的な乾いた世界に作り上げた人工的なドバイを後に紅海、地中海を越えいよいよポルトガルへと入る。

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