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【加藤俊徳医学博士インタビュー】脳の専門家が推奨する、「脳の基礎体力」を高めるオーディオブック活用術

1万人以上の脳を分析・研究した経験を持ち、「もっとすごい脳の使い方」(サンマーク出版)など多数の書籍を上梓する、脳内科医の加藤俊徳医学博士に、脳を鍛えるためのオーディオブックとの付き合い方について伺いました。

加藤俊徳さんプロフィール
脳内科医・医学博士、株式会社「脳の学校」代表、加藤プラチナクリニック院長、昭和大学客員教授。脳番地トレーニングや助詞強調おんどく法の提唱者。「もっとすごい脳の使い方」(サンマーク出版)、「寝るまえ1分おんどく366日」(西東社)など、脳に関する書籍を多数出版し、MRI脳画像を用いて、個人の脳の使い方を指導できる脳科学者。

「聴く力」は脳の状態のバロメーター

--現代人は脳が疲労しているという話がありますが、脳が元気な人とそうでない人ではどんな違いがありますか。
MRIを用いて脳相診断を日々クリニックでしていますが、一人ひとり脳の「聴く力」は手に取るように脳画像から明らかです。日常的にひとの話をよく聴き、自分でも声を出して会話を楽しむなど、脳が生き生きと元気な人は、自分の周囲でどんな音がしているかやどんな会話がされているかといったことを、意識しなくても正しく認識することができます。ところが、ほとんど部屋にこもり周囲との関係性を断っているような状態の場合、自ずと脳には人の話を聴く準備ができていませんので、目の前の人の話を上手に認識することができません。

オーディオブックなどの音声メディアを聴いていて、いつもより話が頭に入ってこない、集中できないと感じるときは脳が疲労していたり、脳の準備状態が不十分なときです。一言でいえば、脳の基礎体力が低下しているわけです。そんな時、音声メディアを聴くことを習慣化することで、脳の疲れも感じずに脳の基礎体力が向上して、自身の健康管理やビジネスパーソンとしてパフォーマンスを保つ上で有効です。

聴覚刺激が脳の記憶系を活性化

--読書には脳を鍛える効果があるといわれますが、オーディオブックにもそういった効果が期待できますか?

もちろん期待できると思います。

記憶力という観点でお話しすると、そもそも人は情報を記憶するときに、目で見て覚える「視覚系」と耳で聞いて覚える「聴覚系」のどちらかに優位性を持っていて、これらは後天的に鍛えることもできます。特に聴覚系は記憶の一時保管庫である脳の海馬に直結していますし、聴覚系が刺激されると脳の他の部位も一気に刺激を受けるので、聴覚系を鍛えることは脳全体を活性化させることに繋がります。

高齢になって耳が遠くなると、記憶力も同時に下がっていってしまうというのはよく言われる話ですが、これは聴覚系の働きが弱くなって、脳が活性化されにくくなることで起こる現象です。それくらい、耳から入ってくる情報は脳の働きに影響するものです。聴覚系の力を鍛えることは認知症予防にもなるので、60代以上の方には特におすすめです。

聴覚系を鍛えるのに効果的な勉強法の一つが音読です。
音読をすると、目からの情報を取得した後に耳からも同じ情報を取得するので、頭の中で文章がリフレインされて記憶に残りやすくなるんです。さらに、私が推奨している「助詞強調おんどく法」という音読法は、助詞を強調しながら文章を声に出して読む脳のトレーニング法ですが、名詞や動詞をその言葉の役割も含めて耳から認識するので、記憶力と同時に文章の理解力も鍛えることができます。聞いて覚えることが苦手な方に、特におすすめの聴覚記憶力をアップする方法です。

読字が苦手な傾向にある人は、オーディオブックを使うことで、楽しく読書ができるようになります。

そういった意味で、オーディオブックは文字から言語を認識しにくい人や、聴覚系が優位な人にとっては大変使いやすいツールです。反対に視覚系優位の脳の使い方の人にとっては苦手な聴覚系を鍛えることができますし、本来苦手な音から意味を理解する力を養うことができるので、音を介在したコミュニケーションである「会話力」を鍛えることもできます。

「好きな箇所だけ」「1分間だけ」

--オーディオブックのおすすめの聞き方はありますか。
一度オーディオブックを聴いた後に自分で文章を書き起こしたり、声に出して復唱してみたりするといいと思います。あとは、同じ書籍や気に入ったフレーズを繰り返し聴くのもおすすめです。同じ本を何度も聴いて記憶に定着させることは、内容に対する理解を深めることにも繋がります。

あとは、オーディオブックを聴くことを日々のルーチンとして習慣化することをおすすめします。現代人は、ラジオや音楽を聴き流すことは多いですが、集中して人の話を聴く機会って実は少ないんです。特にコロナ禍では人との接触機会が減り、しっかり話を聴く機会が減りました。どの経路を使って情報を取得するかによって、脳の刺激される分野が全然違うので、一つの経路に偏らず、異なる経路から情報を得ることを意識することで、まんべんなく脳を鍛えることができます

このときに大切にして欲しいのが、聴く時間の長さです。集中力が持続するという観点からも、聴く時間は長くてせいぜい20分ほど。人によりますが、1分くらいから始めるのがちょうどいいかもしれません。最初から最後まで聴く必要もなくて、好きな部分だけでもいいと思います。

オーディオブックではセンテンスごとにチャプター分けしてあるので、そういった機能を上手に使って、短時間ずつでも継続することが大切だと思います。

脳の特性を活かしたオーディオブックの使い方について、わかりやすく教えていただきました。オトバンクは今後もオーディオブックの可能性について紹介してまいります!

オーディオブック配信サービス「audiobook.jp」
株式会社オトバンクが運営する日本一のオーディオブック書籍ラインナップ数(※)を配信する音声配信サービスです。聴き放題プランを中心に手軽に耳で聴く本オーディオブックをお楽しみいただけます。 2022年に会員数が250万人を突破。※日本マーケティングリサーチ機構2021年11月調べ。日本語オーディオブック書籍ラインナップ数調査。
https://audiobook.jp/

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pr@otobank.co.jp 広報部宛

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