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政府は為替介入により行き過ぎた?円安に対処

為替介入の兆候・・・

 2つある。
 1つ目は、9/14の記者団と神田財務官とのやりとりで「為替介入をするかしない」との質問のやりとり(下記)。もうひとつは日銀がレートチェックをしたとの報道。介入前はレートチェックをするため。

・「あらゆるオプションを排除せず、状況に応じて適切な対応を取る準備ができている」
・「投機によるようなものに対しては必要な措置を取らざるをえない。今後しっかりとしかるべき対応を取ってまいりたい」
「一夜にしてファンダメンタルズ(fundamentals:経済の基礎的条件)が大きく変わることはそんなにあるものではない」

上記から、
① 「円安は投機的」と政府は認識
②  よって政府は「為替介入」の準備を完了
と理解は可能。
 しかし、現政権発足から約1年。その間、具体的な成果はない。直近の世論調査(NHK 9/12)で内閣府不支持理由は
 「政策に期待が持てない(36%)」
 「実行力がない(29%)」
など、口先介入と一部マスコミが報じることも一理あると感じた。ただ、「準備」との強いメッセージは強い。でも、記者団とやりとりは9月14日(金)。連休後の9/26以降に介入と思っていた(自分はそう思ってた)
 3連休直前の9/22夕方に介入と疑う注文が、ほどなく財務官が為替介入を認める報道。全くのサプライズ、かつ絶好のタイミングで値を140円台まで冷やした。

今の円安は投機的?

 財務官は「ファンダメンタルは一夜にして・・・」と。FRBは9/21のFOMCで3会合連続0.75%の利上げ、現在FFレートは3.0ー3.25%。さらに、22年末の金利水準はFRBメンバー平均4.4%、これは市場コンセサスを超える水準。翌9/22の日銀金融政策決定会合では「緩和維持」と欧米とは対照的な金融政策であり、日銀会合後に円が対ドルで145円へ向かう。

 米国の金利水準(短期金利)が3%超。そなれば、日本からドル建てによる資産運用との実需が増加するのは自然。しかし、政府(財務官)はその実需を「投機」とみなす。すなわち、ドル建て投資阻止こそが為替介入の目的とすら思える。ところで、介入には米当局の同意が必要。更に米ドル準備金が必要であり、円高退治としがい介入回数は限定的となる。円高は紙幣をすれば良いので、円安退治とは少し事情が違う。

過去の円安阻止の為替介入は?

 1985年のプラザ合意から始まった「円高」トレンドは、1995年まで約10年間継続した。そして、95年に70円台あらは暗転し円安へ。98年には130円まで円安進行した。

 98年4月、6月と財務省は為替介入。が、短期的には円安阻止を失敗している。しかし長期で見ると、同年8月に147円台をつけ反転。この時、ロシアが財務破綻し「ルーブルショック」が世界の金融市場を揺るがす。市場参加者は急速にリスクオフ。同4月の介入から約4ヶ月後に投機的な値動きによる円安から円高へ、8月中旬の3日間で約30円下落(円高)する反転ぶりでした。

今後の見通し・・・

 為替介入は「短期的には効果が薄い。」
 しかし、多額の資金投入する介入は「需給を乱す。」 従って、長期的にはそのトレンドは転換(今ケースは円安から円高へ)。ただし、その時期よ予測は困難であり、数ヶ月の場合もあれば数年のケースも。
 98年のそれと同様、現円安も「米国インフレ懸念後退」などのイベントによりで円安終了よ予想できる。介入は長期的には効果あるので。