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【ピアノ日記】そんなに苦しくなかった今回の発表

先日、昨年から一年かけて取り組んでいた曲の発表が終わりました。アンサンブルの曲で、単体の曲としても難しいのに、さらに相手を聞きながら演奏するという高いハードルがあったため練習期間中は何度もめげそうになりましたが、本番の出来はともかく、いつもに比べるとびっくりするくらい苦しくなく(!)本番までの日々を過ごすことができました。

それもこれも、以前noteにも書きましたが、年末年始に、

(Before)「こんな辛い気持ちでやるなら楽器弾いてても全然楽しくない! もうこんなことはやめる!」

…紆余曲折…

(After)「上手く弾きたいなどの余計な気持ちを捨てれば、楽器弾くの楽しいまんまだお!」

という大きな心境の変化を経験したがゆえなのです。。

もちろん本番前の緊張は多少はあるし、「自分に期待しない、人からどう思われてもいい」と頭では思っていても、そこはやっぱり人間だもの。人前で大失敗はしたくない、演奏うまくいってカッコいい自分でありたい、という欲は当然ありますよ。
が、楽しんでやってる趣味なのに、今までのように苦しみながら本番を迎えるのってほんっっとに意味ないな、と年末年始の紆余曲折を経て痛感しました。なので、多少失敗したって別にいいやぐらいの、以前の私が聞いたらビックリ仰天するような心持ちで直前の日々を過ごせていたのでした。

ちなみにこれまでの私はと言うと、本番が近付いてくると恐怖におびえながら微に入り細に入り練習を繰り返し(しかしいくらやっても不安感は消えない)、悲壮感漂う面持ちで、何をやっても頭から曲のことが離れない、その心境はさながら公開処刑の日をまんじりともせず待つ罪人のよう。日常生活でも電車で降りる駅を間違えたり(しかも改札出てだいぶ歩いてから間違えたことに気付く)、料理の調味料を間違えたり、ミス連発。
「あのー、自分でその発表をやることに決めて、自分が弾きたいから弾いてるんですよね? そんな状態になるくらいなら、なんでやることにしたの?」と我ながらツッコミを入れたくなるほどのボケっぷり。

発表が終わってからも、もうそこで燃え尽きてしまってしばらく何もやる気が起きなかったり、ひどい時は一週間ぐらい寝込んでしまったりします。。

演奏の方も、まあこれなら一応成功かなという感じで終われたとしても、終わった後に残る一番大きな気持ちは、「危ない橋を命綱なしでなんとか渡り切った~!」みたいな安堵感。とにかくみんなの前で大恥をかかなくてホッとした、それだけ。そしてその安堵感は一瞬で過ぎ去り、新たな曲を始めるとまた新しい苦しみが始まる。。次の発表は◯月だから、いついつまでに譜読みを終えて、技術上の問題点はいついつまでに解消の目処をたてて、レッスンは◯回ぐらい受けられて、、、あ~間に合うかなぁ…(重い気持ちエンドレス)。

何度かこのサイクルを繰り返したことで、ようやく分かった。これ、この危ない橋を渡る感じ、一生続くわ。安心することなんか、ないんだわ。こういうやり方な限り、発表の直後だけは安心できたとしても、それが終わるとすぐにまた不安を感じながらやらないといけないんだ。

もちろん壁にぶち当たるたびに新しい練習方法を試したり、曲に出てくるテクニックを基礎から見直したり、アレクサンダー・テクニークのような体の使い方を見直すレッスンを受けるようになったりして、自分比的には確実に向上しているんである。敢えてチャレンジをしなければ絶対に至れない境地なことは確かなんである。
でも向上した分、自分の中の演奏ハードルも比例して爆上がりしているので、満足することなんて一生ないわけなんである😂
再開して最初の頃はとりあえず人前で弾けただけで満足していたのに、ここ最近なんて意味不明にプロの演奏と比べて落ち込んでたもんね(←おバカ)。

というわけで、今回は途中からがらりと考え方を変え、本番では八割がた弾けてればOKということにして、それよりも楽しく練習することを重視しようと決めた。そうは言っても長年の性格から、すぐにまた焦ってがむしゃら練習したくなることもあったけど、そのたびに「それじゃあ今までの自分に逆戻りだ!!」と思い直し、鬼の意思で(?)楽しく感じられる範囲でしか練習しませんでした、笑。

普段も曲のことばかり考えずに、ちゃんと日常生活を楽しむことができました。

結果、やっぱりというか、本番では「ん? 今のはなんだ? 笑」みたいなことをいくつかやらかしてしまいましたが、そしてそれはこれまでの自分ならめっちゃ落ち込んでいたであろう事象なのですが、今回は落ち込みも少な目で、「自分よくやったよ!」という気持ちの方が大きかったです。というのも、今までのように小さなミスをいつまでも重大に捉えてくよくよ気にするのでなく、難しい曲を大事故なくあらかた弾けただけでも立派なもんだと、自分で自分を褒めることにしたのです(本音言うとやっぱりちょっとは落ち込んでしまったけどね😂)。

おそらく、かつてのように恐怖心からストイックに練習してずっと緊張感を保つ方が、本番でのミスは最小限に防げるんじゃないかとは思う。が、そこに至るまでにあんな苦しい気持ちで長い間過ごすくらいなら、本番で失敗する方がマシだと思いました。だって人生は本番以外の時の方が長いんだから。それに本来は楽しい趣味としてピアノをやってるんだもんね。楽しまないともったいない。

緊張しながら練習しまくって過ごすのを一度やめるという経験も私には必要に思えて、今回はそれをやってみることができたので、よしとしよ~!!
(これは決して、あんまり練習しなかったことの言い訳じゃあないですよ🤣)

と、言いつつ、だいぶ前に読んでnoteに感想を記した本、「不安を自信に変える授業」に書いてあった、不安の正体をちゃんと見て冷静に対策を取る、みたいな態度も大切だし、これはこれで一つの真実だなと感じる。なんというか、能天気だけじゃいけないというか?
今回私が気付いたように、楽しむことは大切で、不安からだけの行動はよくない。だけど、本に書いてあるように、不安から逃げずにきちんと準備することも大切。
うまく言えないけど多分、この二つの考え方って、一見真逆のことを言っているようだけど、コインの裏表のように、実は一つのことをそれぞれ逆側から見てるだけだと思うんだな、なんとなく。見える姿は正反対でも、物事への取り組み方としてはどちらも同じだと感じる。このへんはまだちょっと自分の中で考察が足りないので、引き続き考えていきたいと思います。

何はともあれ、アンサンブル自体はとても難しかったけど、極力相手を聞きながら、弦楽器の友人と協力してアマチュアらしい勢いのある演奏(走っている演奏とも言う、笑)ができたので、よかったと思います!😄
(演奏した曲は、ベートーヴェン作曲クロイツェル・ソナタの第1楽章でした)

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