見出し画像

ぐでんぐてん

あまり不思議な日たちだったので時間が経って忘れかけたりした時のための備忘録です。
多分めちゃくちゃ長くなるので読まなくて大丈夫。
読んでももちろん大丈夫。

去年の12月の音沙汰のツアーで宮崎佐賀と一緒に回ったヤノ氏と3組でめぐるツアー「ぐでんぐでん」の宮崎、鹿児島公演だった。
大好きな音沙汰をまたこんなに早く観れるなんて、ヤノ氏とまたこんなに早く会えるなんて。
と思いつつも半年はちょっと長くてたまに疲れたりもしながらこの日を僕は待っていた。

5.24

前乗りで宮崎インしていた真夏さんと午前中に集合して2人で高鍋に向かう。僕は運転しないし車も持っていないので弟のバモスを借りて運転は真夏さんにしてもらって。せめて僕がいる意味はナビだっ!道を知り尽くしていることをアピールせねば!と車に乗り込み自分のスマホでナビを開こうとする真夏さんを静止し、僕がやります、ナビやりますと言い切るも僕のとっさに右左がわからなくなる病が出てしまい、はじめて宮崎の道を運転する免許取ってまだ数ヶ月の真夏さんに「あっち!いや、こっち!」みたいなナビゲーションをしてしまう。高鍋大師に向かう山道で「そこをぐいーんと」とナビして「ぐいーんてなんだよ」と怒られた。僕はへらへらしていたと思う。

そもそも、なぜ高鍋に行くことになったかというと真夏さんのおじいちゃんのお墓が高鍋にあるからだ。そして高鍋は僕が生まれて18歳になるまで過ごした故郷の町でもある。せっかく宮崎にライブで来れるからお墓参りしようという話を今回のぐでんぐでんが決まった頃から話していて、おじいちゃんに会うために真夏さんは最悪アビナビゲーションのボロボロバモスでデスドライブをするハメになったのだ。次までにちゃんとしたナビと新車を用意しておきたい。

それでも無事に高鍋町に着きお墓やお線香やお菓子を買ってお墓に行った。お墓の場所は僕が子供の頃に住んでいた家から超近所でびっくりした。一緒にお墓を磨いたりさせてもらえて嬉しかった。おじいちゃんからしたら「誰じゃ、お前は」だっただろうけど。手を合わせてご挨拶をしてしばらくして目を開けたら隣で真夏さんはまだ手を合わせて目を閉じていて、僕はすこし離れたところに移動して真夏さんの背中を見たり雲を見たり斜面の下を歩いてるお墓猫を見たりして待った。お墓の前には用水路があって水がすごく透き通ってて良かった。水の綺麗な町で育ったんだな僕は。

日陰のいい場所にあった。
澄んでいる

目的を果たした我々は高鍋をぐるっと走って、おすすめの公園(僕が幼少期毎日のように行ってたアポロ公園)にいったり「ここが僕の生まれた家です!」とか「ここが母校です!」とか紹介した。その度真夏さんはへぇ〜!とかわぁ〜!とか言ってくれて優しかった。うどんを食べて高鍋大師を見に行って宮崎市内に帰る。真夏さんが高鍋を気に入ってくれてる様子で嬉しかった。

ワンピースの真夏さんアポロ公園の遊具流石に登らないだろうと思ってたら荷物を置いて果敢に登っていき滑り台まで滑っていた。

アポロ公園


小丸新茶屋の特製うどん
高鍋大師のギャグ漫画タッチの石像

空港まで行き宮崎に到着したばかりのありり氏と合流。真夏さんと会った時もそうだったけどありり氏は特に親戚のお姉ちゃんと会う時のような謎の安心感がある。へんなの、と思っていた。
なんやかんやとして夜は3人で爛漫というチキン南蛮が日本で1番おいしい(僕調べ)に行った。並ばずに入れてよかった。うどんが量多くてお腹ちゃんと空くか心配だったけどちゃんとお腹すいててちゃんと爛漫で最高だった。
飲食店に1番うまいとか言うの角が立つかなとか思ったりしたけどわかりやすいから1番うまいという説明を音沙汰にはしていたのだけど、真夏さんが「〇〇(有名店)の100倍うまい」と言っていてそれがよかった。はっきり言うのって時にめっちゃ良い。
爛漫で真夏さんに「あびくんは顔のかわいさだけでいったらジャニーズにいてもおかしくない」と顔を褒められる。ありりも「思う思う」と同意してくれて「そうですかねぇ〜」と言ったけど気分が良くなってしまって調子に乗って昔、空港で関ジャニの伊野尾くんに間違えられて声をかけられた話を披露してしまった。ちと後悔した。

おぐらの100倍うまい

爛漫を出てお腹いっぱいだしちょっと外で座って休みたいねとなり、灯台と噴水がある小さな広場(?)に行った。こっちです、と案内しながら歩いていたら噴水を見つけたあたりで2人が「もしかしてあそこにいざなおうとしてくれてる?」と言ってきて、「そうです」と答えた。公園で3人でバンドの話とスピリチュアルの話をした。

少し休んで、やすよしの家、間違った、店に移動して軽くお茶して解散しようかという話だったのだけど店に着くと画家の百楽さんがいて4人で話す形になった。誰とも喋らず飛行機で奈良から来てさっき着いたばかりで喋り足りへんねん、と今までに見た事ないスピード感と躍動感で喋る百楽さん。お酒飲んでたわけでもないのに4人で何話したかもほとんど覚えてない。とにかく笑いすぎて後半ずっと頭が痛かった。覚えているのは音沙汰のふたりが百楽さんにどんどん新しい名前をつけ始めたこと。「百ゼロさん」になって、「百百」さんになって、「先輩道標」になって、「環境ラッキー」になってた。百楽さんずっとなんでやねん!とか言ってたけどずっと嬉しそうだったし多分ずっと照れてた。

予定より長いこと店にいたので夜になり解散。


5.25

起きたらまだ少し頭が痛かった。昨日笑いすぎたことをすぐに思い出す。
お昼すぎに家を出てぱーくへ。着いたらひろみさんとPAさんが既にいてリハを終わらせる。
次にヤノ氏がやってきた。ヤノ氏とは10年近くの付き合いになるが本当に話したことがほとんどなかった。多分10年間でトータルの会話時間、5分。何回も対バンしてきたのに本当にそんな感じだった。多分当時の僕らはちょっとシャイでちょっと尖っていたんじゃないかと思う。12月の音沙汰のツアーで音沙汰のおかげで宮崎と佐賀、一緒に過ごして、逆になんで10年話ししなかったんだろうと不思議になるくらい仲良くなった。マイメンになった。
仲良いとか、マイメンとか軽くなりそうで嫌だけど間違いはないし、これは備忘録なので僕が老人になったときに読み返して「ヤノ氏、わしのマイメンじゃ…」となればよいので。

助とあきらが到着、いとちゃん、まるもきて役者が揃う。なんだかそわそわ変な気持ちだった。

トップバッター、いとちゃんの出番。
いとちゃんはすごい。すごいし、前見た時の何倍もよかった。丁寧に歌っていた。
少し前にいとちゃんと2人で飲んだことがあってその時に話したことがとても印象的でその日家に帰りつくまでの道中で歌が少しできていたことがあった。
帰宅して曲にしていとちゃんにあげた。喜んでくれていた。僕にも歌わせてねと言ってからあげた。いい歌なので。
その新曲をいとちゃんがライブの最後に歌ってくれた。歌うところを観ながら僕が緊張していた。
緊張する必要ないくらいたくましく丁寧に歌ってくれていた。

2番手、助
助は時々、どうしようもなく苦しそうに見える時がある。この日もそういう風に見えた。助はきっと僕が感じることのできない世界の端っこを知ってるんじゃないかと思う。
歌っているのを聴きながら明日も一緒にできてよかったな。とかなんか的外れのような変なことを考えていた気がする。

3番手、まる
まるとの距離が僕は近すぎてライブの見方が分からなくなることがある。多分お互いにそうだと思う。それがとんでもない個人的感動を引き起こすこともあればマジで変な感情になって気がついたらライブが終わってることもある。この日のまるのライブ、僕は変な気持ちで観ていた。
まるが過去の恋愛の傷をユーモアにくるんで冗談にして話していた。おもしろかったので会場が沸いていて「沸いてるなぁ」と思う。でも全然笑えなかった。ずっとそばにいたからかもしれない。
最後に「ここにいたい」という歌を歌っていた。
そのあたりでなぜか気持ちがすっと落ち着いた。2番のAメロで

「冬が来て歳をとる
あなたのそばで
あの娘の話に花を咲かす
くだらない くだらないな」

という歌詞がある。出来立てを聴かせてくれた時に、これはあびさんのことです。まるが言ったのを思い出す。僕が冬に生まれたこと。ずっとそばにいてくれたことをこの歌のおかげでいつも思い出すことができるんだよな。

4番手、ヤノ氏
すごくリラックスして歌っているように見えた。めちゃくちゃよかった。そういう風に見えるようになった原因が僕とヤノ氏、どちらにあるのか分からないけどめちゃくちゃかわいかった。ヤノ氏のライブを観ながら「かわいい」って思う日が来るなんて出会ったころは思いもしなかった。
ゆりえちゃんが隣にいたので「かわいいね」って耳打ちしたら「なんかつるつるしてるしかわいくなったね」とニコニコしながら言っていた。

5番手、僕
あんまり覚えていない。MCが気持ち悪かったような気がする。音沙汰への愛と真夏さんを推す気持ちを話していたら制御できなくなっていた。ライブはよかったんじゃないかと思う。
ライブを終えて袖に降りると音沙汰がいて真夏さんが「歌よかったね」と言ってくれた。
「MCで地獄を作ってしまった気がします」と言うと
顔をちと尖らせながら「だから歌はよかったよ。歌は」と言った。

トリ、音沙汰
久しぶりの音沙汰が素晴らしかった。個人的にはどうしても母親に音沙汰を観てほしかった。前もって何度も音沙汰がくるからと話してはいたが何を気にしているのか、年寄りが行っても浮くだけだしよ〜となかなか行くと言わないのでやきもきしていた。妹とちゃんと来てくれていた。音沙汰を観ながらふと気になって母親と妹のいる席を見ると母親が「光そのものを見ている時の顔」のような顔で音沙汰を見ていた。妹は笑っていた。
最後にオーロラの国をやってくれた。オーロラの国をはじめてライブで聴けた。オーロラの国は僕の先輩道標ならぬ歌道標、ふとした時に思い出すと迷わなくなる強強アイテム。心強い。僕のロックンロールのロールの部分。またもそばにゆりえちゃんがいたのでめっちゃいいねと言おうとしたらゆりえちゃんがめっちゃ笑いながらめっちゃ泣いてた。

ライブを終えてばたばたと片付けてiiiで打ち上げ。
ずっと笑った。歌人の井口くんがありりとずっと意味のわからない話をしていた。ありりが困っていた。昨日とまったく同じ場所に座ってまたも笑いすぎて頭が痛くなった。正面にありりが居てふたりで頭とお腹痛くなってるのも同じ。へんなの、と思う。嵐坊の地鶏とチキン南蛮とおにぎりをテイクアウトして持ち込んで食べた。おにぎりは足りなくてラディッシュで変なおにぎりを人数に足りるように適当に真夏さんと僕で買った。ヤリイカ飯っていうお弁当があってそれを僕と音沙汰のふたりは食べた。あとは助が途中でいなくなったり、何故かだーひーが居てニコニコしていたり、ゆりえちゃんが音沙汰に人見知りしていたり、あきらと井口くんがめっちゃ仲良くなってたり、また百楽さんがいたり、、、そうだ。Tシャツも2枚当たったんだった。


まるを撮るのうますぎるだーひー


じゃんけんで6月の出順を決める我々



お開きになり歩いて家まで帰った。
約束こそしてなかったけど前回に引き続きヤノ氏は家に泊まるものだと思っていたけど気を遣ってホテルを取ったらしかった。ひとりで帰る予定じゃなかったし、帰ったら部屋が少し綺麗で少し寂しかった。

5.26

11時に集合。集合場所まで歩いている途中、駄菓子屋の前でハッピーバナナ猫の布製の人形のガチャガチャを見つける。猫ミームに詳しくなかったけど、ハッピーバナナ猫って名前にびっくりした。だってそれってハッピーハッピーハッピーじゃね?
ふむふむと見ると「押すと歌うよ!」と書いてあって完全に「買い」だった。4つ買って集合場所で真夏さんとありりとヤノ氏にあげた。こういうのやってみたかった。まるは僕ら4人の事を「F4」みたいに「ぐで4」と呼んでいる(気に入っている)

ハッピーバナナ猫

ヤノ氏の運転、僕は助手席、音沙汰は後部座席で鹿児島に向かう。
鹿児島でお昼はなにを食べようかという話になる。最初に出たのがラーメン、その後僕が鹿児島は豚が美味しいのでとんかつを提案した。みんないいねえと言っていた。
その後、3個目の提案のように真夏さんが「それかラーメン」と言った。真夏さんはラーメンがいいんだろうなと思った。
「じゃあラーメンじゃん」と言うと「え〜なんでよ!」と真夏さんが言って、「わたしもそう思った」とありりが言っていた(今気がついたけど随分前からありり呼びになってる)

高速の入り口あたりを走っている時に去年は青島太平洋マラソンで走る選手たちと並走して窓をあけて「がんばれー!」と応援したのを思い出した。その事をみんなに言おうと思ったら窓に映った真夏さんがもうすでに眠っていて、4人全員に言いたかったので言うのをやめた。やめた瞬間にヤノ氏が「去年はマラソンと一緒に走ったな」と言った。

高速に乗ってからはすぐにありりも眠って、これも去年と同じでヤノ(もういいや呼び捨てで)と2人でずっと話した。ライブハウスのこと、友達のバンドのこと、自分のバンドのこと、会話に困る心配とか準備とか僕、かなりする方の人間だと思ってるんだけどヤノとはマジでそれがない。めちゃくちゃ喋れてるなとか話しやすいなとかそういう考えが過ぎる隙間すらなかった。最近作った新曲の宅録デモをヤノに7曲立て続けに聞いてもらった。「これはマジでいけそうな気がする」とヤノが言った。その後「言い方が変になっちゃうかもしれないけどORANGE RANGEみたいなそういうところにいけるんじゃないかと思う」と言った。曲は全然似ても似つかないけど僕の頭の中にあったのがORANGE RANGEとフジロッ久(仮)とSMAPだったからめちゃくちゃアガって「そうなんよ!そうなんよ!」と言った。
本当は音沙汰にも聴いてほしかったけど眠っていてそれが嬉しかったのでそれでよかった。けど、ちょっと音量大きめでかけた。ヤノも音量でかいなこいつ。と思っていたと思う。

パーキングで休憩したらTontoと2人と会う。みんなでタバコ休憩(真夏さんは寝てた)してまた高速を走る。あきらはなんか嬉しそうで助はぐにゃぐにゃしていた。ぐにゃぐにゃしてるな〜と思って下を見たら助、靴を履かずに靴下のままでアスファルトに立っていた。なにも触れなかったけど助には靴をおすすめしたい。

ヤノが車の中で新曲を作りまくってることをめちゃくちゃリスペクトしてる、みたいな内容のことを丁寧に話してくれていた。新曲ってこういうことだよな。作らなきゃな、俺も。みたいなことを話していた。

高速を降りて鹿児島市内に入ると音沙汰の2人が起きた。結構道が混んでいて更にヤノは何故か1番端っこのバス専用車線を走っていた。なんかバス専用車線なのに普通に車がたくさん走っていてむしろ隣の車線の方が空いていた。隣を行った方がいいんじゃない?と言おうと思ったが野暮かなと思ってやめた。かわいかったし。バス専用車両が混みすぎてて全然進まないことで肝心のバスが諦めて普通車両を走っていた。それを見たヤノが「バスがバス専用車両を諦めちゃってる」と他人事のように言っていて不思議だった。

会場付近のパーキングを探しているとパーキングのおじいさんが「泊まり千円!空いてるよ!」と話しかけてきた。あのおじいさん、ヤクザだったことある気がする。駐車場をそこに決めて、僕と音沙汰は先に降りてスピーディー、かつスムーズに駐車場するヤノを見ながら「かっけー」「男だよな」「サングラスかけてるし」などと言っていた。
「サングラスかけてるし」と言った真夏さんもサングラスをかけていた。
真夏さんが新曲かけてたよね。半分夢の中で聴いてたよ。と言った。全部現実の時に聴いてもらえる機会はあれど半分夢の中で聴いてもらえることなんてそうないから嬉しかった。

結局お昼は六白というとんかつ屋さんでご飯になった。お昼どきを少し過ぎていたので並ばずに入れた。悩んだ結果全員ヒレカツの昼定食にする。店員さんに注文すると6分前に昼定食の時間は終わったと言われる。真夏さんだけが強い目で店員さんに「6分なのに、、、」と言っていた。6分は無理だろ。
6分間に合わなかったことでヒレ定食は700円高くなった。悔しいので誰も頼まず結局ありりヤノは名物のキャベ丼、真夏あびは特製六白丼?みたいなのを注文した。

顔より大きい六白丼
写真撮るヤノ、推せる

想像以上の超ボリュームで奮闘するもヤノ以外は完食ならずありりは放心して壁をぼーっと見ていた。
店を出て会場のWICKY'S HOUSEへ向かう。会場の前にTontoがいて挨拶をして中へ。めちゃくちゃカッコいい会場だった。
リハがはじまり、横長の椅子で運転してくれて疲れてるはずのヤノが本当に10分くらい横になっていた。その後、眠いと僕が溢すと「さっき10分くらい横になったんやけど、あれ実は寝てないんよ。目を閉じてただけなんやけどあれでめちゃくちゃ眠気とれた。全然違う」と言ってきた。
その後、どのタイミングやったか忘れたけど更に2回全くおんなじ事を言ってきた。同じテンションで。3回目の時「もうわかったて」と言いそうになったが嬉しそうだったので「いいなぁ」みたいな返事をしたと思う。

4人で座っている時に真夏さんがAぇ!groupというアイドルグループのことをおすすめしてきた。バンドセットでもライブをやっていてその映像がめちゃくちゃ良いと言っていてそれをiPhoneで流して観た。
僕がgroup Aと言い間違えると真夏さんは怒っていた。group inouじゃんとヤノが言っていて、だとしたらinoぅ!groupだ!と真夏さんが怒っていた。

この日、僕の出番は一番手だったのでリハは最後だった。リハの時点でめちゃくちゃ気持ちよくていいライブできる予感がした。
最近は正直一番手を任せてもらうことが少ない。トリとかの方が多い気がする。でも1番手ってめちゃくちゃ大事だと思っててライブが例えば人間が起こす風なら1番手ってその日の扇風機のサイズを設定するみたいな役割なのかなと思う。僕のあとに、まるが歌って、ヤノが歌って、Tontoが歌って、音沙汰が歌う。そう考えるとゾクゾクしてきてめちゃくちゃでかい扇風機作りてえと思った。
少しでも大きい方がよいと思ったら落ち着かなくてリハが終わったステージでギターの練習をした。
あんまりこういうことってない。
客席の椅子に座ってヤノもずっとギターを弾いてなにか歌っていた。

開場の少し前、会場にはTontoも音沙汰も居なくてまるにコンビニいきません?と誘われた。一緒に天文館をうろうろ歩いて結局コンビニには行かずに会場に戻ると会場の外のベンチであきらが一人でエレキギターを弾いてて渋過ぎて2人で笑う。あきらに近くでタバコ吸える所ある?と聞いたら近くだとキャパレボ下くらいですかねと言った。時間を見たら出番まで15分で時間的に余裕がなかったから諦めようと言うとまるが「え、行きましょうよ」と言ってきた。いや、出番やし無理よと言うと「逆の立場だったら絶対いいやろいこうやって僕連れてかれてましたよね」と言ってきて、かもねと半分無視しながらWICKY'Sの階段を降りようとしたら後ろから「ちゃんと人に厳しい」と聞こえた。

そしてすぐに出番

1番手、僕
かなりでっかい扇風機作れた気がする。
まるがあびさんの後に歌うのはじめてやし、嫌ですわと言ってたんだけどライブを終えて袖に降りたらTontoのかっぱくんが「最高でした」って言ってくれて、まるは「最悪でした」と言ってくれた。

2番手、まる
最初は緊張してるのかな、という風に見ていた。
後半のMCでまるが「ぼくはライブもそんなにする訳では今はなくて、仕事やめたいなとかきついなとかなんのために生きてるんだろとか思う日があるけど、それはまた会いたいからだと思います」と言って目を押さえて泣き始めた。
この前、まるが釣った魚を家に来てくれて魚を捌いて刺身にしてくれて、残った身を味噌汁にしてくれて食べた日があった。台所に立っていたまるが突然「あびさん、なんで生きてるんだろうってなることありますか」と聞いてきたのを思い出した。僕はその時「ならないように心がけてるからあんまりないかな」と言って、まるは笑って「ですよね」と言った。心がけてるように見えるっしょと言うと見えますねと言っていた。
こんな日があってよかったねと思うと涙が出てきて泣いちゃだめだと思って我慢して野次を飛ばしたりしてみた。「はやく歌えよ」って、で、ぎりぎりで耐えてたら横に座ってた真夏さんがこっちを向いて「ねぇ〜、もらい泣きしちゃう」と言った。
でももう既に真夏さんは結構泣いてて僕はもう、それで全然我慢できなくなってめっちゃ泣いてしまった。
何て言えばいいのかわからない本当に不思議な感覚で似たようなことは今までもまるとのライブではあったけどこんなのは初めてだった。遠い昔の記憶とついさっきの記憶とたった今の感覚が同じ解像度で押し寄せてくる感じ。一回涙がでてからはもう止めようがなくておえおえ言いながら泣いた。
ぐで4とのこと、Tontoとのこと、昨日の助の顔、真夏さんのおじいちゃんのお墓、昨日のゆりえちゃんの顔、音沙汰観てる母ちゃんと妹弟の顔、まるとのたくさんたくさんのこと。押し寄せてくる色々を必死で受け取っていたら脳にひとつの言葉が浮かび上がった。

「イチャラブボディーファンタジー」

その昔、高校生のまるが女の子にモテたくて僕が働いてるビレバンで買ったボディーファンタジーという名前の600円くらいの安い香水。たくさん種類があって僕がたしか選んであげた。
まるはそれを女の子を惚れさせる媚薬のように信じていていつもつけていた。いつも汗の匂いの中に安くて甘い匂いがしていた。
僕はそれをバカにするのがお決まりになっていてどどちらが言い出したか「イチャラブボディーファンタジー」と名前をつけていつも呼んでいた。

イチャラブボディーファンタジーが脳裏に浮かんでからもうイチャラブボディーファンタジーが脳内を占領し、あの頃のマジで頭がヤバいとしか思えないラインを好きな子に送り続けていたまるが頭から離れなくなった。もうそこからは涙が涙が涙が状態。
マジでふざけんな。イチャラブボディーファンタジーで嗚咽して咽び泣く日が来るなんて思ってもなかった。なんでおれはイチャラブボディーファンタジーで泣いてんだよ。泣き過ぎてタオルで顔を押さえてまるの歌を聴きながら泣いていると真夏さんの反対隣に座っていたお姉さんが僕の肩をさすってくれた。
やめてくれ、マジでもう泣きたくないから。

タオルで顔を押さえている時聴こえた歌は何回も何回も聴いた歌だった。

「こんな気持ちの繰り返しを人生と呼べたなら、たまの週末の恋愛も音楽もあなたも日常に溶けてゆく」

こんな気持ちにこんなにぴったりの歌だったんやね。

まるのライブが終わって真夏さんの顔を見たら見たことないくらい顔がぱんぱんになっていた。やばいんだけど〜と言う真夏さんにありりと僕は「目が数字の3だ」などと言っていた。ライブを終えたまるが来てみんなで笑って、まるはほっとしているような嬉しそうな顔に見えた。

2番手、ヤノ
めちゃくちゃ良いライブだった。一曲目でギターの弦が切れて助がすかさず自分のギターをもって袖から出てきた。僕は「あびギターもあるよ!」と言って結局ヤノは僕のギターを弾いた。
3年前に弾き語り本当にちゃんと頑張ってみたくて50万円のアコギを買った。僕が買える最大のお買い物だった。弾いたら毎回磨くし、人生でこんなに大事に物を扱ったことない。なによりめちゃくちゃ音が良い。もし、誰かに貸して傷ついたりしたらめっちゃ凹むし、かと言って責めることもできないから誰にも貸さないことにしていた。前回の音沙汰のツアーの時、音沙汰とあびくん乗せたら俺のギター載せれないからギター借りれない?と相談を受けた時も事情を説明してもう一本持ってる別のアコギを貸してそれを弾いてもらった。
でもその時は気が付いたら「あびギターあるよ!」と言っていて、多分、今だっ!って思ったんだと思う。僕のギターを弾いたヤノはめちゃくちゃ弾きやすい!と嬉しそうにしてくれていた。僕も嬉しかった。
あびとまる、宮崎勢の情緒不安定さ、あれなんなんですかマジで。とMCでちゃかすヤノ。
「まるが泣いてたけど言ってたこと、俺もまったく同じ気持ちです」と言ってさっき出来たという新曲を歌ってくれた。だからさっきあんなにずっとギター弾いてたのか、、、
「Like a family」という曲だった。
僕はもう心がビンビンになっているのでタイトルコールで泣いた。歌がはじまってまた泣いた。

「Like a family
そんなに会いもしないけれど
安心する いつもありがとうとか
愛してるでもなくて
会えて良かったよ」

そんな歌詞だった。僕が心で確信的に感じていてでも言葉になっていなかったことをこれでしかない形でヤノは歌にしていた。
聴いてる時、まると足がくっつくくらい近くで聴いていて、その隣には真夏さんとありりがいて、泣くのやめたいのにまるの嗚咽の振動が太ももに伝わってきてダメだった。最悪だった。まると真夏さんと自分の泣き声をヤノのヤバい新曲を聴きながら聞いていた。
ライブが終わりまるを見たら顔全体がまんべんなくびしょびしょだった。どうやって泣いたらそうなるんだよ。真夏さんの目は完全に33になっていた。
ありりだけは全然泣かずクールで僕らのことを笑っていてそれが最高だった。ありりのこと超大好きだけどもっと超大好きになった。

4番手、Tonto
昨日の寂しそうな心配になるような助じゃなかった。じゃなかった、は違うかも。そのままでいて、ものすごく逞しく力強かった。
曲中に謎に長いメンバー紹介があり、助が曲の尺なんかフル無視で全員のことをひとりずつ丁寧に言葉を選びながら観ている人全員に紹介していた。
会場のみんなが楽しそうで優しくて涙が出た。
助は最後にステージから降りてきて会場のほとんど全員にハイタッチした。めちゃくちゃ力強く。でもその中で1人だけにハイタッチじゃなくてやさしく手を握っていた。
僕は助という人を知らない。何回会っても知ってると言えない。でもこの人の心と外側に向かっていこうとする祈りに似たパワーが鹿児島という街の音楽を作っているということが本当に誇らしかった。
なにより助が楽しそうで嬉しかった。

トリ、音沙汰
33の目で登場した真夏さんといつもと変わらないありり、正直登場の時点で泣いた。
一曲目は「怪獣のあくび」だった。

「怪獣のあくびみたいな
君の歌が大好きさ
ぐしゃぐしゃになった世界
ひとりで直してた
そのメロディと弾むビートで
あとすこしでできるのなら
待ってるぜ となりで」

この歌を聴きながらついさっきまで歌っていた助のことを考えていた。彼女はぐしゃぐしゃになった世界をずっと直そうとしているんじゃないかと思った。
「あとすこしでできるのなら」の最後の「ら」で真夏さんの声が掠れて、真夏さんはポロポロ涙を流していて、それをありりが鍵盤を弾きながらしっかりと見ていた。僕はもうあんまり涙でぼやけて見えなかった。
みんなずっと泣いてたけど結果的にライブ中に1番泣いてたのは真夏さんだった。ずっとめそめそしてた。一生懸命歌って話していた。
それに対してありりは全く動じず真夏さんの呼吸に応じるようにピアノを弾き続けていた。その姿が美し過ぎて曲中、後ろに立ってた顔真っ赤のぐでんぐでんなヤノと「ありりヤベェ、ありりヤベェ、ありりカッケェ」と言い合った。
ライブを終えて袖にはけた音沙汰、客席に聞こえるくらい2人で爆笑していてそれが最高だった。

めちゃくちゃおこがましいけど、真夏さんはずっとありりに護られてきたんだなと思った。逆も勿論そう。そうなんだけど真夏さんのことはありりが護ってきたんだと僕は思った。真夏さんがあんなに天真爛漫で軽やかで人間で、それ以外でいられるのはありりが居るからなんじゃないかな。偉そうにごめんなさい。でも本当にそう思いました。
2人ができるだけ長く友達でいて、一緒に音楽を鳴らして、嫌なことがあっても愚痴ったりふざけたりしてなるべくたくさんの良い思い出と一緒に身体とさよならできたらいいなと思う。
そしてその思い出に参加できて嬉しいと思う。

mojoで打ち上げ。
可愛い写真をとったりこれからのことを作戦会議したり、ぽん太が宮崎で撮ってくれてた音沙汰のライブ映像を観たりした。

みさきちゃんのお母さんが握ってきてくれてたおにぎり(日本一)(100倍うまい)を5個食べた。
3つはみさきちゃんのお母さんの前で食べた。あびちゃんのために作ってきたと目も見らずにお母さんが言っていた。あんなにたくさんのおにぎり。大変だったよ。絶対。嬉しくておにぎり食べながら泣きそうになったけど誰かが歌ってる暗い空間じゃない場所で泣くのはみんな困ると思ってめちゃくちゃ我慢した。帰り際、真夏さんがおにぎりもらって帰っていい?って言ってカバンにおにぎりを入れていて嬉しかった。

助と久しぶりにツーショットで写真を撮った。
撮った後、「息止めてた、、、良い匂いすぎた、、」って言った。急に乙女。そしてそんなわけないんよ。汗臭かっただろう。ごめんな。

息止めてる助

まるが先に帰ります。とほぼ開いてない目で言ってきた。泣き過ぎて目が開かなくなったらしい。
半目で僕の髪を撫でてきて「かわいい」と言った。
まるは元気な時大体僕にこれをする。
別れのハグをしていると真夏さんありりヤノが「近所だろ」「またすぐ会うだろ」と言った。
僕が「心も」と言うと、真夏さんが怒っているような声で「知ってるよ!」と言った。

打ち上げが終わり、音沙汰とヤノと外に出るとさっきまで全然晴れてたのが嘘みたいに雨がどしゃどしゃ降っていた。豪雨だった。
たしかに週末ずっと雨の予報だったのに宮崎も鹿児島も雨降らなかったんだよな。空が我々のライブの終わりを待っててくれてたのかもしれない(スピ的に言うと)

雨がすごいのでコンビニで傘と甘いものが食べたくて雪見だいふくを買った。
真夏さんが「え、雪見だいふく買うの?またかわいいもの買ってるじゃん」とバカにしてきて流石にバカにされてると気が付いて僕は怒った。そんなことないだろ。雪見だいふくはかわいいよりも美味いだろ。

あと、その時点で1時すぎていて、朝の出発がはやい時間だった音沙汰。真夏さんがありり寝る?って聞いたら多分寝ないって答えて、じゃあコーヒー買う?買おうかって2人でカフェラテ買ってたのを僕は少し後ろで見た。良すぎて概念を概念でこっそり抱きしめた。

コンビニを出て、屋根のある商店街のぎりぎりまで歩いた時後ろからあび、と呼ばれて振り返ると性大だった。え!となり動揺していると3人が行ってきなよと言ってくれてそこで3人と軽くハイタッチしてさくっと別れた。

性大と会えたのは超ラッキーだったけど別れて性大と歩きながら、めちゃくちゃ最後さくっとしてたな、、、と不思議な気持ちになった。でもよかったなと思った。僕だけ宿一緒じゃなかったし、宿まで3人を見送って一人で帰るの寂しすぎたかもしれない。

これで終わりです。ここまでで12207文字だって。やばくね?(書き足したので13802文字です)

あまりに不思議な数日間だったので謎すぎて自分の中で消化できなくて出来るだけ起きたことを書いていったらなにか解明できるんじゃないかと書き起こしてみたけどとんでもない前代未聞の長さになってしまった。これでも全然書き切れてないことある。

しかも次は東京、新宿マーブル
6.16 ぐでんぐでん東京編
次はみんなバンドで出演。3週間後にはまたみんなに会えるのやばくね?鈴木さんもいるのやべえ。

本当に長い話を聞いてくれてどうもありがとう。
安心する不思議な日を好きな人と共にできて本当に幸せ。これからもっと良くなる気がするよ。

ぐで4

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?