基本的には口癖って致し方ないものだよね、基本的には。

口癖とはやっかいなものである。

意識していないのに、口を開けば、迷路で遊んでいた口癖がゴールを見つけてしまったかのように飛び出してしまう。
いやいや、出てくるなよ、と言っても奴は出てくる。
でしゃばりなのだ。

「基本的には」

僕はこの言葉の使用頻度が高い。
口癖と言っていいだろう。

大体は話の最初に付けて、内容の信憑性をぼかしてしまうのだ。

「基本的にはポケモンってピカチュウだよね」
「基本的には目玉焼きは醤油だよね」
「基本的にはカントリー娘。はりんねだったよね」

これは確定したいのだけれど、自信がないから、基本的にはそうだけれど、違う場合もあるよ、という保険をかけているのだ。

これはいけない。

小説をひたすらに読み、インテリぶっていること、この上ない僕が「あいつ同じ言葉ばかり言っていて、語彙力ないよね」と思われるのは今後のイメージ戦略に関わる。

由々しき事態だ。

よし、ここで僕は「基本的には」を封印することを宣言する。

そして、「僕の矜持が忸怩たる発露を逡巡した残滓が燦然とした安普請な隘路」とか言う人になる。

今日から頑張って、語彙語彙詐欺を働こうと思う。

基本的には。

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