【福岡】蛭崎 寿之さん
活動地域 :福岡県
資格:歯科技工士免許
国家資格キャリアコンサルタント
心理カウンセラー
経歴:歯科医院勤務
中規模歯科技工所勤務
技工士学校非常勤講師
フリーにて講師業
現在の活動内容 :
①歯科技工所福岡オフィスリーダー
②企業内キャリアコンサルタント
③心理カウンセラー
現在の働き方:
基本的には技工士として暦通りの勤務。
9時半~19時半+それなりに残業。
完全週休2日。それ以外はフリーに活動中
おススメするモノ :
心時代の夜明け(衛藤信之先生の本)、自律訓練法、瞑想、筋トレ
大切にしている信念、目指すこと :
スタッフ一人ひとりが働きやすく、自分のライフプランを明確に描けるような職場環境を提供すること
自己研鑽の方法 :
書籍を読む、講座に参加する、働く人の声を聴く
インタビュアー:伊藤由美
記事編集:三好真代
ーーエビちゃん(蛭崎 寿之さん)との出会いは、4年くらい前だったかな。エビちゃんの会社のセルフ・キャリアドッグでのキャリアコンサルティングでしたね。
当時のエビちゃんの印象が強く残っていて。
技術職の歯科技工士さんばかりだったから、表情が硬くてリレーション構築がなかなか難しい方が多い中で、一人だけニコニコと愛想が良い方がいたんですよね。それがエビちゃんで(笑)
前のめりにいろんな質問してきて、「本当にこの人歯科技工士?」なんて思ったことを覚えています。
就労環境を整えれば「働き続けられる」わけじゃない。大切なのは、対「人」の関係性。
ーー歯科技工士のエビちゃんがキャリコンに興味を持って学んでみて、実際どうでしたか?
歯科技工士っていう職種は技術職なので、専門学校では「歯」のことしか勉強しないんですよ。歯科技工士に関係する法律とかは勉強するんですけど、それ以外の労働に関わること、労働基準法なんかは全く勉強しないんですよね。
「働き方」という視点が無い状況でみんな働き始めるわけです。労働条件や契約などについて、疑問一つ持たない。雇用契約さえ交わしていないような現場もあります。
僕自身例外じゃなくて。そんな環境でずっといたものですから、キャリアコンサルタント養成講座は全く知識がないところからのスタートでしたので、正直難しくて大変でした。
でも、学ぶうちに、今僕は「働く」上で、とても重要なことを勉強しているんだな、と気づき始めました。そしてこの知識は、歯科技工士業界にとってとても必要なものだなって感じたんです。
ーー離職率は高いし、歯科技工士の学校も減っていっていると聞きます。その一番の原因って、何でしょう?
職場の就労環境に原因の一つがあるにはあるんでしょうけど・・・やっぱり人間関係が一番大きな問題かなって思います。
例えば給与条件がどんなに良かったとしても、上司にすごく激しい口調で命令や指示をされるような環境だったら、やっぱり、もうそこにはいたくないなっていう気持ちになるじゃないですか。
条件がいいからって、我慢してその環境に居続けられる期間って、どのぐらいでしょう?
やっぱり、ここの職場にいてすごく楽しい!と思えたり、この人のために何かできることがあるなら頑張りたい!って思えるような人との出会いがあることが、「働き続けられる環境」ではないでしょうか。
対「人」、ではなく、対「物」の仕事をする歯科技工士業界や技術職の業界では、そういった人間関係、コミュニケーションというのが希薄なことが大きな課題としてあると思います。
実際、歯科技工士の離職率は8割。平成11年度、求人数が7,575人に対して新卒2,492人。求人倍率3倍でした。それでも高いけど、平成29年度は求人数21,666人に対して、なんと新卒941人です。学生にとって魅力を感じる職業ではなくなっている証拠だし、入職者も8割が離職するため求人数は増えている。求人倍率22.8倍ですよ。驚異的な数字です。
ーー22.8倍!スゴイ数字!
平成29年度の一般職業の求人倍率が平均1.50倍ですからね。数字を目の当たりにして僕も本当に驚いて。この倍率で中小規模のラボが人材を獲得するのは、本当に難しいです。
まずは働いている人たちが活き活き楽しく仕事をしている環境、働き甲斐があり、居心地がよく、辞めなくていい環境づくり、人づくりが先。それに心理学を活用できるのではないか、と思っています。
ーーエビちゃんの働きかけが響きそうですね。
きっと誰かが見てくれてる。やりたいことを着々と、の実現のために、ちゃんと種をまいてきた。
ーー今、歯科技工士としてのお仕事のほかに、どんな活動をされていますか?
専門学校卒業後、歯科医院勤務を経て今の歯科技工所(ラボ)で働いて7年目になります。
今は基本的には技工士の仕事がメインですが、支社も含め社内の合同セミナーで講演の機会をいただいたりしています。来年1月には社外の方も対象として、100名の規模での講演を予定しています。心理学を活用して、「心理的安全性のある環境づくり」~ベーシックコミュニケーション~ というテーマで。
それから、知識をアウトプットするために、小さい規模ですけど平日夜に心理学の講座を開催させていただいています。
ーーやりたいことを着々と実現しているようなイメージが有ります。スゴイですね!講演を依頼されるようになった経緯を聞かせていただけますか?
歯科技工士業界の医療雑誌の出版社が出している『月刊歯科技工』という月刊誌にコラムを書いていたんですよね。それを見た歯科技工士会の役員の方から、講演依頼をいただいたんです。
ーーどんな内容のコラムだったんですか?
心理学+キャリコンの知識を活かした人材活用とか、キャリア開発について。月刊誌に載せれば、きっと誰かが見てくれて、興味を持ってくれる人がいるだろうという見通しを立てていました。離職率の高さや技工士人口の減少には、技工士会も何とかしなければ、いろいろと対策を講じているみたいなので。
ーー今後はどのような展開がありそうですか?
今回は福岡県の技工士会から講演のお話しいただいたんですけど、福岡でしっかりお話をして、全国に向けて発信できる機会をいただけたら嬉しいなと思っています。
自分が原因だと気付いた。その瞬間、進む道の方向修正ができた。
ーー歯科技工士業界に「心理学+キャリコン」を持ち込んだエビちゃんは、業界に新しい風を起こしてますね!
僕が心理学を重要視し始めた理由なんですけど・・・僕自身はもともと、コミュニケーションが得意だと思ってたんです。東京にいた頃は「技術とコミュニケーションの融合」をコンセプトにスタディグループを作って活動してたくらいです。
その後福岡のラボを任されることになって、いざ部下の人材育成に取り組んでみたら、人がどんどん離れていくという状況になったんです。
すごく凹みました。
今まで僕の周りにいた人たちは、僕自身とコミュニケーションを取りたいわけではなかったんだって思いましたね。僕は、僕の先にある人脈とのパイプ役に過ぎなかった。
支持している先生から、僕の対応の悪さを指摘されたりもしました。コミュニケーションが原因の、上手くいかないスパイラルに入っていました。
ーー今のエビちゃんからすると想像ができなけど、そういう過去があったんですね。
正直、自分では何が足りないか全然分からなくて。コミュニケーションと言えば心理学かな、と考えているところで伊藤先生に出会ったわけです。
ーー実はあの時、社長からエビちゃんのお話しは伺っていました。福岡のラボはエビちゃんに任せているんだけど、なぜか人が辞めちゃう。コミュニケーション能力高いのに、何が原因なのか分からない、って。
外面が良かったんですね(笑)
ーーあの時、エビちゃんが心理学に興味があるって言ってた理由が分かりました。おススメするものの中にも、心理学の衛藤信之先生の本を挙げられていますね。
キャリアコンサルタント養成講座の先輩から紹介していただいたのが衛藤先生を知ったきっかけでした。衛藤先生の講座を受講してみたら、一気にお話しに引き込まれました。すごく分かりやすくて。心理学の学びを本格的に始めたきっかけとなった本です。
ーー今は福岡ラボの規模も順調に大きくなっていますよね。何に気付いて、どう変わった結果なのでしょうか?
今までのコミュニケーションエラーが、自分が原因だったって気づいたことが一番大きかったですかね。それまでは、自分は正しい、間違っていないってずっと思っていたんです。
ーー新人さんが入ってきても、なんであいつこれが出来ないんだとか、なんでこんな風に言って分からないんだっていう風に思ってた?
そうです、そうです。僕が「正義」であり、僕が「正しさ」でした。
でも心理学を学んで、発する言葉で相手の気持ちがどう変化していくのかを知った時に、自分自身の発する言葉が間違っていたのかもしれない、と。
それに気づいたのが、自分の進む道の方向修正ができた瞬間かな、と感じています。
ーーその後、具体的にどんな風に行動が変わりましたか?
それまでは「結果」重視だったんですけど、その「結果」に至る「過程」や、行動したそのものを承認して、上手くいかなくても一緒に考えてみる、とか、また考えてもらう、ということができるようになりました。
白紙になって、相手の言いたいことをちゃんと聞く。それは、人材育成と心理学が繋がるポイントかな、と感じてますね。
ーー心理学やキャリコンを、社員や会社にはどのように活かしていますか?
そうですね。新入社員研修などでは心理学をベースに、どういう社員を目指すのか、良好な人間関係を構築する方法、上司との付き合い方などをお伝えしています。
それから、福岡オフィスでの責任者として、スタッフへの働きやすい環境づくりや仕事とプライベートのバンランスをどう取るか、休日休暇の取得などの労働者の権利とか、キャリコンとして学んだ労働法の知識を活用できているな、と感じます。
魅力ある、人間力のある人物になる。
ーーこれからやってみたいことや夢などはありますか。
実は、「心理学の限界」というのもあるのではないかとちょっと感じているんです。
ここまでこんなに心理学を押してますけど(笑)
というのも、やっぱり心理学として学ぶテクニックが同じでも、使う人によって効果が違ったりするなって。結局、どういう人間なのか、というところなんですよね。魅力ある、人間力のある人物にならないと、発する言葉に力が無い、と感じるんです。
なので、心理学を活用して、まずは自分がどれだけ幸せになれるのか、どれだけ仕事を楽しめるのか、と言うところを目標にしようかと。
ーーなるほど。心理学+αで、人間力を上げるための働きかけ、ができそうですよね。
心理学もそうですが、やっぱり立ち戻ると、キャリコンの内容って理論的にすごくまとまっていていいなって思います。改めて、更新しよう、と思っています(笑)
ーーぜひぜひ、更新はしてくださいね(笑) 仕事だけじゃない自分の人生を考えた時に、やっぱりキャリアデザイン的な視点って絶対必要になるので、+αにキャリコンもぜひ加えてください!
将来的には、各企業・団体で、1on1カウンセリングができる制度を整えたいと思っています。でもそれって、一朝一夕でできるわけじゃない。キャリコンも、何十時間の講習を受けたからって、すぐにできるようになるわけじゃないし。
できることから取り組んで、やっぱりこの業界を盛り上げたいなって思っています。それができれば、その先に独立、はあるかもしれないです。
でも明日は違うこと言ってるかもしれない(笑) やりたいことが次々出てくるんで。
ーーエビちゃんの活動に興味関心を持つ方がどんどん増えて、なかなか変わろうとしない業界に大変革の波が来ることを楽しみにしています!
今日はありがとうございました。
蛭崎 寿之さん(左)と<インタビュアー>伊藤由美さん(右)
<蛭崎 寿之さん登壇イベント・講座開催情報>
★【1/26日(日)】令和元年度福岡地区歯科技工士会「文化講演会」
テーマ:「心理的安全性のある環境づくり」
~ベーシックコミュニケーション~
【時間】13:00~15:00
【会場】福岡市博多区
【対象】歯科技工士、歯科医療関係者、一般の方
※詳細は技工士会にお問い合わせください
★【11/20(水)福岡】対人支援に役立つ『心理学基礎講座①』 マイクロカウンセリング・来談者中心療法
https://www.kokuchpro.com/event/bb54fea534851fe9c736232bd170dbe9/
★【12/11(水)福岡】対人支援に役立つ『心理学基礎講座②』相手にひびく伝え方
https://www.kokuchpro.com/event/e915fd66b55fdd0785713748a3768585/
★【1/8(水)福岡】対人支援者に役立つ『心理学基礎講座③』/ゲシュタルト療法
https://www.kokuchpro.com/event/9cc93cf57531519cd070133344ee0fc4/
★【1/22(水)福岡】対人支援者に役立つ『心理学基礎講座④』 論理療法
https://www.kokuchpro.com/event/eb1d1687728804805bf8bcd1065fa1c6/
★【2/5(水)福岡】対人支援者に役立つ『心理学基礎講座⑤』 発達理論
https://www.kokuchpro.com/event/23a967cdb4a48312164a5181a42ce489/
これまでの経験で、なんとか自分の役割に気づくことができました。与えられた役割を全力で全うするため、「わくわく」と「ドキドキ」のど真ん中を走ります。 サポートでの勇気づけ、素直に嬉しいです\(^o^)/