【国キャリ】論述試験|第20回解説・解答例
貴重な過去問です。必ず一度ご自身で取り組んでから解答例を見るようにしてください。
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<問題解説>
<問題用紙はCC協議会ホームページより入手してください>
▽過去3回分のみダウンロードできます。
https://www.career-shiken.org/about/learninfo/
解説1.事実と事実でないこと、事実に何を感じているかを整理する
<事例記録から読み取れること>
※ここでは、単純に、事例記録から読み取れることを整理しつつ、検討しています。その内容が「問題かどうか」「良いか悪いか」を見立てるものではありません。
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(〇)→事実
(▲)→事実かどうか分からない
(💛)→事実に付随して相談者が「感じていること」
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特に「(今、これから)~したい」という相談者の意思や、相談者のキャラクターが現れる場所は見逃さないように。太字に注目。
◆興味関心
洋服が好き(〇)
好きなブランドの洋服に携わりお客様に販売する仕事は楽しい(〇)
◆今の仕事
ファッションに関わる仕事がしたくて専門学校卒業後就職(〇)
アルバイトとして入社し、2年後に契約正社員になり、今4年目(〇)
自分を指名して来店してくださるお客様も増えた(〇)
コロナ禍で店の売り上げがずいぶん下がっている(〇)
今年の秋には今働いている百貨店から撤退することが決まった(〇)
スタッフの中にはこのタイミングで退職しようと思っている人がいるという話も聞く(▲)自分も別の仕事に就いた方がいいのかと思ってしまう(💛)
会社自体経営が厳しいよう(▲)
転職した方がいいのか(💛)
次の契約更新はしてくれないかもしれない(▲)
アパレル業界全体が厳しいと感じている(▲)
このまま続けても先が見通せないような気がしている(💛)
自分にとって良い仕事だったかもしれない(💛)
お客様のコーディネートを一緒に考えたり、自分が選んだ服を気に入ってくださって、それを着て次にまたお買い物に来て下さるお客様がいらしたり、自分の着ている服と同じものがほしいと言われたりするのも嬉しかった(💛)それによって売り上げにも貢献できたと思う(〇)
◆今後の仕事について
年齢も考えるとこのタイミングで何か違うことをしなければいけないのかな(💛)
正社員で安定した仕事と言われてもイメージがつかない(💛)
正社員で働いた経験がないし、今から新しいことを初めて自分が正社員として就職ができるのかなと思う(💛)
自分が好きな事じゃないと長く続けられないと思う(💛)
アパレル以外のことはよくわからない(💛)
◆家族
両親からはこの仕事を辞めて正社員でどこか安定した仕事についてほしいと言われている(〇)将来のことを考えるとそう思う(💛)
実家暮らし(〇)で肩身が狭い状況(💛)
◆今ここの気持ち(💛)
これから何を見つけられるのか、どうしたらいいかわからない(💛)
今のような気持ちで自分にできる事があるのか…(💛)
もうすぐ店長や本社の人事と面談があるらしい(▲)が、何をどうやって話していいのか、整理がつかない(💛)
解説2.相談者はいったい何に困っているのか
大切なのは「事実そのもの」ではなく、「事実」を相談者がどう捉え、どう解釈しているか、です。
相談者は今、「不快・不満・困っている・思った通りでない・すっきりしない・どう考えたらいいか分からない・どうしらいいか分からない・迷っている」という状況です。それは、「事実」に対して相談者が「感じていること」から把握することができます。
来談目的
まずは解説1より、相談者が来談する背景として何が起こっているのかを家訓しましょう。
今回、明らかに迫っていることとして確認できたことは、
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もうすぐ店長や本社の人事と面談があるらしい。
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ということ。
「らしい」という言葉から「事実」とは言い難いですが、このことに対して相談者が感じていること👇が来談するきっかけと言えそうです。
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何をどうやって話していいのか、整理がつかない。
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面談を通じて、店長や人事に何をどうやって話すのか。
その整理がつかなくて相談に来た、
つまり、
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何をどうやって話していいのか、整理をしたい。
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というのが、相談者の来談目的と捉えることができます。
なぜ整理ができないでいるのか
では、相談者はなぜ整理ができずにいるのでしょうか。何をどう整理することが出来たら、店長や本社の人事と話せそう、と思えるでしょうか。もう一歩踏み込んで、相談者に起こっていることを確認していきましょう。
相談者は今まで通り、このまま、でいることができず、何かしらの選択をする局面(転機)に直面しています。
その背景として下記のことが述べられています。
このことから、相談者はこのように考えます
しかし一方で、今の仕事への想い、別の仕事への不安が述べれられています。
以上から、
相談者の中では大きく2つの葛藤が起こっていると考えられます。
================
今の仕事を辞めて転職を考える気持ちがあるものの、
今の仕事以外で働くイメージが持てない。
================
VS
================
今の仕事を続けたい想いがあるものの、
続けられるイメージが持てない。
================
相談者が本当にイメージしたい姿はどちら・・・もしくはどのようなものでしょうか。
解説3.相談者のなりたい姿を考える(目標設定)
相談者の理想の姿はどのようなものでしょうか。
興味関心について確認しましょう。
現職で活き活きと活躍するイメージが十分に伝わる内容ですね。
「好き」をまさに仕事にすることができていることが分かります。
では「好き」を仕事にした結果の「適正」はどうでしょうか。
客観的に読み取れる「成果」として述べられている内容を確認しましょう。
相談者は「好き」なことを仕事として取り組むことに「適正」があり、会社からも顧客からもある程度認められている、という見立てができそうです。
今の仕事で活き活きと楽しく活躍していて、適性もあり会社からも顧客からも認められている
・・・・ただ、このまま続けても先が見通せないような気がしている。
相談者は、
==========
今の仕事で続けて先が見通せる
==========
と、今抱えている不安が軽くなりそうですね。
つまり今後は
「今の仕事で続けて先が見通せるかどうか」を本人が確認できるよう、情報の収集、整理、意思決定の支援をしていくことになるでしょう。
ただし「今の会社で」かどうかは要確認事項です。
業界の傾向や店の売り上げの減少、百貨店からの撤退は事実のようです。
ロボットやAI、IT、IOTなど技術革新で多くの職業がなくなる、と言われる時代ですが、人が服を着ること、服を選ぶニーズは当面なくなることはないでしょう。コロナ禍でダメージを受けた企業はもちろん少なくない業界ですが、ピンチをチャンスにと事業形態を様々に変容させ売り上げを伸ばしている企業が存在することもまた、事実です。
相談者の「服が好き」「ファッションに関わる仕事がしたい」という希望を諦めることは時期早々かもしれません。また「服、ファッションに関わる」と広くとらえると、業種や職種も選択の可能性は多種多様に考えられそうです。
先ほど、相談者の中で大きく2つの葛藤が起こっていると書きました。
================
今の仕事を辞めて転職を考える気持ちがあるものの、
今の仕事以外で働くイメージが持てない。
================
VS
================
今の仕事を続けたい想いがあるものの、
続けられるイメージが持てない。
================
この2つから読み取れる相談者の訴えはこのように考えられます。
==========
今の仕事で働き続ける
イメージを持ちたい
==========
そして「今の仕事」とは、「好きな洋服に携わる仕事」と言い換えられそうですね。
相談者のなりたい姿
==========
好きな洋服に携わる仕事で
働き続けられるイメージを持つ
==========
解説4.なりたい姿になれないハードル(問題点)と方針を考える
相談者のなりたい姿
==========
好きな洋服に携わる仕事で
働き続けられるイメージを持つ
==========
この姿になれないハードルを考えます。
<続けられるイメージが持てない理由>
・アパレル業界全体が厳しいと感じている
・会社自体経営が厳しいよう
・コロナ禍で店の売り上げがずいぶん下がっている
・今年の秋には今働いている百貨店から撤退することが決まった
・スタッフの中にはこのタイミングで退職しようと思っている人がいるという話も聞く(今の会社)
・両親からはこの仕事を辞めて正社員でどこか安定した仕事についてほしいと言われている
続けて、これら理由に対し「本当にそう?」と問いつつ、必要な方策を考えます。
◆今の会社で考える場合
1.事実を確認する
今の会社で何が起こっているのか、売り上げが下がり百貨店から撤退することが決まったという事実の背景にある、会社の経営戦略について確認が必要ですね。また、それに伴う撤退後のことと契約更新について。相談者は「更新はしてくれないかもしれない」と思っています。
相談者が今後の選択を納得感を持って行い、後悔のない未来をつくっていくため、その選択のカギを握る会社の意向と事実を「確認する」ことの重要性を十分に理解していただく必要があります。
そして「面談で確認できたこと」がどのような内容であっても受け止める心構えを持ってもらえるよう支援をします。また場合によっては必要な質問や交渉ができるよう、ロールプレイングやイメージトレーニングなどもしつつ勇気づけを行います。
2.無期雇用転換の可能性
重要な側面として「契約社員として今4年目」という事実があります。ここでCC視点としてアンテナを立てるのは、「無期雇用転換の可能性」。「次の契約更新はしてくれないかもしれない」ことが契約社員としての不安定さとして捉えているなら、次回5年の更新の後の6年目には「無期雇用になる権利が発生する」という情報を提供しましょう。
◆今の会社以外で考える場合
1.「続けられる仕事」とは
相談者は「自分が好きな事じゃないと長く続けられない」と言っています。実際今の仕事を「好き」で携わり長く続けることができている、という説得力のある根拠を持っています。逆に「続けられなかったこと」について何かエピソードがあれば伺ってみたいですね。
「アパレル以外の事はよくわからない」という発言から「アパレルの事はよくわかる」という強みが読み取れます。
今の企業の周辺に広がっているアパレル業界にある他の職種・企業などについて、すでに分かっていることを明確化していただきながら、さらに理解を深める支援が出来そうですね。
また、相談者が言う「アパレル以外の仕事」への適応についても自己理解仕事理解を深める支援を行うことにより検討できる可能性が生まれるかもしれません。
2.「正社員」「安定」とは
相談者は下記のように言っています。
・正社員で安定した仕事と言われてもイメージがつかない
・正社員で働いた経験がないし、自分が正社員として就職ができるのかなと思う
また、「実家暮らしで肩身が狭い」と言っていることから、「実家を出て独立すること」=「毎月の家賃を払って自分で生活費を賄えるだけの安定した収入を得られること」のように考えているかもしれません。
「親のいう事もわかる」との発言から、親との関係性は悪くはなさそうな印象を受けます。周りの助言を受け止める素直さ、柔軟性が感じられますね。
本人がイメージが持てないと言っている「正社員」「安定」については、周りからの期待も含め本人がどのように捉えるのか、一緒に理解を深める支援が必要です。「正社員」であることや「安定」することで何を得られるのでしょうか。その「得られること」によっては「正社員」であることが必須条件なのかどうか。CCとして本人が理解を深められるよう、支援をしていきます。
3.正社員として就職できるか
自分の経験がどのような意味があるか、自分にどのような能力があるか、分からずにいます(自己理解不足)。これまでの経験を振り返り、エンプロイアビリティについて明確にする支援を行います。
エンプロイアビリティが明確になり、相談者が自分の能力として自覚をすることができれば、自己効力感が向上し、業種業界問わず新たな道に踏み出す勇気を持つことができるかもしれません。
* * * * * *
以上、整理した支援の方向性をまとめてみましょう。
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面談で確認することを整理する。
面談にのぞむための心理的サポートをする。
契約が継続した場合、無期雇用転換の可能性について情報提供をする。
「正社員」「安定」「続けられる仕事」について自己理解・仕事理解を深める支援を行う。
「働くこと」に求める価値観の自己理解を深める支援を行う。
これまで働いてきた中で培ったエンプロイアビリティを明確化し、自己効力感向上の支援を行う。
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この中から、相談者の状況把握・合意形成を行いつつ、優先順位をつけて具体的にどのように取り組んでいくかを検討し、共同作業を行っていきます。
◆基本姿勢は論述でも表現できる!
意外と盲点になるのが、論述だからと問題の明確化と方策見立てや実行にばかり気を取られてしまって、基本姿勢がおざなりになってしまう事。
非言語でのみ表される態度や姿勢を、論述でどのように表現するか。
「関係構築に努める」「関係の維持」「合意形成」「共同作業」「一緒に考える」「対話を通して」などの表現を使用し、CCが一方的にリード(誘導/引っ張る/持って行く)するものではないと理解していることを採点者に伝えましょう。
第20回以前の解説・解答例
第19回
第18回
第17回
第16回
第15回
第14回
第13回
第12回
第11回
第10回
(有料1,500円/ 回)
【解答例&考え方】設問1 相談の概要
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【設問1】「相談の概要」【略A】の記載に相当する、相談者がこの面談で相談したいことは何か。(2行/10点)
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これまでの経験で、なんとか自分の役割に気づくことができました。与えられた役割を全力で全うするため、「わくわく」と「ドキドキ」のど真ん中を走ります。 サポートでの勇気づけ、素直に嬉しいです\(^o^)/