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20200211

「2月11日は水族館でもいこう(`・ω・´)
 女ちゃんと出かけるの本当に楽しみ😄」

偽りしかないメッセージを彼女に送る。
すると、非常に好意的な返答が返ってきた。

罪悪感と高揚感が心の内から溢れ出る。

計画通りにことが進んでいるのを喜ぶべきか、
はたまた悲しむべきか。

僕は水族館へ行った。

お手手を繋いで、
カップルかの如く内部を散策した。

魚に興味もなければ、女にも興味はないが、
何処か僕の心は落ち着いていた。

きっと彼女の心が澄んでいたから
安堵していたのだろう。

3時間程中にいたんだろうか。

本当に時間はあっという間に流れていった。

次に、アメリカンな出立のカフェに足を運んだ。

俺お得意の出任せトークで、盛り上げる。

小手先だけの話術で相手に楽しいと錯覚をさせる。

全て成功した。

Googleさんに感謝を僕はしたい。

更に彼女から僕に対する心の距離は
近くなった気がする。

まあそれは当然と言えるか。

そして、次のカフェへ向かう。

電車内でもお手手を握ったり、
カップルもどきなことをしていた。

懐かしい気分だった。

ドキドキすべきところだと言うのに、
僕の心は平静を保っていた。

いや保つというよりかは、心が死んでいた。

次のカフェでも、また適当なこといってた気がする。

彼女は笑っていた。

死にたくなった。

最後に公園に行った。

僕はブラックコーヒーをちびちび飲みながら、
今日の振り返りをしていた。

彼女は真剣に聞いてくれていた。

僕はいつもありがとうみたいなことや楽しかった的なことを話していた。

そして、告白した。

偽りでもいいので、付き合ってみようかと思った。

退屈だったから。

暇だったから。

人に寄り掛かりたくなったから。

僕は、彼女に本心を話したことが一度たりともない。

こうすればいいんやで的なマニュアルに沿って、
ただただ話していただけ。

それがうまくいき、今に繋がっているだけだ。

何が言いたいのかというと、
好きでもないがとりあえず付き合ってみようと
僕は思っていたのだ。

それも恋愛術的なものの効果の検証も兼ねて。

全て上手くいった。

余りにいきすぎた。

あとは付き合ってしまえばいい。

しかし、心の中の僕が、それを拒絶した。

『本物にしか価値がない。』

『人を利用するのはダメだ。』

そう強く僕に訴えかけた。

僕は言った告白を取り消した。

今のはナシだと。

彼女は少し悲しそうにしていた。

こんな偽りの僕と付き合ってしまうと、
彼女の未来は損なわれてしまう。

そして僕自身が常に偽りの中で
生きていかなきゃいけなくなってしまう。

それはお互いにダメだ。

きっとこれで良かったのだ。

やっぱり話が合う人間を探そうと思った。

もう、適当に付き合おうとは思わない。

もう、人で試すようなことはしない。

真の自分をさらけ出してなお、
そばにいるものだけを大切にしたい。


サポートが嬉しいと言うよりも、君という1人の人間に楽しんでもらえたことを実感できることが何より嬉しいです。