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心臓

自分の鼓動がうるさくて目が覚めるときがある。今朝がそうだった。そういう時は、起きる。ガラス越しに晴れを見て、起きる。駅から離れて鉄橋を渡る電車の響きが届く。ラジオのボリュームを上げたときトークではなく、なにかしらメロディが聴こえてきたら最高だ。ジャズだ、良かった。重いサッシを開けて狭いベランダに出るとモッコウバラの枝葉が空を仰ぎサワサワと揺れていた。南を横切る機影の輝きにドバイで買った銀色のポットを思い出した。いつのまにか心臓音がすべてに紛れていた。珈琲を入れよう。

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