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半夏生

7月、日曜の朝、起き上がらないけど起きている。部屋のなかの日陰、目を瞑って鳥の囀りを聴く。南側の網戸から風が流れ込み、からだの周りに漂い過ぎていく。きょうも暑くなる。夜中に降った雨粒が残るゼラニウムたちはきっと灼けるだろう。
きのうはアカデミア美術館の作品の勉強会に参加した。講義を受けながら夏のフィレンツェを思い出した。シニョーリア広場の雑踏を抜け、橋を渡り、ミケランジェロ広場までの坂道での息切れの記憶が戻る。開けた丘から遠く正面に見える山へ向かったバスの揺れさえよみがえる。フィエーゾレでは草生したエトルリアの遺跡を歩き、触り、サン・フランチェスコ教会で涼みながら帰りのバスを待った。
暑くなると夏のイタリアの街々の、厚い記憶のページがバタバタと開け開けと暴れだす。
あまりに行かれなくて、閉ざしていたけれど、少しずつ捲ってみようか…。

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