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次世代通信技術「6G」IOWNの概要と実生活にもたらす変化

はじめに

 5G技術の時点でモバイルネットワークは高度化している。もはや4Gでも十分な高度化を達成していると思う。動画の伝送レートが30フレーム、これが5Gの実力。しかし、6Gではその4倍を目指す。カクカク動画がサクサク動画に、画面が固まる会議も少なくなるであろう。でも、たかだか4倍!こう思う人もいるのでは? 6Gは同時接続数が重要で、5Gの約100倍となる。動画伝送レート以上にインパクトを感じる。

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図:総務省HP「平成30年白書」より抜粋

 6G実現、それ向けた技術的なことを前回触れた。しかし、技術的に豪華でも生活に落とし込むと「一体何が変化するのか」などの具体性あるイメージが湧かない。単なる「すごい技術ですね」で終わる。
 実生活にどのような変化が起こるかも混じえもう少し踏み込み説明したい。その前に前回の補足を説明したい。

IPセントリック→データセントリック

 5Gまではネットワーク中心にシステムが構築された。そのため、光ケーブルによる固定通信網を構築はその中核。6GはTCP /IPにより構築するネットワークから、そのネットワークを基にさらに通信基盤を拡充し、データ中心のシステムを構築するとされる。つまり、「IPセントリック」から「データセントリック」。2000年前後にネットワークセントリック構想が打ちだされ、6Gでは主役がIPからデータへと変わる。データ中心なので、中央にデータハブを構築することになる。そして、より高速かつ効率的なシステムを構築するので、TCP /IPに変わる新たなプロトコル(通信規約)開発をするとされる。

6G環境構築の3つのキーワード

 NTTが提唱する「IOWN」が実現する6G環境には、「光技術」による高速化と効率化が重要とされる。加えて、通信量を向上させ電力量の効率化を達成することも重要。そのため、NTTドコモは以下の3つを実現することがが必要であるとしている。

 1.オールフォトニクスネットワーク(AFN
 2.デジタルツインコンピューティング(DTC
 3.コグニティブ・ファンデェーション(CF

 AFNは、「光」でつなぐネットワーク。現在、従来型ルータでデータ(IPパケット)を中継しデータ伝送する際、光信号より電気信号に一時変換する。今後の高品質、大容量、低遅延、かつ低消費電力を実現するため、全てのデータ・信号を光で伝送するネットワークが求められる。
 DTCは、モノと人をサイバー空間に再現する技術。モノと人を組み合わせ、高度なシミュレーションをする技術とも言い換えられる。既に製品されているものに、Eスポーツなどがある。
 CFは、クラウド、ネットワークサービス、ユーザのICTリソースの管理及び運用を一元化する技術です。

 高度化は社会のニーズでもあります。コロナで明らかになったことに「ネットで業務は完結できる」。リモートで業務が完結できない理由は一部業種を除き、企業などにネット環境がないだけ、というのが明らかになった。従って、5G以前のレガシーシステムに固執することなく、ネット環境を構築することが重要であり、さらに社会が要求する新たなことを6Gが解決し、サイバー空間で更に人とモノが繋がりリモート業務環境が増強されることになる。多数の人とモノがつながることで発生する大量のデータを、高速かつ効率的に伝送し、それら多くのシステムを一元管理するための技術の確立が求められるのです。

6G実現後の具体的イメージ

 伝送できる量と質が圧倒的に向上することになります。これにより、生演奏が聞きたいと思った時、現在ならストリーミングサービスなどにより動画や音声で楽しむことは出来る。しかし、6Gでは生演奏ならではの、「拾いきれない音、演奏者の息遣い、振動する空気、匂い」どを伝えることが出来ます。このようなVR(ヴァーチャルリアリティ)の進化向上により、共感力が向上すると思われます。

 そして情報通信技術の更なる進化により「未来予測」が可能となる。映像伝送時の高フレーム化(従来30から120フレームまで向上)とTCP/IPに変わるプロトコル開発によるパケット遅延を極限するとともに、サーバーのアーキテクトを変える。DCTにより、さまざまな要素を組み合わせ、演算処理シミュレーションをサイバー空間に構築する。今後、実際に予測されることを体感することがサイバー空間で出来るようになるかもしれない。

 最後に、6Gは日本以外の国も研究しており、その競争は今後激化するものと思われる。

 ※参考資料 NTTドコモHP

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