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お気に入りカフェの今

「どんなカフェが好きなんだ?」と、阿形(夫)に聞かれた。そう言われて思い浮かぶのは、どこも閉店した店ばかりだ。写真を見せたくても、今のようにスマホで撮ることはなく、みな記憶の中。うろ覚えの名前を頼りに探すと、ネット上に記事とともに幾つかの写真が投稿されていた。

トップ写真:記憶にある喫茶店「茶房李白」のイメージ=阿形作成

陰翳礼讃

まず「茶房李白」という喫茶店。東京千代田区の神保町交差点から水道橋方面に向かう白山通りの左手の路地裏にあった店だ。ある記事に『陰翳礼賛の李白』というタイトルで投稿されていたが、まさにその通りの世界観。その雰囲気が好きで、幾度となく店に足を運んだ。

古民家風の落ち着いた店内に、木のテーブルと柱時計。障子のある窓の席が好きだった。コーヒー一杯でどれだけ長居しただろう。仕事の途中のリセットしたい時の極上の隠れ家だった。2004年5月末に閉店し、その後、世田谷区経堂に移転・再開したが、どうやらその店も今はないようだ。

移転

「茶房きゃんどる」も茶房李白と同じように木のぬくもりがあり、当時、神保町の路地裏にあった。周辺の再開発に伴い、てっきり閉店したままかと思っていたが、今回調べて東京パークタワーの1階で再開しているとを知る。移転しても「面影を残している」と、ある記事には書いてあるも、店を切り盛りしていた老婦人はもういないだろう。

神保町のすずらん通りにある「サロンド冨山房Folio」は、老舗出版社の冨山房が経営する喫茶店だ。あるとき、打ち合わせの場所として指定されて行ったのが最初で、地下でも陽の光が入る明るい店内が特徴の店だった。調べてみると同じ場所にある。ただ、リニューアルしたようだ。机や椅子の配置が当時と大きく異なっている。久しぶりに行ってみたくなった。

"御の字"

今はもうない喫茶店が良かったというのは、月日を経たせいだろうか。懐かしさがそう思わせるのかもしれない。ただ、思い出は思い出として、今ある喫茶店の中から、自分なりの心地よい場所を探したい。阿形も気に入ってくれれば"御の字"だ。(うん)

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