ゲーム制作レポサムネ1

アナログゲーム制作レポ-その①コンセプト決定

こんにちは!
皆様、アナログゲーム楽しんでいますか?
近年はゲームマーケットも
出展数・来場者数ともに右肩上がりで、
アナログゲーム業界には作る人も遊ぶ人も
どんどん増えてきています。

ところで、ボードゲームとは
どうやって作られるのでしょうか?
ボードゲームの「楽しい」「面白い」
「ワクワクする」
体験は
どうやって作られるのでしょうか?

普段のあっとわんは
Youtubeチャンネルにて
ボードゲームのプレイ動画を
アップしていますが、
実はその傍らでアナログゲーム制作も
進めています!
アナログゲーム制作初学者の
あっとわんですが、
制作過程や
どんなことを考えながら作っているかの模様を、
今回から数回に分けて
お伝えさせていただければと思います!

本記事では
アナログゲーム制作の全体の流れと
コンセプト決定
までを
でめこよりお届けさせていただきます。

アナログゲーム制作の流れ

 アナログゲームと一口に言っても様々ですが、今回あっとわんで制作するのはトランプやかるた、花札のような多目的カードゲームです。
ですので、例としてカードゲームを制作する際の流れを掲載させていただきます。

1.コンセプト決定
  どんなゲームか一言で説明できるような
  コンセプトを決める工程です。
  ※今回お伝えしていきます。
2.ルール・メカニクス策定
  ゲームのルール・メカニクス(ゲーム進行や
  勝敗決定のための仕組み)を決める工程です。
3.データ作成
  カードの種類やトークンの数などを
  仮設定する工程です。
  ゲームバランスの設計方針もここで決めます。
4.モック作成
  作成したルール・メカニクス・データをもとに、
  実際に遊べるモック(模型)を作る工程です。
5.テストプレイ
  モックで試遊をする工程です。
  多くの人から意見をもらい、
  コンセプトやゲームバランス設計に沿った体験に
  仕上がっているかチェックして、
  調整項目を洗い出します。
6.バランス調整
  モック・ルール・データ修正↔テストプレイを
  何度も繰り返し、
  コンセプトに沿った面白さに近づける工程です。
7.デザイン
  カードやトークン、パッケージ、説明書など
  ゲームに同梱するものをデザインする工程です。
8.サンプル印刷・仕上がり確認
  印刷をして仕上がりを確認する工程です。
  この時点では自分で印刷をして仮組するなど
  安価な方法を用います。
  必要ならデザインデータを修正し、
  見栄えを調整します。
9.製品印刷
  実際に手に渡る製品を制作する工程です。
  手作業で印刷・切り出しなどもできますが、
  業者に発注すると安定した品質で制作できます。
10.販売
  イベント出展やアナログゲーム販売店への委託、
  ネット上のマーケットへの売り出しなど、
  遊ぶ人へ向けて様々な経路で
  ゲームをお届けする工程です。

 本来販売のことを考えたら宣伝等々もっとやることはあるのですが、ここでは制作工程に絞って掲載させていただきます。
 今回取り上げるコンセプト決定ははじめの一歩の工程になります。

ものづくりにおけるコンセプトとは

 ところでよくコンセプトコンセプトと耳にすることは多いですが、コンセプトとは何でしょうか?
言葉の意味に困ったときはまずは辞書を引くのが肝要ですね!

コンセプト<concept>
考え。概念。企画・広告・商品開発などで、全体をつらぬく根本的な考え方や観点。
- 旺文社 国語辞典[第十版] より

 そうです、『全体をつらぬく根本的な考え方や観点』なんです。いわば根っこで軸です。
なので、コンセプトの時点で伝えたいことや面白さがが明確になっていないと、進める時に迷ったり、途中でなんか違う気がしてくるのです。そして、そのうちああでもないこうでもないとコンセプトをいじくり回す羽目になり、結果として当初見出したはずの面白さが跡形もなくどこかへ…なんてことも珍しくはありません…。

コンセプト決定

 今回、あっとわんのゲームは下記のようなコンセプトで制作していきます。

『女性が持っていたくなるような、大人も子供も簡単に日本文化に触れて楽しめるカードゲーム』
 ■大人女子・子供(のいるご家庭)向けのカードゲーム
 ■簡単なものから難しいものまで、いろんなルールで遊べる
 ■飾っておきたい・持っておきたいきれいな絵柄
 ■文化的な意味を持たせて、日本文化について改めて思いをはせることができる

(ちなみに絵柄に込める文化的な意味合いについては、デザインの話の時にも少し話しますが、さらに詳しいところについてはなみさん(^ω^)が語ってくれる、はず!(ブン投げ) 多分。)

 すこし技法的な話にはなりますが、ゲームを作り始めるうえで決めておくべきコンセプトの最低限は揃えられているかと思います。
ゲームというものはお届け先が明確です。特に、アナログゲームはその場に人が集まってプレイするという使い方の制約上、遊ぶ人(ユーザー)にゲームを通したひととおりの体験をお届けする、という側面が純粋に強いです。
 なので、ユーザーにどんな体験をさせたいかの指針を網羅するために、ユーザー体験ベースの5W1Hに当てはめて見直してみましょう。

■どのユーザーに届けるのか(Who:ターゲット)
  ・大人女子・子供(のいるご家庭)向け
■ユーザーにどんな体験をさせるのか(How:ユーザー体験)
  ・簡単なものから難しいものまで、いろんなルールで遊べる
■ユーザーは何故これを欲しいと思うのか・ユーザーは何故これを遊ぶのか(Why:購買動機・需要)
  ・飾っておきたい・持っておきたいきれいな絵柄
■ユーザーには何が伝わるのか・ユーザーは何を得るのか(What:メッセージ性)
  ・文化的な意味を持たせて、日本文化について改めて思いをはせることができる
■ユーザーはどんな時に体験するのか(When:ユーザー体験)
■ユーザーはどのような場で体験するのか(Where:ユーザー体験)

 そもそもアナログゲームである以上、WhenやWhereに関して奇をてらう意図は無いので、今回制作するゲームのコンセプトからは割愛しています。これらが明確になっているのといないのとで、制作中、例えばルールやカードの枚数を決める時、デザインを決める時、「本当にこの設計は遊んでもらうために妥当なのか?」の判断に迷う回数が段違いになってきます。

 ということで、晴れてコンセプトが決定しました!このコンセプトを指針として、今後の工程を進めていくことになります。

コンセプト決定の裏話

 実はあっとわんではかなり以前からアナログゲーム制作の話は出ていました。
というのも、あっとわんはアナログゲームの「楽しさ」アナログゲームを通した「コミュニケーション」の在り方を自分たちの持てる手段で伝えたい!という思いで動き始めています。動画をメインに活動していますが、作ってみたいゲームのアイデアが話題にのぼることも自然とありました。
 とはいえ、本格的に制作に取り掛かるきっかけになったのは2019年秋のゲームマーケットですね。たくさんの方が作ったゲームを見て回ったり、我々自身もその場で試遊をしたり、とにかく作る人、遊ぶ人、多くの人がアナログゲームでつながる場を目の当たりにして俄然制作意欲が湧きました。

 アイデア出しは他にも行っていたものの、特に話が盛り上がったものがコンセプトの元になっています。以下はその時の会話の抜粋です。

「誰向けに作ろうか~」「大人女子とか子供のいる人向けにゲーム作りたいよね」「我々がまずそう(大人女子)だしね」
ずっと持ってたい感じ、飾っとけるくらい絵がきれいなやつがいいな」「花札とかいいよね~」
「ルールはシンプルなのがいいよね」「花札むずかしくない…?」「ちょっとわかる」
「トランプとかはわかりやすくていいよね」「ああいう汎用性高いカードっていいよね」
「ルールが幅広い」「花札もなんだかんだそうじゃない?」「簡単なのからちょっとずつ学べるといいんじゃないかな」
文化的な要素が入ってるとただのきれいなカードじゃなくなるんじゃない」
絵柄に意味を持たせてあげるとか」「干支とか動物とか」
(最早どれが誰のセリフか記憶に確かではないのですが、ざっとこんな感じのやり取りだったかと思います。抜粋ですよ、抜粋!)

 ものづくりが好きな等身大アラサー女子たちが考えていることのなかから、伝えたい「面白さ」「楽しさ」を抽出して出てくるものであっとわんは構成されているんですね。日々のTwitterや配信も然り、動画で切り抜かれたセリフや多彩なテロップ芸も然り。

 これは半分くらい私信なんですが、あっとわんの皆の普段のくらしや触れてきたもので培われている物事・楽しいことへの嗅覚に、私は結構信頼を置いていたりします。
 どうしてもものづくりって、一人で作ってると不安を抱えがちなものなんですね。
「これ、ほんとうにおもしろいのか‥??」と。
 でもこうして信頼のおける人の嗅覚を頼って方向性を決めておくと、なんというか信頼性がすごい。価値観や面白さの判断軸を分担しているので、たとえ途中で不安がよぎっても良い意味で客観的に軸を見直せるし、そのうえで「うむ、これなら大丈夫かろう…」という判断を下せるので、ドンと腰を据えてものづくりができます。
 まだ途中段階ではありますが、秋に走り出し始めてから今のところまで、このコンセプトを根っこに安心感を持って走れているところでございます。(ということで今後ともよろしく頼むぜ、コンセプト君…!)

次回予告

 次回はゲームのルールやカードの種類の策定についてお話をしたいと思います。
 技法的なお話が多めになるかとは思いますが、引き続きお読みいただけますと嬉しいです!どうぞお楽しみに!

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