退院して一週間が経った #クローン病 #腸閉塞
クローン病悪化に伴う腸閉塞で入院してから23日が経った6/25に,ようやく退院することができた.皆さんの温かい応援ありがとうございました.
帰りには愛用のバックパック Osprey 製 Honet に荷物を詰め込んだ.見出し写真を撮った後で薬を渡されて荷物が膨らみ,サイドバッグもいっぱいになった.看護師が山に行くみたいと言いながら見送ってくたが,早くそれくらい体力を戻したいものだ.一週間経った今も体力が戻ったとは言えず,食事も制限されているが,それなりに楽しくやれている.
入院中は日々の様子を note で記録してきたが,改めて,クローン病についてや,入院に至った経緯,入院生活にける Tips,そして退院後について纏めておきたくなった.
クローン病とは
クローン病は小腸・大腸を中心に全消化器官にわたって非連続性の炎症を生じる病気だ.炎症は腹痛や,消化不良による体重減少や下痢,合併症による肛門周囲病変 (いわゆる痔) や腹膜炎,腸閉塞など,様々な症状を起こしうる.免疫疾患の一種とされるが,原因は不明で完治方法もない.治療は寛解期間 (症状の穏やかな状態) をできるだけ長く保つことを目標とする.
患者を日常的に悩ますのは腹痛や下痢だろう.腹痛は一日中痛いわけではなく,間欠的に襲ってくる.下痢も1,2時間下しっぱなしなこともあれば,間欠的に襲ってくることもある.一見辛くなさそうでも,いつ辛くなってもおかしくないという理由で,電車では座席を求めていることもある.いわゆる,目に見えにくい病気だ.クローン病に限らず,外見から分からなくても援助や配慮を必要としている意思表示をできるシンボルに「ヘルプマーク」や,「見えない障害バッジ」があるので,もし見かけたらちょっと気にとめてあげて欲しい.
クローン病の寛解導入・維持には薬物療法と栄養療法の併用が望ましい.栄養療法では消化器官に負担の少ない食事を心掛ける他,消化不要な栄養剤を合わせて摂取する場合もある.代表的な避けた方がいい食べ物は肉や揚げ物といった脂質に富むもの,葉物など繊維質なもの,辛いものであるが,個人差が大きい.ストレスや疲労も症状を容易に悪化させるので,日々自身をコントロールしなければならない.
クローン病について詳しくは Wikipedia などを参照してもらいたい.更新が停滞してしまっているが「くろーんず-マンガで分かるクローン病」も分かりやすくていい.
クローン病悪化から腸閉塞までの経緯
去年の秋くらいから博士論文の執筆を本格化させたが辛過ぎて,徐々に体調を悪くしていった.特に3月と GW 前から GW前半は日に10回を超える下痢に悩まされた.GW 後半には下痢の頻度こそ落ち着いたものの,腹痛に転げ回った晩があった.腸管の狭窄は炎症の沈静化に伴って起きるらしいので,この頃から狭窄と軽い閉塞が始まっていたのかも知れない.この時に大病院にかかっておけば,今回の入院は避けられたのだろうか.その後も体調の波の激しい5月下旬を送った.
とどめは,自分を差し置いて体調斜めだったツレを元気づけようしたことだろうか.美味しそうに飯を食えばツレも食欲が湧くかもと,空元気を出した無理が祟った.6/2の夕食を食べ過ぎたせいで腸を詰まらせたのだろう.6/3の午前1時半に目覚め排便した後,猛烈な激痛に襲われた.リビングに転がって呻いていたが,ベッドルームにいた眠り姫を起こしてしまったほどだ.それから苦しみ疲れて一度は眠りにつき,4時にもう一度激痛で目を覚ました.
心配してくれる彼女の目を見て,救急車を呼ぶ決断をした.
腸閉塞の治療過程
6/3 (月) の明朝,救急外来に搬送された.解熱鎮痛剤を点滴とCTとレントゲンによる検査を受けた.腹水が溜まっていることと,腸管の狭窄部に食事が詰まって膨れ上がっていることが判明した.イレウス管を鼻から胃に挿入し,内容物を排出することで消化管を減圧する措置が施された.挿入時の嘔吐で胃の痛みはなったが,腸からくる間欠的な痛みは残った.それだけでも多少は楽に感じられた.また,緊急手術の可能性を伝えられ,もしもの時は延命を望むか聞かれた.予め決めていた通り,不要と答えた.なぜか声は震えた.
6/3 (月) の午前10時頃,救急医のアドバイスを受けクローン病を専門に扱うスタッフのいる病院に入院した.入院先では造影CTによる,精密な検査を行った.幸い緊急手術は不要と判断され.イレウス管による腸管の減圧,絶食,そして抗生物質の投与による治療が始まった.昼には熱が40度まで上がったものの,夕方にはお腹の痛みが落ち着いてたので先行きは明るいと思っていた.直後に下血が始まっても,腸の中身が通り始めた証拠だろうくらいに考えていた.しかし下血を繰り返すごとに疲弊し,先が明るいだなんてとんだ見込み違いだったと暗澹とした思いの中眠りについた.
6/3 (月) の晩に始まった下血は6/11 (火) まで,治まっては出血してを繰り返した.6/6 (木) にはイレウス管が除去されたことで随分楽になっていたが,それでも下血は心身ともに私を疲弊させた.特に6/9 (日) にはポータブルトイレに設置された直径20cmほどのバケツに深さ5cmもの血が溜まった.連日の下血で進行していた貧血が深刻化する前に輸血することになった.
症状の重さを受け新しい薬を試すことになった.まず6/10 (月) にはインフリキシマブというTNFα抗体を抑える薬が点滴により投与され,6/11 (火) にはゼンタコートというステロイドを服用した.これが功を奏してか,6/11 (火) の晩には下血量がぐっと少なくなり,6/12 (水) からは下血もなくなった.
6/12 (水) からは貧血と頭痛に悩まされる程度で,体調は劇的に改善してきた.6/18 (火) には内視鏡検査が行われた.大腸はかなり綺麗な一方,小腸は潰瘍が認められ,小腸型クローン病と診断された.また,狭窄は残るものの食事は通るとのことで,6/19 (水) からは食事が再開された.6/6 (木) から 6/17 (火) まではエレンタールという栄養剤を飲んでいたので,栄養の経口摂取自体は既に行っていたが,実質的な絶食の終了は入院してから18日ぶりのこととなった.重湯,3分粥,5分粥,全分粥と日毎に食事が通常のものに近付いていったが,6/22 (土) から退院の 6/25 (水) まで,ついぞ全分粥を卒業することはなかった.
入院当初,平均2週間で退院できると聞いていたが,3週間以上かかってしまった.これは症状が重かったことに加え,2回目のインフリキシマブの投与が 6/24 (火) だったせいだ.
入院生活におけるTips
4度入院してして学んだ入院生活における Tips を紹介しよう.
ナースコールを躊躇するな.困ったことがあれば相談するのが患者の仕事だ.
掛かり付けの病院は入院施設も含めて選べ.売店や食事どころはあるか.WiFi はあるか.潤いある入院生活は退院を早める.入院する可能性のある持病があるなら,尚更だ.
入院中でも楽しめる趣味を持っておけ.潤いある入院生活は退院を早める.私はひたすらプログラミングしていた.
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耳栓か耳栓型のイヤホンを用意しておけ.相部屋の夜は賑やかだ.鼾に限った話ではなく,夜中も患者の体調次第で人が出入りすることは珍しくない.
髪は短くしておけ.シャワーに入れない間にべたついた髪が皮膚に触れると不快な上に肌が荒れる.坊主が最高だ.洗髪シートを使う手もあるが,私はシャワーに入れないほど重症な時,洗髪シートを使う気力すらなかった.
電源の位置に自由度を持たせるため,延長ケーブルを持ち込もう.ベッドには転落防止の柵があるので,そこにくくりつけてやると便利だ.
動画配信サービスはいいぞ.大部屋のテレビは有料だ.どうせお金を払うなら時間帯によらずコンテンツを選り好みできる方が良い.
フリカケや鯛味噌があると食事が進むぞ.米の質が低い病院や,粥が長く続いて飽き飽きさせられる時に最高のお供になる.病院によっては粥食の時は鯛味噌をつけてくれるようだ.
飲み物用にタンブラーなど蓋つきで容量のある容器を用意しよう.毎日,病院によっては毎食,新しいお茶をくれる.蓋は倒した時のため.
タオルより手拭い.乾きやすい素材が便利だ.有料の乾燥機の乾きが悪い時は特に心強い.
内視鏡検査をするなら下剤を飲む段階で履くタイプのおむつを着用しよう.トイレにかけこむときの心理的負担が軽い.
退院後の生活
23日間の入院ですっかり体力が落ちてしまった.いきなり元通り働けるはずもないので,7月半ばまで傷病休暇を延長することにした.受け入れてくれた職場環境に感謝している.
肉体的な健康を管理するため食事は粥など消化しやすいものを継続し,精神的な健康を管理するため OSS 活動を楽しんだりツレといちゃいちゃしたりしている.あと,失った体力を取り戻すため1日1度は外にでかけている.出先から帰ると疲れで眠ってしまう傾向にあるので,まだまだ復帰はほど遠い.
そういえば退院したら何を食べたいか看護師に聞かれた.入院を繰り返す度に退院してすぐ食べたいと思えるものがなくなっていく.強いて言えば刺身だった.病院では食中毒を懸念してかナマモノは出ない.一方でナマモノを食べてお腹を壊したらどうしようという思いもある.折衷案で鰹のタタキを食べた.
腸閉塞を起こした狭窄部は改善しているかも知れないが,残されたままだ.今後またいつ詰まるとも限らず,消化の良いものを適量摂取することを心掛けていくしかない.外科医からは将来的な手術の可能性ありと言われている.とりあえず1ヶ月ほどは粥か柔らかめの御飯を食べていこうと思う.蛋白源は魚・豆腐・卵を,野菜は芋・玉葱・にんじん・かぼちゃなど,炊くと柔らかくなるものを選んでいる.
エレンタールという栄養剤は寛解導入までは1日に4~6回,寛解時にも1日2回は飲んだ方がいいらしい.私の場合は当面1日4回飲むことになった.昨年の秋から体重が8kgも落ちてしまったので,これが戻るまでは寛解していても一日4回のエレンタールを継続していこうと思う.
食事を気をつけるのは割合簡単だ.それより心に無理のない生活を心がけていきたい.
おまけ: 入院中の食事写真
6/19日から6月21日までの食事についてはこちら → https://note.mu/atusy/n/ne0acff8e75ee .
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