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次世代クリーンエネルギー「核融合技術」

 こんにちは、あぷるです。
 久々のSDGs関連投稿です。クリーンエネルギーが話題になってます。クリーンなものの代表は太陽光、風力、地熱、潮力などさまざま。しかし、核融合の技術もクリーンエネルギーの中で議論されることがあります。下のニュースが先月あり、にわかに注目を浴びます。それほど新しい技術ではありませんが、なぜ核融合なのかを記事にしました。

エネルギー問題を解決する最後の手段

 エネルギー問題を考える上での2大キーワードがある。

 ・脱酸素
 ・脱炭素

 カーボンフリー(脱酸素)は話題が尽きないが、脱酸素は中々話題に乏しいを感じる。世界規模で起こっている気候変動。地球規模でその解決先を模索中であり、人類はクリーンエネルギーに関する大きな課題に対峙中です。
 2050年、世界人口は100億人超、その所要を満たす電力総量の推計、約40兆KWh。2019年の世界電力発電量が約27兆KWh。現在の約2倍の電力を必要することになる。
 ※参考 世界エネルギー統合イヤーブック >> リンク

 現在、放射能問題を除けば、上述の2条件を満たすエネルギーは、原子力発電も加えることができる。発電量は十分であり現実的です。しかし、安全性の観点から現実的ではないとのいけんが大半。
 そんな中、タイトルにもある核融合が注目を浴びている。本当に解決策となり得るのか、可能性はあるのか。

太陽エネルギーは核融合

 「核融合反応」とは、太陽内部で起きる核融合反応を人工的に作ること。具体的には、(太陽同じメカニズムで発電するなら)1,500万度以上で熱せられた空間に水素ガスを封入し、水素ガス同士を衝突させ、そのエネルギーを取り出す。これが核融合。そのため、ガス圧などに耐えることができる専用炉、及び燃料として「重水素」と「三重水素(トリチウム)」が必要になる。その燃料は、実は海水中から取り出せる。つまり、「無尽蔵」のエネルギー源と言われる。
 実際の核融合発電では「1億度」という高温状態を作り出す。そして、超高速に加速した原子核同士を精度よくぶつける。衝突により核融合反応が始まる。その制御の技術が、現在まで核融合の実用化を困難にしてきた。
 原子力発電(核分裂反応)は「反応を止める」ための制御技術が高度であるのに対し、核融合では反応を起こすために制御が必須となる。なので、核融合は制御不能に陥るこはない技術である。そして発電容量は既存の発電所と同程度というから、効率的な電力源となる。

 核融合のメリット(まとめ)
 ・核融合を起こす技術が高度であり、制御不能に陥るリスクが小
 ・核融合のように核廃棄物処理が容易であり環境負荷が小

発電時の廃棄物は

 核融合の良いこと記述したが、認識すべき問題もある。以下に整理する。

 ・発電時、CO2、NO2,、SO2などが発生せず大気汚染のリスクフリー
 ・発電時、放射性廃棄物は残る。

 原子力発電(核分裂反応)では、プルトニウムなどの高濃度放射性核廃棄物が大量に発生する。この高濃度放射性廃棄物は数万年経っても高レベル放射線を発し続けることはよく知られている。
 一方、核融合発電でも放射性廃棄物は発生する。しかし、数十年の経過で人体に全く影響のないレベルに下がる。従って、管理・処理が計画的に進められメリットがある。

軍事転用の危険性は

 連想するのは「水素爆弾」であると思う。つまり、軍事転用リスクについて触れる必要があるので少し。そうです、日本人なら教育受ける第5福竜丸事件です。ここまで、核融合はクリーンであると述べた。ならば、水爆もクリーンであるはず、しかし少し違うのでいかに補足します。

 水爆の原理は核融合のほか、水爆を爆発させるため1億℃という超高熱を発生させます。そのため原子爆弾で開発済みの技術をしようします。つまり核融合のにより高熱を発生させます。ゆえに、水爆実験では大量の放射性物質が発生し船員は被曝することになったのです。

 上記のとおり、核融合はは平和利用と軍事利用の原理が全く異ります。発電目的に係る研究は軍事転用される恐れは極めて少ないのです。

核融合発電に必要な技術と課題

 核融合反応に関する技術を文部科学省HPで公開される内容から整理すると、以下の3つに整理できる。

プラズマが約1億度以上の温度になること(温度)
1立方cmの中に原子核の数が100兆個以上あること(密度)
プラズマ閉じ込め時間が1秒以上あること(時間)
 プラズマ:(電離気体, 英: plasma)は固体・液体・気体に次ぐ物質の第4の状態である。 イメージは気体である分子が電離し、陽イオンと電子に分かれて運動している状態

 この3条件をローソン条件という。特に3つ目のプラズマ閉じ込め時間が1秒以上を、超高速で動く原子核を小さな場所に閉じ込めるのは難しいとされています。ここで、原子核はプラスの、電子はマイナスの極性を持っている。つまり、磁石などで引きつけ制御できるということ。いま、必死で研究が進められる技術に「超伝導マグネット」によるプラズマを閉じ込めるもの。しかし、超伝導はマイナス269度まで冷却が必要。そのため、大量の液体ヘリウムが必要となる。液体ヘリウムで冷却しつつ、1億度以上の高温状態を保つ技術が必要となる。

 では、その超伝導マグネット。この技術が鍵であることは前述の通り。おそらく、核融合施設の建設コストの大半を占めることになると思われる。その理由は、製造技術が高度であり、建物に組み立てられた以降は、容易に移動や取り外しが困難である。そのためランニングコストが未知数である。更に、現段階の技術では、そのマグネットが損傷した場合は、マグネットを一から製造し直すことになる。その他にも、技術的課題はあるとされる。

各国・機関の動向

 ITER計画というものがある。核融合を平和的に開発を進める超国家型プロジェクト。日本、米国、中国、フランスなど、このITER計画は国際協調の下に進められている。
 また、核融合のスタートアップのすでに始まっている。

 核融合エネルギーの業界団体「Fusion Industry Association」加盟数は21者、代表的なものを紹介する。

General Fusion(上述のニュース記事)
 2002年設立。本拠地はカナダ。19年にジェフ・ベゾス率いるBezos Expeditions、シンガポールのTemasekなどから110億円の出資
Commonwealth Fusion Systems
 2017年、マサチューセッツ工科大学(MIT)よりスピンアウト
 ビル・ゲイツ率いるBreakthrough Energy Venturesが支援。20年5月に総額約90億円の資金調達をした。
TAE Technologies
 本拠地はカリフォルニア。98年設立。設立当初よりマイクロソフト共同創業者である故ポール・アレン等が支援。昨年秋まで700億円以上の資金調達をし、時価総額3,000億円を超える。
京都フュージョニアリング
 京都大学発のスタートアップ。京都大学エネルギー理工学研究所教授の小西氏らによって19年に設立。

 このように、宇宙、AIと並ぶ次世代技術「核融合エネルギー」はベンチャーキャピタルも注目する領域となった。そして、日本の大学、研究機関、そして大企業の核融合関連の技術力は高いとされる。

ここまで読んで頂きあちがとうございます。

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