遠くの国や街へ旅行した気分を味わえるオーディオブック

こんにちは。audiobook.jp運営のイトウです。

今年はどこか旅行に行きたいな~と思っていたんですが、この状況ではしばらく遠出するのは難しそうで、最近は以前旅行に行った時の写真とか、行ってみたい国のガイドブックとかを眺めています。落ち着いたら行きたいなぁ。

さて、私はそんなに旅行を頻繁にする方ではありませんが、それでも旅行したくなっている今日この頃。そんな私が、「遠くの国や街を旅行したような気持ちになれる」と感じたおすすめオーディオブックを2作ご紹介します。

国内編:「京都」ってどこからどこまで?

まずは国内編ということで、海外からも多くの観光客の方が訪れる古都・京都の本をご紹介。京都を新たな視点で語り、2016年に新書大賞を受賞した、井上章一著『京都ぎらい』をご紹介します。

作品おすすめ by mikaito (2)

皆さんは京都、行ったことありますか?

修学旅行の行き先になっているという学校も多いですし、何度も行ったことがあるという方もいらっしゃるかと思います。

私も一昨年は初めての一人京都!ということで、叡山電車に乗って一乗寺にある「恵文社一乗寺店」という書店に行ってきました。ご存知の方も多いはずの、非常に有名な書店さんですね。

寺社仏閣には全く行かず、このほかにもたくさんの書店さんを訪れた書店中心の旅でしたが、こんな楽しみ方もできるくらい、京都っていろんな面を持った素敵な街だなぁと思っています。行くたびに新たな発見がある街。またゆっくり訪れたいものです。

閑話休題。

さて、今「京都」といいましたが、実は京都全域ではなく、京都市内、そのさらに中心部だけを指す「洛中」という言葉もあり、『京都ぎらい』の著者・井上氏はこの「洛中」という言葉に並々ならぬ思いを抱いている様子です。なんでも「洛中」こそが京都であって、その周辺の土地は京都ではない、つまり「洛外」は京都とは言わない、という言い方・考え方もあるのだとか。京都府の外で生まれ育った人間には、なかなかわからない感覚かもしれません。

そして『京都ぎらい』は、「まえがき」内の言葉を借りれば「洛外で暮らす者が眺めた、洛中絵巻」。この「洛中/洛外」を明確に区別する考え方が、「洛外」にあたる嵯峨育ちの著者自身の苦い経験を踏まえつつ、繰り返し語られる作品となっています。

本書で、著者が「洛中/洛外」を語る際の文章の雰囲気は、うまく言い表すことが難しいのですが…独特の筆致で、詳細に、繰り返し繰り返し、積年の思いがつづられており、非常に聴きごたえがあります。タイトルの通り著者は「京都ぎらい」なのかな…?と思う時もあれば、実は結構好きなのかもしれない…という愛憎が見え隠れする筆致が楽しい作品です。

ここまで書いてしまって大丈夫なのだろうか…という、なかなか他の作品では出会えないスリルが味わえます。しかもとてもテンポよく聴くことができますので、ぜひ、気になった方はサンプルを聴いてみてください。

本書では「洛中/洛外」問題以外にも、なぜ京都では今も花街が栄えているのか、京都の観光地はどのようにして成り立っているのか、といった、土地を歩くだけではわからない、京都出身・京都在住の著者の目から見た京都の姿が様々なテーマに沿って描かれています。

今までに京都に行ったことがある方にも、これから京都に行ってみたい方にもおすすめの1冊です。

海外編:アフリカにバッタ退治に出かけよう!

さて次に海外編として、こちらも新書大賞を受賞した『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎:著)をご紹介します。

作品おすすめ by mikaito (3)

アフリカ?バッタを倒す?そしてこの人の服装は何なのか…?

とにかく目を引くタイトルと表紙です。

幼き日に見た科学雑誌で、緑色の服を着ていたせいで植物と勘違いされ、バッタに服を食べられてしまった女性の話を読んだ著者。自分も、この女性のように緑色の服を着て、バッタの大群に「食べられたい」!

その夢をかなえたくてバッタの研究を続け、博士課程へと進んだ著者は、いよいよバッタ研究者としてアフリカ・モーリタニアへと渡ります。

現地では、バッタは害虫なので、バッタの大量発生をいち早く見つけて駆除することは、人間の活動に大きな影響を与える死活問題。

観察研究を進めながら、バッタの大発生を待つ著者。

しかし、なかなかバッタは現れません…。せっかくアフリカまで来たのに。

果たして、長年追い求めてきた「バッタに食べられたい」という夢はかなうのか。そして、ポスドクである著者の就職先は無事見つかるのか…!

というのが、本書のあらすじ(実話)です。

バッタ研究者の研究日誌としても、ポスドクのリアルな就活記としても楽しめる本書。事態が深刻でもなんとかユーモアで乗り切っていこうという著者のひょうひょうとした語り口が魅力で、どんどん聴き進められます。

アフリカに旅行したことがないという方も多いと思いますし、この状況が落ち着いても「アフリカに行こう!」という方はあまりいないと思いますので、家にいながらアフリカでの研究者生活を疑似体験できる本書を、じっくり聴いてみるのはいかがでしょうか。


いかがでしたか?今回ご紹介したのは2作品のみでしたが、家の中で様々な地域のことを知ることができ、疑似旅行体験ができるオーディオブックはたくさんありますので、ぜひこの機会に「旅」といった切り口でもオーディオブックを探してみていただけたらと思います!

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